化学物質過敏症の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
◆薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で化学物質過敏症が改善した症例
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■症例1「新しい家に引っ越してきて以来、体調がすぐれません。のぼせやすく、寝汗をかきます。病院で検査を受けましたが異常はなく、恐らくシックハウス症候群だろうから引っ越すしかない、と言われました」
頭がぼーっとします。集中力が続かなくなりました。喉がよく渇きます。舌は紅く、乾燥しています。舌苔はほとんど付着していません。
この人の証は、「腎陰虚(じんいんきょ)」です。五臓の腎の陰液(腎陰)が不足している体質です。陰虚体質であるために微量の化学物質に敏感に反応してしまいます。
頭がぼーっとする、集中力の低下などの症状に加え、のぼせ、寝汗、口渇、紅く乾燥した舌、少ない舌苔などの熱証を伴うのが、この証の特徴です。めまい、耳鳴り、手足のほてりなどの症状がみられることもあります。
この証の場合は、漢方薬で腎陰を補い、化学物質過敏症を治します。この患者は熱証が強かったので、腎陰を補うとともに、熱を冷ます作用が強いを使いました。3カ月目くらいから症状が緩和されてきました。
■症例2「目がちくちくするので近所の眼科を受診したところ、似たような症状の人が他にもおり、恐らく郊外にある農薬工場の影響だろうとのことでした」
工場自体は環境に配慮した操業を続けており、国の環境基準も満たしており、問題ないと言われたそうです。しかし化学物質過敏症の人は、農薬から放散される微量な化学物質に反応して体調を崩すことがあります。
この患者の場合、目の痒み、目のかすみ、めまいもあります。舌をみると、紅い色をしています。
この人の証は、「肝陰虚(かんいんきょ)」です。五臓の肝の陰液(肝陰)が不足している体質です。陰虚体質であるために微量の化学物質に敏感に反応してしまいます。
この証の場合は、肝の陰液を補う漢方薬で、化学物質過敏症を治療します。漢方薬の服用後、目のちくちくは2カ月くらいで軽減しましたが、目の痒みやめまいがまだ続いていたため、そのまま飲み続けてもらったところ、8カ月ほどでだいぶ改善されました。
■症例3「病院で化学物質過敏症だと言われました。隣家の衣類の柔軟剤の香りが風に乗って流れてくると、息苦しくなります。動悸がしたり、夜に寝付きにくくなったりすることもあります」
電車に乗っていて、近くにいる人の制汗剤の香りで同じように息苦しくなることもあります。
疲れやすく、汗がじわりと出ることがあります(自汗)。不安感に駆られることもあります。舌は白く痩せて乾燥しています。舌苔は少ししか付着していません。
この人の証は、「心気陰両虚(しんきいんりょうきょ)」です。五臓の心の機能(心気)と陰液(心陰)が不足している体質です。陰虚体質であるために微量の化学物質に敏感に反応してしまいます。
息苦しい、動悸、不眠、疲労倦怠感、自汗、不安感、やせて乾燥した白い舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。めまい、のぼせ、手のひらや足の裏のほてり、口渇、焦燥感などの症状がみられることもあります。
この証には、心気と心陰を補う漢方薬で、化学物質過敏症を治療します。この患者は、漢方薬を服用し続け、1年後には症状が出なくなりました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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