むくみの症例
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬でみくみが改善した症例
■■疲れると悪化する、私のむくみ■■
むくみに悩む25歳の女性がいました。会社では経理の仕事をしています。一日中オフィスでパソコンに向かって仕事をしていますが、午後になると足がむくみ、夕方には足がぱんぱんになります。足の太さが夕方と朝とで違うのが、自分でもわかります。とくに生理前にはむくみがひどく、痛みを感じることもあります。むくみ以外には、とにかく疲れやすい、冷え症、寒がり、生理の量が多い、などの症状があります。
――むくむと余計に疲れを感じてしまうわ。
むくみは、血管からしみ出た体液がうまく循環されずに皮下組織などにたまった状態をさします。腎炎や肝硬変、心不全などの病気で全身がむくむことなどもありますが、日常よく見かけるのは、とくに病気ではないけれども発生するむくみです。夕方になると足がぱんぱんに張ったり、朝から顔がはれぼったい感じがあったり、女性だと生理前にむくみがひどくなったりというケースです。原因は、からだ全体のバランスの失調にあります。
このような症状に対して、漢方は効果を発揮します。漢方薬がからだ全体の不調を取り去ってくれるからです。
冒頭の女性は、日ごろから疲れやすくスタミナがないタイプです。身体の諸機能が弱いために体が温まらず、同時に水分の代謝もよくないのでむくみが生じています。
この場合は、白朮、猪苓などの生薬で水分代謝機能を高め、補骨脂、桂枝などの生薬で諸機能を補って(漢方道の(必殺技1))水分の流れをうながし(必殺技3)、むくみにくい体質を作っていきました。8カ月後にはむくみはなくなり、同時に冷え症や生理の悩みも解消されました。
■■夕方、足がぱんぱんになる■■
販売の仕事をしている27歳の女性は、一日中ほとんど立ちっぱなしの勤務です。夕方には足がぱんぱんになります。とくに足首やふくらはぎのむくみがひどく、靴が足をきつく締めつけます。家に帰って靴を脱ぐと、ほっとします。毎晩お風呂で足のマッサージをしたり、足を高くして横になったりしています。翌朝にはむくみは引いていますが、また午後から足がむくみだします。毎日この繰り返しです。
――むくみさえなくなれば快適なのに。
むくみの正体は、水分です。しかし水分は人体にとって、なくてはならないものです。酸素や栄養を全身に運ぶためにも、水分が必要です。
酸素や栄養は、水とともに動脈の中を流れて毛細血管からしみ出し、体中の細胞に渡されています。そして今度は老廃物が水とともに静脈側の毛細血管やリンパ管に吸収されて運び去られています。こうして私たちの体の細胞は元気に活動しています。しかし血液やリンパ液の流れがよくないと、毛細血管などをとおして水分を運び去る力が弱くなり、水分が細胞間にたまってしまいます。これがむくみです。
血液やリンパ液の流れが悪くなる原因はいくつかあります。この女性の場合は、疲れがたまって五臓六腑の「心」に負担がかかっている状態です。心とは心臓だけをさすのではなく、漢方では血液循環そのものをも意味します。つまり血液の循環が思うようにできなくて、足の水分を心臓まで戻すことができず、その結果、足に水分がたまってむくみとなっている状態です。
この場合は、黄耆、茯苓、防己などの生薬を使って心の機能を補い(必殺技1)、血液やリンパ液の流れをサラサラにして(必殺技3)むくみを解消していきました。6カ月ほどかかりましたが、漢方薬を飲まなくてもむくまない体質にまで改善できました。
■■生理前に、からだじゅうがむくむ■■
生理前にむくみが顕在化する人も多いようです。また足ではなく、顔がむくむという人も少なくありません。むくみにもさまざまなタイプがあり、それぞれのむくみに、その人特有の体調悪化が隠されています。
31歳の女性は、家電メーカーに勤務しています。生理前に体調が悪化する、いわゆる月経前症候群(PMS)が悩みです。いらいら、落ち込みなどの情緒不安定も激しいのですが、生理前には、からだ全体が水分を含んだようにむくみます。身体が重だるく、不快です。それで余計にいらいらがつのります。
生理が始まるとPMSの諸症状はおさまりますが、それでも朝起きると顔がはれぼったい日がときどきあります。疲れているときに多いようです。
婦人科にも行きました。PMSの症状軽減のためにホルモン療法を行いました。しかし効果は治療を始めてから数カ月間のみで、治療後はホルモンバランスも元にもどり、生理前のつらい症状も、戻ってきました。
