突発性難聴

突然、片耳(まれには両耳)が聞こえにくくなる突発性難聴。耳鳴り、めまい、吐き気、耳閉感(耳の閉そく感)を伴うこともあります。

当薬局では突発性難聴の漢方治療のご相談をお受けしています。

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◆突発性難聴の原因と治療法・・・漢方は根本原因の治療が可能

西洋医学では

原因として、精神的なストレスの負荷、血流障害、ウイルス、炎症などの説がありますが、はっきり解明されていません。発症後なるべく早い時期のステロイド投与が一般的な治療法となっています。

耳鼻科の治療で効果がなかったにも拘わらず、引っ越して環境が変わりストレスが減ったら治った、など自然治癒する場合もありますが、一般に完治は容易ではなく、突発性難聴は治療が難しい病気です。

漢方では

漢方では、突発性難聴は五臓の(かん)や(じん)、および邪気の熱邪(ねつじゃ)と関係が深い疾患と捉えています。

 肝  体の諸機能を調節し、情緒を安定させる働き担う臓腑。自律神経系と関係が深く、ストレスや、緊張の持続、激しい感情の起伏などの影響でその機能が失調します。
   生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖をつかさどる臓腑。脳や耳の機能とも深く関係している。
 熱邪  自然界の火熱により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪で、炎症、化膿、熱感、発熱、充血、疼痛、出血などの熱証を表す。

これら肝・腎の不調および熱邪の影響によって突発性難聴が引き起こされやすい状態がつくられると考えます。

同じ突発性難聴でも、発症に至る背景は人によって違います。漢方ではその背景要因を見極め、そこに働きかける漢方薬を用いることで突発性難聴の根本原因を治療します。

漢方は一律の治療ではなく、同じ病気でも人によって原因が違う点に着目して対処するのが特徴です。

突発性難聴を発症しやすい典型的なタイプを以下に紹介します。


◆突発性難聴になりやすいタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「肝火(かんか)」証

精神的なストレスや感情の起伏などが引き金となって突発性難聴が生じた場合。

体の諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝の機能(肝気)が、ストレスなどの影響によりスムーズに働かなくなり鬱滞し、肝鬱気滞(かんうつきたい)証となって熱邪を生み、それが突発性難聴を生じさせます。

肝火で出やすい症状
強い熱邪の影響で耳鳴りが強く、蝉が何十匹も鳴いているように感じる人もいます。のぼせ、頭痛、怒りっぽい、興奮しやすい、などの熱証を伴います。

→ 肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮める漢方薬を用います。

(2)「肝陽化風(かんようかふう)」証

同じくストレスの影響で生じたと思われる突発性難聴でも(1)のように熱証が顕著でない場合によくみられるタイプ。

肝血(五臓の肝において必要な血液や栄養)の不足によってバランスを失った肝の陽気が上昇し(肝陽上亢(かんようじょうこう)証)、さらに進行して内風(肝風)生じて突発性難聴を引き起こしています。

内風とは、体内で生じる風邪(ふうじゃ)で、揺れ動くような症状を引き起こす病邪です。血虚陰虚がベースにあり、気の流れの制御ができなくなると内風が生じます。

肝陽化風で出やすい症状
頭痛、のぼせ、怒りっぽい(以上は肝陽上亢でもみられる症状)、さらに肝風の影響で、突発性難聴に加えて、めまい、ふらつき、ふるえ、引きつりなどの症状が表れます。

→ 肝陽を落ち着かせて肝風を和らげる漢方薬を用います。


(3)「痰熱(たんねつ)」証

体内に異常な水液がたまって熱がこもり、上昇して突発性難聴を起こしたタイプ。

精神的ストレスや暴飲暴食などで生じた痰飲(たんいん)(体内に停滞する異常な水液)に熱がこもって痰熱となり、これが頭部に上擾(じょうじょう、上昇してかき乱すとの意味)したために突発性難聴が発症しています。

痰飲の原因には、脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生もの、アルコール類の日常的摂取や大量摂取、不潔なものの飲食などがあります。

痰熱で出やすい症状
突発性難聴とともに頭重感が続く。他に吐き気、胃の不快感、黄色い舌苔 など

→ 痰飲を除去して熱を冷ます漢方薬を用います。


(4)「腎陽虚(じんようきょ)」証

加齢や疲労で腎の陽気が不足した体質。 

加齢とともに生じやすい証ですが、他に、疲労、生活の不摂生、慢性疾患による体力低下などによっても体の機能が衰え、冷えが生じてこの証になります。

耳は腎と関係が深いため、耳の機能が腎陽の衰えの影響を受けて突発性難聴になります。

腎陽虚で出やすい症状
冷え症、むくみ、耳鳴り、ふらつき、腰や膝がだるく力がない、頻尿、嗜眠傾向、白く湿った舌、白く湿った舌苔 など

→ 腎陽を補う漢方薬を用います。


(5)「血瘀(けつお)」証

血瘀(血流が鬱滞しやすい体質)による内耳の血流障害から突発性難聴が起こった場合。

血瘀は、精神的ストレスや、寒冷などの生活環境、不適切な食生活、運動不足、体内の水液の停滞、生理機能の低下などによって生じます。

疾患や体調不良が慢性化、長期化してこの証になる場合もあります。

血瘀で出やすい症状
便秘、肩こり、顔色がどす黒い、色素沈着、舌が紫っぽい など

→ 血行を促進する漢方薬を用いて血流の改善をはかります。患者の本質的な証を治療するための他の処方との併用も可能です。

内耳の虚血状態がみられる場合も血瘀と同様の漢方薬が効果的です。


(6)「風熱(ふうねつ)」証

も弱くないのに突発性難聴になる場合に多いタイプ。

風熱は、風邪熱邪が合わさったものです。

風邪は、自然界の風が引き起こす現象に似た症状が表れる病邪で、熱邪は、自然界の火熱が引き起こす現象に似た症状が表れる病邪です。ウイルスや細菌の感染に近い概念です。

この風熱が耳に侵入して炎症が引き起こされると、耳の閉塞感(耳閉感)のやや強い突発性難聴となります。

風熱で出やすい症状
喉の痛み、鼻詰まり、頭痛、発熱、口渇、目の充血 など

→ 風熱を発散させて除去する漢方薬を用います。


◆突発性難聴に効果的な漢方薬

牛車腎気丸、温胆湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、釣藤散、抑肝散、桂枝茯苓丸、葛根湯加桔梗石膏

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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