肝炎
漢方の自然治癒力アップでウイルス性肝炎にも効果
当薬局では肝炎の漢方治療のご相談をお受けしています。
肝炎は、肝炎ウイルスやアルコール、鎮痛剤などにより肝細胞が障害を受けて肝細胞壊死を起こす病気です。わが国では肝炎ウイルスがもっとも一般的ですが、比較的欧米に多いアルコール性肝炎や薬剤性肝炎も増加傾向にあります。
ウイルス性肝炎には主に血液を介して感染するB型肝炎(血清肝炎)とC型肝炎、そして口から伝染するA型肝炎(伝染性肝炎)などがあります。B型肝炎、C型肝炎は、主として輸血や注射針を介して、ときには性交により感染します。A型肝炎は飲食物を介して感染します。
肝炎ウイルスに感染すると、体内でアレルギー反応が起こり、リンパ球が感染した肝細胞を攻撃し破壊します。その結果、肝臓機能が低下して、タンパク質の合成や糖代謝、解毒作用が充分に行われなくなり、激しい全身倦怠感や疲労感、食欲不振、吐き気を感じます。またビリルビンという酵素が血液中に漏れて黄疸が生じます。
西洋医学では、C型肝炎にはインターフェロンが使われますが、日本人が主に罹患する2型に対する有効率は20%程度です。それ以外には肝炎に効く西洋医薬品はなく、対症療法として吐き気を抑える薬を投与したり、あるいは漢方エキスや生薬エキスなどを投与したりします。しかし漢方に対して不勉強な医者たちが安易に小柴胡湯エキスを投与した結果、少なからぬ数の患者が被害にあったことは周知の通りです。
一方、中医学(中国の医学)では、一人一人の肝炎を根本的に改善し、また悪化を防ぐことを目的とします。漢方薬には人間に生来備わっている自然治癒力を強力にバックアップする働きがありますので、肝炎のようにウイルス性の疾患に対しても有効性が認められています。
肝炎に効果的な主な漢方薬
肝炎を根本的に改善する漢方薬は何十種類もあり、あなたに最適な漢方薬が何かは、一般の人には判断が困難です。それは、ひとりひとりの体質や肝炎のタイプ・症状によって、効果的な漢方薬が異なるからです。
以下に比較的よく用いられる漢方薬を列挙しますが、漢方薬を服用する場合は、必ず漢方薬局などで中医学の専門家に相談して決めてください。正しく漢方薬を選べば副作用の心配はありませんが、前述の通り漢方の本質を勉強しないで安易に漢方薬を処方する医師や薬剤師もいますので、十分注意してください。
一貫煎、 甘露飲、 河間地黄飲子、 帰脾湯、 鼈甲煎、 肝一丸、 逍遥散、 桃紅四物湯、 など
あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。
慢性肝炎も諦めないでください
特にC型肝炎の場合、急性肝炎で治り切らずに慢性化することがあります。慢性肝炎の症状はさほど重篤には表れませんが、肝硬変に進み、さらに肝がんになる可能性があります。症状が軽くても油断しないで漢方薬で根本的な改善をすることと並行して、以下のような注意を日常生活で実行してください。
1:規則正しい生活をする
2:よく噛んでゆっくり食べる
3:夜遅くの飲食は控える(特に辛い物・あぶらっこいものなど)
4:食べ過ぎ・飲み過ぎに注意する(特に肉類やあぶらっこいもの)
5:酒・タバコは控えめにする
6:充分な睡眠と適度な運動をする
7:ストレスをためない工夫をする(趣味・運動・週末の気分転換など)
漢方薬と養生(日常の健康管理)で、一日も早く肝炎と訣別してください。