――体質から改善できないかしら。
生理前には女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、それが体調の変化に影響してくることがあります。体調の悪化をまったく感じない人もいますが、この女性のように心身の状態が大きく変動してしまう人もいます。
毎月のことですので、あまりにつらいようでしたら、なにがしかの対応をしたいものです。
生理前のホルモンバランスの変化そのものは、女性にとって、まことに自然なことです。これが敏感に体調の悪化に結びついてしまうところに、問題があります。
漢方では、おもに五臓六腑の「肝」と「腎」のバランスを調えることにより、生理前の体調悪化に対応していきます。肝・腎は、自律神経系やホルモンバランスとの関係が深いので、PMSに漢方は効果的です。
さらに腎は泌尿器系とも関与しており、体内の水分コントロールに重要な役割を果たしています。もし腎の機能が弱くなると、余分な水分が体内にたまりやすくなり、むくみが生じます。とくに顔がむくみます。まぶたが朝、はれぼったく感じられます。
この女性の場合も、漢方で腎の機能を整え(必殺技4)、余分な水分を捨てて(必殺技2)むくみ体質を改善していきました。使用した生薬は、熟地黄、沢瀉、赤小豆、車前子などです。
■■急激なダイエットも危険■■
血液中の栄養バランスが悪化した場合も、むくみが生じます。たとえば血液中のたんぱく質濃度が下がると、私たちの身体は、血管内の水分量を減らして血液中のたんぱく質濃度を上げようとします。これは私たち生物が生きていくための、本能的な反応です。その結果、血管外の水の量が増え、むくみにつながるのです。
このタイプのむくみは、肝臓機能の低下や貧血、疲労の蓄積によっても生じますが、とくに心配なのが急激なダイエットです。むちゃな食事制限のために血液中のたんぱく質濃度が減少した結果、むくみが生じます。
ダイエットは、バランスのよい食事を基本にして、細胞の若々しさを保ちつつ、きれいにやせていくのが大切です。一時的に急にやせるようなダイエット法は、むくみだけでなくさまざまな弊害をもたらす可能性がありますので、注意してください。
日常生活では、適度な運動が効果的です。朝や寝る前のストレッチもいいでしょう。座りっぱなしの仕事中も、ときどき腹筋を使って足全体を上げたり足を動かしたり、また少しオフィスの中を歩いたりしてはいかがでしょうか。いずれも血液とリンパ液の流れをよくしてくれます。
体を冷やさない工夫も大切です。体が冷えると血管が収縮して血行が悪くなり、むくみにつながります。食べものも、冷たいものではなく、温かいものをバランスよく食べるようにしてください。
病院では利尿剤が用いられる場合もあります。しかし利尿剤の効果は一時的なものであり、服用を中止すれば当然むくみは再発します。
利尿剤については、その依存症とならないように、漫然と飲み続けないようにしてください。利尿剤により人工的に体内の水分が排泄されますので、体内の電解質バランスが崩れたり、また利尿剤を飲まないと尿がでにくくなったりすることもあります。
以上のように、むくみは、「気」の不足や、腎・心・肝の機能低下などと深く関係しています。むくみを単なるむくみとしてあつかうのではなく、自分自身の体調の悪化や機能の低下の現れとしてとらえ、生活習慣の見直しや漢方による体質改善をしておくのも、ひとつの考え方でしょう。若々しいからだを保つためには、症状が軽いうちから手を打っておくのがもっとも確実で効果的、かつ経済的です。
あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。
★ 漢方道・四つの必殺技 ★
「補う」・・・ 足りない元気や潤いは、漢方薬で補いましょう。
「捨てる」 ・・・体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう。
「サラサラ流す」 ・・・漢方の力で血液や気をサラサラ流し、キレイな体内を維持しましょう。
「バランスを調える」・・・内臓機能のバランス・心身のバランス・ホルモンのバランス - 漢方の得意技はバランスの調整にあり。
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