のぼせ・ほてり(熱感)の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で のぼせ・ほてり(熱感)が改善した症例
こちらは症例紹介ページです。のぼせ・ほてり・ホットフラッシュの解説は こちら へどうぞ
■症例1「更年期で、のぼせが強く、顔がすぐに真っ赤になって汗が出て、困っています」
47歳の女性です。のぼせのほかに、いらいら、不眠などの更年期障害があります。舌は赤く、黄色い舌苔が付着しています。
この人の証は「肝火」です。更年期に入り、五臓の肝の機能(肝気)が失調し、肝気の流れが鬱滞して熱を帯び、この証になっています。自律神経系のバランスが失調しているようです。
のぼせ、顔面紅潮、いらいら、不眠、赤い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。怒りっぽい、頭痛、目の充血などの症状を伴う場合もあります。
この証の人に対しては、肝気の流れを改善し、肝火を鎮める漢方薬を使います。この女性の場合、服用を始めて数週間目くらいから、症状の改善がみられるようになりました。
■症例2「仕事が忙しく、慢性的な疲労が何年も続いています。体がだるく、体調も芳しくなく、手足のほてりが気になります」
夜は冬でも手のひらと足の裏がほてり、布団から出して寝ています。寝汗もかきます。過労のせいか、めまいや耳鳴りがあります。舌は赤く乾燥しており、舌苔はほとんど付着していません。
この人の証は「陰虚火旺(いんきょかおう)」です。人体を構成する陰液が消耗すると、相対的に熱邪が旺盛になって機能が亢進し、この証になります。陰液とは、人体の構成成分のうち、血(けつ)・津液(しんえき)・精(せい)を指します。
慢性的な体調不良や過労、生活の不摂生、緊張の連続、老化などにより、この証になります。特に午後から夕方、夜間にかけて熱感が生じるため、布団から手足を出して寝ています。
この人の場合、さらに根本に「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」証があります。過労により、生命活動に必要な根本的なエネルギーや栄養が枯渇している状態です。
このような体質の場合は、漢方薬で陰液を潤すことにより、体調を立て直し、熱感を解消していきます。2種類の漢方薬を服用した結果、それまでと同じ仕事量をこなしているにもかかわらず、半年後には不快な熱感が解消され、1年後には疲労感も解消されました。
■症例3「不妊症です。下半身の冷えが原因のように思いますが、上半身ののぼせも気になります」
42歳の女性です。不妊治療専門のレディースクリニックで治療を受けていますが、妊娠しません。昔から生理痛が重く、肩凝りや腰痛もあります。舌は、紫色がかった赤色をしています。
この女性の証は「血瘀(けつお)」です。血流が鬱滞しやすい体質です。精神的ストレスや冷え、体内の過剰な水分、生理機能の低下などにより、この証になります。疾患が慢性化して長引いて血流が悪くなり、この証になる場合もあります。
血行が悪いために熱が上半身に鬱積してのぼせ、逆に下半身は冷えます(上熱下冷)。
生理痛、肩こり、腰痛、紫色の舌などは、この証の特徴です。子宮筋腫、子宮内膜症、不正性器出血、舌に紫色の斑点がある、などの症状を伴う場合もあります。
この証の場合は、漢方薬で血行を促進し、鬱血を取り除いていきます。この女性は漢方薬を服用し、冷えのぼせは5カ月後くらいに解消しましたが、その後も服用し続け、1年2カ月後に妊娠しました。妊娠後は流産予防のために別の処方を飲み続け、翌年、出産しました。
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のぼせ、ほてりなどの熱感は、病気とはいえませんが、症例2や症例3のように、慢性的な病気や体調不良と深く関係している場合が少なくありません。
のぼせやほてりの解消とともに体質が改善され、体調が良くなることが多々あります。自分の体が発する声に素直に耳を傾けることが、健康な体を維持するためのコツといえるでしょう。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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