余分な脂肪や老廃物を捨て去って「たるみ」を目立たなく

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局(帝国ホテル内漢方相談薬局)の症例をもとにした漢方ストーリー

以下は、結婚8年目で肌の”たるみ”を気にした女性が漢方で変身していく話です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)


■■“たるみ”が気になりだして■■


「大丈夫だよ。ぜんぜん気にならないよ」

夫は、そういってくれる。趣味の将棋雑誌から目を離さないまま明るい声で「大丈夫だよ」というのもどうかと思うが、まあ、わるい気はしない。

純子たちは、結婚して8年になる。子どもはいないが夫はやさしく、純子のことを可愛がり、よく褒めてくれる。おかげで純子はいつまでも若々しく、夫婦仲は円満だ。

しかし、その純子も30代の半ばを過ぎ、肌の衰えを感じ始めている。鏡で自分の顔を見ると、目のまわりや頬、口のまわりがたるんできている。夫が褒めてくれるのはうれしいが、今度ばかりは何か手を打ちたい。

20歳前後のころの自分と比べてはいけないのかもしれない。でも、肌の衰えは気になる。純子なんて可愛い名前をつけてもらったのに、年をとってから"たるみ"が目立つようでは格好わるい。

そんなことを考えながらしばらく鏡とにらめっこをしていると、ようやく夫が将棋の雑誌から目を離して純子に言った。

「気にしなくて大丈夫だよ。一歩譲って"たるみ"があるとしても、料理はうまいし、一緒にいて楽しいし、純子には長所がいっぱいあるじゃない」

「でも、だからといって短所を放っておいてもいいということは、ないでしょ」

「短所を見つけるのは簡単だけど、長所も見つけて大事にしていかないとね」

夫が再び雑誌を読み始めたところで純子もまた鏡を見て、笑顔を作ったり、すました顔をしてみたりした。夫のことばはうれしいが、やっぱり"たるみ"が気になる純子である。

それにしても、あまりに真剣な顔で鏡をのぞいていたのだろうか、夫が心配そうに、「そんなに気になるからって、相談もなしにいきなりプチ整形なんてのはダメだよ。無理して若く見せる必要なんて、ぜんぜんないからね」と言った。

純子も、そこまで思いつめていない。無理して若く見せたいとは思わない。ただ、これからも若々しい素肌でいたい。純子は笑顔で夫に「大丈夫よ」と言い、夫が心配するといけないので鏡を見るのもそこでやめた。

そういえば友人の直美が先日、気になっていた目の下のクマを漢方薬で消した、と言って喜んでいた。純子は実際に直美の目の下にあった青いクマが消えているのを見て、びっくりした。

「美容のために漢方薬を飲む人が増えているのよ」という直美のことばを思い出した。

たるみも漢方で消せるのかしら。

さっそく純子も直美が通っていた漢方薬局で相談してみることにした。


■■“たるみ”のための漢方■■


漢方薬局では最初に30分以上の時間をかけて、漢方の先生がカウンセリングをした。カウンセリングが一段落したところで純子は先生に聞いてみた。

「先生、漢方で"たるみ"が目立たなくなりますか」

「すぐに"たるみ"をとりたいのなら、漢方より美容外科や美容皮膚科でしょうね。手術や皮下注入で"たるみ"をとってくれます」

やっぱり、そうか。

「漢方は、からだの内側から肌を整えていく手法ですので、ある程度、時間がかかります。また手術でたるんだ皮膚を切り取るような劇的な効果は期待できません。漢方薬は、肌の質を改善して、たるみが目立たない肌、今後たるみができにくい肌を作るものです。からだの内側からじっくりと若々しさを保ちたい場合に適しています」

