めまい・ふらつきの症例

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で「めまい・ふらつき」が改善した症例

こちらは症例紹介ページです。めまい・ふらつきの解説ページは こちら へどうぞ

■症例1「最近、めまいがします。それほど頻繁ではありませんが、不安やいらいらなど、ストレスを強く感じているときに、よく生じます。割れるような頭痛に襲われることもあります。心配で病院に行きましたが異常はありませんでした」

48歳の女性です。めまいがして頭が痛いときは、目が赤く充血しています。キーンという耳鳴りを伴うこともあります。更年期が近いせいか、のぼせることが増えました。薬は降圧薬を飲んでいます。舌をみると赤い色をしていました。

この女性の場合、めまい、頭痛、耳鳴りなどの症状から、「内風」の存在が考えられます。特にストレスや情緒変動の影響で、自律神経系をつかさどる五臓の肝の機能が失調し、内風が動き回りやすくなっています。

このような証を「肝陽化風(かんようかふう)」といいます。肝陽とは、自律神経系や情緒の安定を意味する五臓の肝の機能のことです。これが失調して内風となり、あるいは内風をあおり、めまいなどの症状を引き起こしているのが肝陽化風です。高血圧更年期障害、目の充血、赤い舌なども、この証と関係があります。

この証の人に対しては、五臓の肝を落ち着かせて内風を和らげる漢方薬で治療を進めます。服用して1カ月でめまいがなくなりました。体調がいいので続けて服用したところ、半年後には血圧も安定してきました。



■症例2「回転性のめまいに悩まされています。夜中に目が覚めたとき、部屋がぐるぐる回っていました。めまいはなかなか治まらず、気持ち悪くなり、吐いてしまいました。メニエール病と診断されました」

もともと胃腸が丈夫ではなく、ふだんから食欲はあまりありません。胃のもたれや膨満感があります。便は下痢ぎみです。体調が悪いときは、頭が重く張ったように痛みます。舌をみると白い舌苔がべっとりとついていました。

この人の証は「痰飲(たんいん)」です。痰飲とは体内にたまっている過剰な水分や湿気のことで、これが原因で体調を崩しています。この人の場合、痰飲が内風とともに上昇し、めまいやふらつきを生じさせています。吐き気や頭重感など、湿っぽい症状を伴いやすいのが特徴です。

この体調不良の基本には、消化器系の機能が滞り、過剰な水分が停滞しやすくなっている体質があります。そのために水分代謝が失調し、余分な水分が頭部に上がって滞留し、めまいを引き起こしています。この証を「痰濁上擾(たんだくじょうじょう)」と言います。「擾」は、乱すという意味の漢字です。

この証は、過剰な水分や湿気を取り除く漢方薬で体質を改善していきます。半年ほどで、メニエール病は完治しました。


■症例3「年齢とともに、立ちくらみやめまい、ふらつきが生じやすくなりました。若いころと比べて物忘れもひどくなってきました。年のせいだとは思いますが、めまいなどまったくない友人もおり、少々心配です」

ふらつきや立ちくらみだけでなく、耳鳴りや目のかすみといった症状もあります。疲れやすく、寒がりです。とくに腰から下が冷えます。舌をみると、白っぽい色をしていました。

この人の証は「腎虚(じんきょ)」です。成長・発育・生殖をつかさどる五臓の「腎」の衰えにより、めまいやふらつきが生じています。老化や生活の不摂生、過労、慢性病による体力低下などにより発生します。

からだの諸機能が衰えており、耳鳴りや目のかすみ、足腰の衰えなどの症状を伴います。この患者さんは、さらに寒がりとのことですので「腎陽虚(じんようきょ)」証です。

この患者さんには、腎陽を補うことにより人体の諸機能の衰えを補って、めまいなどの症状を改善する漢方薬を服用してもらい、ふらつきやめまいを治していきました。

    (こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

    *執筆・監修者紹介*

    幸井俊高 (こうい としたか)

    東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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