男性不妊の漢方治療の症例と、よく使われる漢方薬

薬石花房 幸福薬局 における男性不妊の治療例

症例1 「男性不妊です。検査の結果、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)と診断されました。手術をすすめられていますが、いまの時点では少し抵抗があります」

精子の濃度や運動率、奇形率の検査値がよくなかったので調べたところ、精索静脈瘤がみつかりました。痛みや違和感、腫れなど自覚症状はまったくありませんでした。とくに大きな体調不良も感じませんが、血圧が少し高めで、肩こり、頭痛、便秘があります。舌をみると、舌の表面に紫色の斑点がみえます。

この男性の証は、「血瘀(けつお)」です。血流が鬱滞しやすい体質です。精神的ストレスや、冷え、生理機能の低下などにより、この証になります。血流がよくないために、精索静脈瘤が生じています。血圧が高め、肩こり、頭痛、舌の表面の紫色の斑点(瘀斑:おはん)などは、この証の特徴です。顔色がどす黒い、冷えのぼせ、舌の裏の血管が太く紫色に盛り上がっている、などの症状がみられる場合もあります。

この証に対しては、血流を改善する効果のある漢方薬を用いて治療に当たります。この男性には桃核承気湯(とうかくじょうきとう)を使用し、2か月後の精液検査で早くも濃度、運動率、奇形率ともに改善がみられ始め、8か月後に自然妊娠が確認されました。手術はせずに済みました。

むくみがあるようなら、五苓散(ごれいさん)を併用するといいでしょう。

症例2「結婚して4年になりますが子宝に恵まれません。検査をしたところ、精子の運動率があまりよくないと言われました」

42歳の男性です。検査の結果、妻にはとくに異常はありませんでした。精子の運動率については、精子無力症というほどではないが、不妊の原因はおそらくそのあたりにあるのではないかと言われています。とくに大きな体調不良はありませんが、寒がりで、手足が冷えます。舌は白っぽい色をしており、湿っぽい白い舌苔が付着しています。

この男性の証は、「腎陽虚(じんようきょ)」です。生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である「精(せい)」を貯蔵し、生殖をつかさどる五臓の腎の陽気(腎陽)が不足している体質です。腎陽が虚弱になると、性機能や内分泌機能が低下し、この男性のように精子の運動率の低下がみられることがあります。腎の機能低下は、精子の機能低下と深い関係にあります。

このような体質の場合は、漢方薬で腎陽を補い、男性不妊症に対処します。この男性は牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)を飲み続け、4か月目に自然妊娠しました。精液検査の検査値も改善していました。

頻尿を伴う場合は、八味地黄丸(はちみじおうがん)を使います。

症例3「二人目の子どもを希望するようになって3年になりますが、妻がなかなか妊娠しません。夫婦で検査を受けたところ、精子の数が少ないと言われました。体外受精を勧められており、悩んでいます」

36歳の男性です。精液検査の結果、乏精子症というほどではないが、精子の数が少ないとのことです。その原因となることが多い精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は認められないため、精巣の働きがあまりよくないのかもしれないが、はっきりとした原因は不明、と言われています。仕事はたいへん忙しく、残業が多く、いつも疲れており、よく頭がぼーっとします。めまいや耳鳴りがあります。手足のほてりも感じます。目は充血しやすく、疲れています。舌は赤く、舌苔はほとんど付着していません。

この男性の証は、「腎陰虚(じんいんきょ)」です。生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である「精(せい)」など、五臓の腎の陰液が不足している体質です。過労、加齢などにより腎陰がじゅうぶん補われないため精が減り、精子の数が少なくなっているようです。この証の場合、陰液の不足により熱っぽくなり、熱証が生じます。頭がぼーっとする、めまい、耳鳴り、手足のほてり、赤い舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。のぼせ、口渇、寝汗などの症状を伴う場合もあります。

この場合は、漢方薬で腎陰を補い、男性不妊の改善を目指します。この男性は、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)を服用し始めて9か月目に奥さまの妊娠が確認され、その翌年、第二子が誕生しました。

杞菊地黄丸は、腎陰虚を治療する代表処方の六味地黄丸(ろくみじおうがん)に枸杞子(くこし)と菊花(きくか)を配合した処方です。枸杞子にも腎陰を補う作用があり、菊花には眼精疲労を改善する働きがあります。

よく使われる漢方薬

症例で扱った証以外には、以下のような漢方処方を使います。

ストレスの影響で精子の状態がよくないような「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証には、肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにする四逆散(しぎゃくさん)や逍遙散(しょうようさん)を使います。いらいら、頭痛などの熱証も伴う「肝火(かんか)」証なら、加味逍遙散(かみしょうようさん)を用います。

胃腸が弱くて元気がないような「脾気虚(ひききょ)」証に、六君子湯(りっくんしとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を使う場合もあります。

症例では、精索静脈瘤に桃核承気湯、などの例を出しましたが、精索静脈瘤に桃核承気湯が効く、という意味ではありません。精索静脈瘤の人の中には血瘀証の人が少なからずいて、今回の症例1の血瘀証の人には、血瘀証に効く処方のひとつである桃核承気湯が効果的だった、という意味です。精索静脈瘤の人なら誰にでも桃核承気湯が効くわけではなく、他の病気や症状でも同じですが、しっかりと患者さんの証を見極めてから処方を判断するのが基本です。

あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。

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自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

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