それを聞いて安心した純子は、「先生、それなら、わたしの希望とぴったりです」と答え、漢方薬を飲んでみることにした。

たるみは、顔の皮膚が重力に逆らいきれずに下へ下へとさがることにより、できる。若いころは皮膚がしっかりと皮下組織にくっついているので、たるまない。しかし年齢とともにその結合力が弱くなり、たるみが生じることになる。

たるみの原因としては、肌質そのものの衰えや 、筋肉など皮下組織の衰え 、余分な脂肪や老廃物の蓄積 、肌の乾燥などがある。その人の"たるみ"が、そのなかのどの原因によるものかを把握するためには、この漢方の先生のように、たっぷり時間をかけて詳しくカウンセリングをする必要がある。

純子の場合は、肌の下の余分な脂肪や老廃物を捨て去るのが大事です、と漢方の先生が言った。

「純子さんの場合、血行がいいようです。ですから、いまは余分なものを捨てるような漢方薬を飲むのがいいでしょう。血行がいいので、どんどん老廃物が体の外に出て行きます。欠点を見つけるのは簡単ですが、血流がいいという長所をおおいに生かして体質改善していきましょう」

短所は見つけやすく、長所は見つけにくい。純子は夫との会話を思い出しながら、「長所を見つけて生かしつつ、欠点をなくしていくのですね」と言った。

「余分なものを捨てるだけでなく、肌を活性化させて老化しにくくさせる配合も入れておきます。たるみが年齢とともに生じてくるのは自然なことですので、ある程度は仕方のないことですが、肌が元気でいてくれれば、年相応よりも老けたり、たるんだり、ということが少なくなりますからね」

純子はさっそく皮下の余分なものを捨てる(漢方道の必殺技②)のがメインで、同時に肌の活性化もしてくれる漢方薬を飲むことになった。


■■長所を見つけて生かす■■


漢方薬を飲み始めるときに、漢方の先生が言った。

「漢方薬は、体質を改善して、その結果、肌質を良くし、そして"たるみ"を目立たなくさせる、あるいは将来"たるみ"ができにくくなるようにする薬です。したがって、効果が出るまでは時間がかかることもありますから、あせらないでくださいね」

もとより美容外科に行かずに漢方薬局に来た純子だ。そのあたりは心得ており、気長に飲み続けるつもりでいる。

漢方を飲んでいると、お通じの調子がよく、毎月の生理も軽くて体調がいい。冷え症に悩まされることもない。寝つきも、よくなった。体質が改善されつつあることが実感できる。"たるみ"のことはあまり気にしないようにして、漢方薬による快適ライフを楽しみつつ、月日が経った。

先日、高校の同窓会があった。

この年になると、昔と変わりなく若々しい人もいれば、ずいぶん老け込んでしまった人もいる。髪が薄くなってきた男子もちらほら。

わたしは若々しいままでいたいな、と思っている純子に、仲良しが声をかけてきた。

「あら純子、去年より痩せたんじゃない?」

痩せたのかと言われて、まんざらでもない気分。しかし純子は正直に答えた。

「え、そんなことないわよ」

実際、体重計の針は、去年と同じあたりをさまよっている。

「でも顔が引き締まったわよ。たるんでいないっていうか」

え、たるんでいないって、いま言った?

「純子は昔から血行がよくて肌の色つやがいいじゃない。だから顔が引き締まると、ますます素敵よね。前と体重が変わらないのに痩せて見えるし、うらやましいわ」

「ちょっと、褒めすぎよ」

血行がいいという長所もちゃんと現れているようで、純子はうれしく思った。

友だちに褒められて気分のいい純子は二次会にも参加し、夜遅く帰宅した。家のなかは明るく電気がついたままで、夫はソファで居眠りをしていた。純子の帰りを待っていたようだ。ソファの脇には、いつもの将棋の本が広げられており、それを読みながら寝てしまったようである。

そういえば公民館で子どもたちに将棋を教えるボランティアを始めるって言ってたっけ。夫も長所を生かして充実した日々を送ってほしいな、と純子は思った。

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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