耳鳴りの症例

薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内)の漢方薬で耳鳴りが治った症例

こちらは症例紹介ページです。耳鳴りの解説ページは こちら へどうぞ

 

■症例1 「今年に入ってから耳鳴りが気になるようになりました。遠くで蝉が鳴くような音がします。特に寝る前に明かりを消すと、静かな部屋のなかではっきりと耳鳴りを感じます」

56歳の男性です。疲れがたまっているときや、寝不足が続いているときに、耳鳴りを強く感じます。めまいふらつきを感じることも増えました。40代から老眼が進み、目のかすみもあります。人の名前など、物忘れもひどくなっています。いつの間にか寒がりになり、冬は靴下をはいて寝るようになりました。舌をみれば白っぽい色をしています。

この人の証は「腎陽虚」です。成長・発育・生殖をつかさどる五臓の「腎」が衰え、腎に支配される耳の機能が低下して耳鳴りが生じています。老化や生活の不摂生、過労、慢性病による体力低下などにより生じやすい証です。

上記の症状は、すべて腎陽虚によくみられるものです。慢性的な腰痛足腰の衰え夜間の頻尿思考力の減退なども生じます。いまの高齢化社会、56歳で老化とは申し上げにくいのですが、体力の低下や体内の諸機能の衰退は否めないでしょう。

この証の人に対しては、腎を補う漢方薬を使います。この人は補腎作用の強い漢方薬を服用し、4カ月ほどで耳鳴りから解放されました。耳鳴りが治れば今度はめまいが気になるとのことで、さらに同じ処方を2カ月間飲み、めまいも治しました。これからは自分の年齢を考えて、あまり無理をしないようにする、とのことです。

めまい・ふらつきについてはこちらもご覧ください。→ めまい・ふらつき

■症例2 「まだまだ若いつもりでガンガン仕事をしてきましたが、さすがに過労ぎみで、最近、体調がよくありません。特に耳鳴りとめまい、寝汗が気になります」

39歳の男性です。なんとなく、からだに熱がこもった感じがあり、のぼせて顔を赤くしたり、顔や頭からをかいたりするようになりました。いらいらしやすくもなりました。特に夕方になると微熱があるように感じます。寝るときも手足がほてり、布団から手足を出して寝ています。のどが渇き、水分をよく摂るようになりました。舌をみると赤く乾燥し、舌苔はほとんどついていません。

この男性の証は「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」です。人体を構成する物質的な面を意味する陰液が不足している体質です。特に生命活動に必要な物質を貯蔵する五臓の「腎」と、血流や情緒の調整をつかさどる「肝」の陰液が不足しています。過労だけでなく、慢性疾患による体力の消耗加齢によっても生じやすい証です。

陰液とは、人体の構成成分のうち、血(けつ)・津液(しんえき)・精を指します。これが不足すると「陰虚」証になり、虚熱が生じ、耳鳴りめまい手足のほてりのどの渇き舌が赤く舌苔が少ない、などの症状が生じます。陰液を消耗して、相対的に陽気が余って熱証が発生している状態です。こういう場合は、肝腎の陰液を補う漢方薬で体質を改善していきます。クコの実などの生薬もいいでしょう。

◆さらに進むと

肝腎陰虚が進むと、頭のふらつき筋肉の引きつり手のふるえ視力低下皮膚の乾燥体重の減少腰や膝がだるいといった症状もあらわれます。女性だと、生理痛生理不順が生じることもあります。未病の段階で、漢方薬などで体質を改善しておくのがいいでしょう。

人は、陰と陽のバランスの上に成り立っています。人体の主な構成成分は気・血・津液ですが、気は陽に属し、血と津液は陰に属します。このうちの陽気が不足した例が前回の症例1、そして陰液が不足した例が今回の症例2です。陰と陽、いずれが不足しても健康が損なわれます。

■症例3 「ストレスがかかると耳鳴りがします。ストレスが強いほど耳鳴りも強くなるようです。疲れたときにも起こります。耳鳴りと同時に、めまいや頭痛も生じます」

45歳の女性です。耳鳴りは、きーんという高い音です。ひどいときは、頭が割れるように痛み、手がふるえることもあります。舌は赤い色をしています。

この女性の証は「肝陽化風(かんようかふう)」です。自律神経系をつかさどる五臓の「肝」が乱れ、内風が生じています。ストレスや情緒変動が引き金となって生じやすく、耳鳴り頭痛めまいなどの症状が生じます。

このタイプの耳鳴りは、中高年によくみられます。精神的なストレスのほかに、過労不摂生慢性病加齢老化などでからだの陰液が消耗し、陽気を抑えられなくなり、肝陽が上昇してしまっています。上半身では陽気が過剰にありますが、下半身では虚しているため、足腰がだるい、のぼせ、ほてり、いらいら、怒りっぽい、頭のふらつき、手足のけいれん、などの症状を伴うこともあります。自律神経失調症、高血圧、更年期障害などと関連が深い証です。

この証の人に対しては、肝を落ち着かせて内風を和らげる漢方薬で治療を進めます。一年近くかかりましたが、この女性の場合も漢方薬で、耳鳴りや頭痛など、すべての症状が快癒しました。

◆こんなケースも

耳鳴りに加えて、いらいら、怒りっぽい、ヒステリー、不眠、目の充血、口が苦いなど熱の症状が強い場合は、「肝火(かんか)」証です。肩こりなど、筋肉の緊張を伴うこともあります。多くは「肝鬱化火(かんうつかか)」によるものです。精神的ストレスや怒り、抑うつ、緊張で肝鬱(肝気鬱結)証になり、さらに熱邪が上昇している状態です。この場合は、熱をとる作用がある漢方薬を用います。ストレスが原因で耳鳴りが生じている場合は、熱証が明らかかどうかで先の肝陽化風か肝火かを判断する材料とするといいでしょう。

* * *

以上の症例のように、耳鳴りの多くはからだの下部で不足があり、そのせいで上部に熱証があらわれ、その結果、耳鳴りが生じています。耳だけをみて耳鳴りを治すのではなく、このようにからだ全体のバランスを調えて、根本的に治すのが漢方の考え方です。

同じようなお悩みでお困りの方、一度漢方薬をお試しになりませんか?上記の症例のように実際に悩みを解決した方もいらっしゃいます。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
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以上の症例は「日経DIオンライン」に幸井俊高が執筆した以下の記事にも掲載しています。
耳鳴りの考え方と漢方処方
過労やストレスによる耳鳴りへの漢方処方

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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