気管支拡張症(体験談)
気管支拡張症の漢方治療体験談
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
気管支拡張症の漢方薬による治療の成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
次第に悪化してきた気管支拡張症を漢方薬でコントロールした症例
「気管支拡張症です。診断された当初はほとんど症状がありませんでしたが、最近は咳や痰が出るようになり、心配です」
59歳の女性です。6年前に気管支拡張症と診断されました。その当時は症状がほとんどなく、とくに治療をしませんでしたが、毎年のようにインフルエンザにかかっており、そのたびに病状が少しずつ悪化しています。最近では呼吸が浅く、階段を登ると息切れをするようになり、これも気管支拡張症の症状かと心配で、これ以上悪化させたくありません。かぜやインフルエンザには昔からかかりやすいほうでした。舌は白っぽい色をしています。
この患者さんは、五臓の肺の機能が弱い体質です。五臓の肺は、呼吸をつかさどり、体液調整も行う臓腑です。漢方でいう「肺気虚(はいききょ)」という体質です。肺の機能が弱いために呼吸が浅く、息切れが生じます。咳や痰のほかに、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりやすい、白い舌なども、この体質の特徴です。
この体質の場合は、肺の機能を補う漢方薬で気管支拡張症に対処します。この患者さんには、人参養栄湯(にんじんようえいとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3か月後、息切れをすることが減りました。6か月後、咳の頻度が減りました。1年後の定期検診で、気管支拡張症は前年より増悪していない、と診断されました。漢方薬を服用するようになってからは、インフルエンザには一度もかかっていません。
痰が多いタイプの気管支拡張症の漢方治療症例
「10年くらい前から気管支拡張症と診断されており、ここ数年は痰が多く、つらい日々です。非結核性抗酸菌症との診断も受けています」
70歳の男性です。朝起きたときに大量の痰がたまっています。痰はねばねばしており、毎朝痰を出し切るのに時間がかかります。ときどき痰に血が混じり、痰が茶色くなります。舌は紅く、舌苔はあまり付着していません。
この患者さんは、五臓の肺の潤いや柔軟性が不足している体質です。潤いや柔軟性の不足により気管支壁が徐々に破壊されて弾力性を失い、拡張したままになります。漢方でいう「肺陰虚(はいいんきょ)」という体質です。
この体質の場合は、漢方薬で肺の潤いや柔軟性を補うことにより、気管支拡張症の治療にあたります。この患者さんには、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3か月後、痰に血が混じることがほとんどなくなりました。6か月後、まだまだ痰が出ますが、量が減りました。漢方を飲む前より、痰がさらさらして出しやすくなってきました。10か月後、痰の量がかなり少なくなり、楽になりました。
血痰が顕著で、声枯れもみられるようなら、百合固金湯(ひゃくごうこきんとう)などを用います。
炎症が強いタイプの気管支拡張症の漢方治療症例
「気管支拡張症で、咳や痰がよく出て困っています。断続的に咳が出ます。夜も咳が出てなかなか眠れない毎日です」
66歳の女性です。慢性気管支炎を併発していると診断されています。痰は黄色く、粘稠です。疲れやすく、ゆっくりペースで散歩をしても10〜15分ほどで息切れして休みたくなります。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。
この患者さんは、五臓の肺に熱邪が侵入しているタイプの体質です。肺に強い炎症が生じています。漢方でいう「肺熱(はいねつ)」という体質です。痰は黄色く粘稠で、紅い舌、黄色い舌苔なども、この体質の特徴です。
この体質の場合は、肺の熱を除去する漢方薬で炎症を鎮め、気管支拡張症を治療します。この患者さんには、清肺湯(せいはいとう)などを服用してもらいました。4か月後、夜の咳の回数が減ってきました。その分、睡眠が取れるようになり、日中も以前より楽です。痰が黄色いのも、薄くなってきました。7か月後、咳が出て中途覚醒する頻度も減りました。1年後、30分ほどは休むことなく散歩できるくらいになりました。
咳嗽が激しいようなら、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)を用います。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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