めまい・ふらつき・メニエール
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
メニエール病など、さまざまな「めまい・ふらつき」に漢方は有効
めまい・ふらつきの改善症例は こちら
めまいやふらつきを経験したことのある人はたくさんいらっしゃると思います。それが疲れている時や、体調がわるい時など、一時的なものなら、さほど心配はいりません。しかし、めまいが長く持続する、頻度が多い、程度が激しい、といった場合は、根本的な対策をとったほうがいいでしょう。
病院の検査でめまい・ふらつきの原因がわかる場合もありますが、原因が特定できない場合や異常なしと診断される場合も多いようです。漢方では、原因不明の場合でも、めまい・ふらつきが生じやすい患者さんの体質を見極め、それを漢方薬で改善することにより、めまい・ふらつきの治療をしています。
メニエール病などと診断された場合でも、対症療法的な病院での治療に加え、漢方薬で「めまい体質」を改善していくことにより、将来また繰り返すことなく、根本的に治療することも可能です。漢方が「めまい・ふらつき」をどのようにとらえ、どのような考え方で治療するのかを以下に説明します。
漢方では「めまい・ふらつき」を体内に起こる「内風」に由来すると考える
漢方では、めまい・ふらつきのような揺れ動く症状は、病邪の一つである「風邪(ふうじゃ)」によるものと考えます。風邪の特徴には発病や病態の変化が急であることなども含まれます。
風邪のうち、体内の変化が原因となっているものを「内風(ないふう)」と呼びます。めまい・ふらつきは、多くの場合、この内風と関係があると考えられます。
めまいやふらつきが起こりやすい体質(漢方で証(しょう)といいます)には、おもに以下のようなものがあると考えています。
(1) 肝陽化風(かんようかふう)証(ストレスタイプ)
自律神経系をつかさどる五臓の「肝(かん)」が乱れ、内風が生じているタイプ。ストレスや情緒変動が引き金となって生じやすく、頭痛や耳鳴りを伴いやすい。
→ 五臓の肝を落ち着かせて内風を和らげる漢方薬で改善。
(2) 痰飲(たんいん)証(水分代謝不良タイプ)
体内にたまっている過剰な水分や湿気(=痰飲)が原因で体調を崩しているタイプ。痰飲が内風と共に上昇し、めまいやふらつきを生じさせる。吐き気や頭重感など、湿っぽい症状を伴いやすい。リンパ系の失調と関係が深い。
→ 過剰な水分や湿気を取り除く漢方薬で改善。
(3) 腎虚(じんきょ)証(老化・不摂生タイプ)
成長・発育・生殖をつかさどる五臓の「腎」の衰えにより、めまいやふらつきが発生する。老化、生活の不摂生、過労、慢性病による体力低下などが原因。耳鳴りや目のかすみ、足腰の衰えなどを伴う。
→ 腎を補う漢方薬で改善。
(4) 気虚(ききょ)証(気力低下タイプ)
人体の生理的機能を推進する「気」の力が弱まり、血液を頭部に押し上げる力が不十分となり、めまいやふらつきが生じているタイプ。疲労時や、急に立ち上がったときに、めまいやふらつきが起こりやすい。
→ 気を補う漢方薬で改善。
(5) 血虚(けっきょ)証(貧血タイプ)
人体に必要十分な血液や栄養が不足しているタイプ。頭に十分な栄養が供給されていない状態によってめまいやふらつきが発生。目のかすみや、頭がぼーっとするといった症状がふだんからある場合が多い。
→ 血を補う漢方薬で改善。
(6) 血瘀(けつお)証(血行不良タイプ)
血行がよくないタイプ。頭部への血流が悪化して、めまいやふらつきが生じる。季節の変わり目や朝夕にめまいが生じやすい。
→ 血行をよくする漢方薬で改善。
「めまい・ふらつき」に効果的な漢方処方
釣藤散、四物湯、黄連解毒湯、半夏白朮天麻湯、苓桂朮甘湯、五苓散、八味地黄丸、六味地黄丸、四君子湯 など
当薬局では漢方の専門家(中医師)がおひとりおひとりから丁寧にお話をうかがい、上のどのタイプに当てはまるかを慎重に判断し、ベストの漢方薬を処方しています。(混合型や、上記とは別のタイプの場合もあります。)
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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