過緊張の症例

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

◆薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で過緊張(過度の緊張)が改善した症例

こちらは症例紹介ページです。過緊張の解説ページは こちら へどうぞ

■症例1「会社のミーティングが苦手です。最近は役員会に呼ばれる機会が増え、発表しなくてはならない場面では、緊張しすぎて冷や汗をかき、声がうわずります」

それほど緊張しやすいほうではありませんでしたが、役員会の重苦しい雰囲気での報告や、大事な取引先でのプレゼンテーションとなると、かなり緊張します。

最近そういう機会が増えたせいか、下腹部の膨満感、残便感、頻尿、胸苦しさなどの症状があります。舌は紅色をしています。

この人の証は「肝鬱気滞」です。肝の気(肝気)の流れがわるくなっている状態で、刺激に対する反応が敏感になっているために、過度の緊張が生じています。

腹部の膨満感、残便感、頻尿、胸苦しさ、舌が紅色、などは、この証の特徴です。便秘と下痢を繰り返す場合もあります。

この証の人に対しては、肝気の鬱結を和らげて、ストレス抵抗性を高める漢方薬を使います。この人は、2か月ほど漢方薬を服用し、過度の緊張を和らげました。飲んでいると調子がいいとのことで、その後も続服しています。

■症例2「接客業をしていますが、緊張しやすく、特にお客さんがいらいらしたり、怒ったり、大きな声を出したりすると、どきどきして、手が震えてしまいます」

もともと疲れやすく、あまり体力や根性のないほうでした。顔色につやがなく、生理不順で生理が遅れがちです。ときどき立ちくらみがあります。舌は赤く、舌苔は薄くて乾燥しています。

この人の証は「肝陽化風(かんようかふう)」です。

五臓の肝において必要な血液や栄養(肝血)が不足している証(肝血虚[かんけっきょ])がベースにあり、肝の機能(肝陽)が抑制されずに上昇して肝陽上亢(かんようじょうこう)が強くなると、あるいは長引くと、筋をつかさどる肝の機能が失調してこの証になり、震え、引きつりなどの症状(内風)が生じます。めまいやふらつきなどの症状も現れます。

この体質の場合は、肝陽を落ち着かせて内風を和らげる漢方薬で治療を進めます。この人は漢方薬を5カ月ほど服用したころから手の震えが治まり、その後はベースにある肝血虚を改善するための漢方薬に切り替えて服用を続けています。

■症例3「小心者で、ちょっとしたことですぐ緊張し、不安になります。気持ちが落ち着かず、夜もよく目が覚めます」

昔から心配性で、細かいことが気になります。落ち着いてじっとしているのが苦手です。夜は布団に入っても目がさえてしまい、ようやく眠りについても職場でのリアルな夢をみて、またすぐに目が覚めてしまいます。

手足がほてるので、よく手足を布団から出しています。寝汗をよくかきます。動悸や、耳鳴り、胸苦しい感じがあります。舌は紅色をしています。

この人の証は「心腎不交(しんじんふこう)」です。人間の意識や思惟など、高次の精神活動(神志[しんし])をつかさどる五臓の心が過度の刺激を受けて高ぶり、熱を帯びて「心火」となり、同時に五臓の腎の陰液が消耗(陰虚)して「腎陰虚」となっています。

生活の不摂生や過労、緊張する場面の継続などで、この証になります。心火に加え、陰虚のために熱証が高まります(陰虚火旺[いんきょかおう])ので、緊張、不安、じっとしていられない焦燥感、不眠、動悸に加え、手足のほてり、寝汗、ふらつき、口渇などの症状がみられます。

この証の人に対しては、腎陰を潤しつつ心火を冷ます漢方薬を使います。この人は、腎陰を補う漢方薬と、心火を冷ます漢方薬)を併用し、およそ1年かけて緊張体質を改善しました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。

ご相談・ご予約はこちら

関連する記事を読む

自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

カウンセリングスタッフ紹介