突発性難聴(体験談)
突発性難聴が漢方で治った体験談
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
突発性難聴が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
疲労の蓄積により生じた突発性難聴を漢方薬で治療した症例

「2か月前に左耳が突然聞こえにくくなり、耳鼻科で突発性難聴と診断されました。耳がつまって聞こえにくいような感じです。耳鼻科でステロイド治療をしましたが改善しませんでした」
高音が聞こえづらく、周りの音や自分の声が響いて聞こえます。手足が冷え、足がむくみます。このところ残業続きで疲れがたまっている状態がずっと続いています。舌は白く湿っており、その上に白く湿った舌苔が付着しています。
この患者さんは、疲労の蓄積により五臓の腎(じん)の機能が衰弱してしまった体質です。腎は耳の機能と深く関係している臓腑で、加齢や疲労の蓄積により、機能が低下します。その腎の機能の衰えに伴い、腎と関係が深い耳の機能が衰えて突発性難聴になったのでしょう。冷え性、むくみ、白く湿った舌、白く湿った舌苔などは、この体質の特徴です。
この体質の場合は、漢方薬で腎の機能を補うことにより、突発性難聴の治療をします。この患者さんには、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などを服用してもらいました。服用を始めて4か月で、耳の閉塞感がほぼ解消されました。そして10か月で、ほぼ聴力が回復しました。
痰熱タイプの突発性難聴を漢方薬で治療した症例
「右耳が急に聞こえにくくなり、突発性難聴と診断されました。頭の重い感じが続いています」
寝つきがわるくなりました。眠りが浅く、よく夢を見ます。朝早く目が覚めます。動機やめまいもあります。脂っこいものや味の濃いものが好きでよく食べます。舌には黄色い舌苔がべっとりと付着しています。
この患者さんは、熱のこもった異常な水液が体内に停滞しやすい体質です。痰熱(たんねつ)といいます。暴飲暴食や精神的なストレスで生じた痰熱が頭部に上昇し、頭重感や吐き気を伴う突発性難聴が引き起こされたのでしょう。
この体質の場合は、痰熱を除去する漢方薬を用い、突発性難聴を治療します。この患者さんには、温胆湯(うんたんとう)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月後には、吐き気や胃の不快感がなくなりました。3か月後には、ぐっすり眠れるようになりました。7か月後には突発性難聴も完治しました。
ストレスの影響で生じた突発性難聴の漢方治療症例
「突発性難聴に悩んでいます。ストレスが原因でしょう、と病院で言われました。耳鳴りが強く、蝉が何十匹も鳴いているように聞こえます」
病院で言われたとおり、仕事のストレスを強く感じています。いらいらしやすく、また怒りっぽくなりました。舌は紅色で、黄色い舌苔がややべっとりと付着しています。
この患者さんは、体の諸機能を調節してくれる五臓の肝(かん)の機能が、精神的なストレスの影響でスムーズに働かなくなっている体質です。この体質により生じる熱邪により、突発性難聴となったのでしょう。いらいら、怒りっぽい、紅い舌、ややべっとりとした黄色い舌苔などは、この体質の特徴です。強い熱邪の影響で耳鳴りが生じます。
この体質には、肝の機能をスムーズして熱邪を冷ます漢方薬で、突発性難聴を治療していきます。この患者さんには、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などを服用してもらいました。服用を続けるうちに耳鳴りが徐々に小さくなり、半年後には耳鳴りがほぼ消えました。聴力も次第に回復し、1年弱で突発性難聴を解消しました。
同じくストレスの影響で生じたと思われる突発性難聴でも、熱証が顕著でない場合には、釣藤散(ちょうとうさん)や抑肝散(よくかんさん)など、肝の機能を落ち着かせていく漢方薬で突発性難聴を治療します。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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