多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)(症例)

薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内)における多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の漢方治療の成功例


多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の解説ページは こちら

症例①「卵巣の表面を柔らかくする(その1)」・・・原因はストレス

28歳の女性の例です。初潮からずっと生理は順調でしたが、社会人になってからはストレスが多く、生理が遅れて来るようになりました。

2か月以上生理が来なかったので婦人科に行ったところ、検査で卵巣に小さな卵胞がたくさんあることがわかり、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されました。それ以来ピルを服用していましたが、やめるとまた生理が来なくなり、心配です。

このかたは、精神的なストレスなどで気の流れが滞り、その結果、なかなか排卵できない体質になってしまったようです。

ストレスや緊張をゆるめて卵巣の機能を正常化させていく漢方薬を服用してもらい、8か月ほどで生理がもとのように安定して来るようになりました。排卵もちゃんとできているようです。

ストレスは、ホルモンや自律神経のバランスに影響を与えやすく、ストレスの影響で生理不順や無月経になる人はたくさんいます。漢方薬には、ストレスに対する抵抗性を高める効果もあります。

ピルを飲んでもストレスに強くなるわけではありません。漢方薬で体質が改善し、「自力で安定した排卵ができる体質」になった例です。

症例②「卵巣の表面を柔らかくする(その2)」・・・原因は血行不良

29歳の女性のケースです。生理の周期がばらばらです。生理痛もひどく、つらいようです。4か月間生理が来なくて病院に行ったところ多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とのこと。

「このままでは生理は来ないかもしれない」と言われ、ピルを飲みました。ピルを飲むと周期が安定し、生理痛も劇的に軽くなりました。しかしピルの服用をやめると、また元の状態に戻ります。

この女性は、血液の流れがよくない体質のようです。そのせいで生理が乱れ、重い生理痛に見舞われ、卵巣の表面も硬くなっているのでしょう。そこで血行を改善する漢方薬を服用してもらったところ、3か月後から生理が来るようになり、7か月後からは周期が28日に安定し、生理痛も軽くなりました。

血流の悪化は、さまざまな病気や症候を引き起こします。とくに婦人科系の疾患との関わりは深いようです。

この女性は漢方薬で血流を改善することにより、さまざまな症状を改善し、「自力で安定した排卵ができる体質」をつくることができました。

症例③(不妊)「卵巣の表面を柔らかくする(その3)」・・・原因は脂肪など余分な蓄積

39歳の女性、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で不妊治療中です。体外受精を3回行ったあとお休みしていますが、生理が乱れ、困っています。(不妊治療をする前は、生理は安定し、基礎体温もきれいでした。)

いまは生理周期が29~40日と遅れぎみで、基礎体温をみると高温期と低温期の温度差が小さく、低温期から高温期への移行がだらだらとゆっくりです。男性ホルモン値が高く、にきびができます。太りやすい体質で、太りぎみです。

卵巣の表面が硬くなっている原因に、過剰なコラーゲン繊維(線維)の存在が関係している場合があるようです。

このかたの場合は、このような余分なたんぱく質や脂肪を除去する漢方薬で生理を安定させていき、半年ほどで妊娠しました。体重も減りました。

人体に不要なものがたまりやすい体質を漢方で改善し、おそらく卵巣の表面が柔らかくなり、「自力で安定した排卵ができる体質」になり、妊娠できた例です。

不妊治療を続けて体調の不調、体力の低下を招いた場合にも、漢方薬は効果があります。

症例④(不妊)「ホルモンバランスを調えて妊娠」・・・原因はホルモンバランス不調

41歳の女性です。5年前に結婚しましたが子宝に恵まれず、3年前から不妊治療をしています。黄体形成ホルモン(LH)が卵胞刺激ホルモン(FSH)よりも高いLH>FSHという状態で、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と言われています。

体外受精を5回しましたが、卵の質がよくなく(グレードが低く)、なかなか移植、着床までたどり着きません。

この女性の場合は、根本的にホルモンバランスを調える漢方薬を服用してもらいました。その結果、42歳で妊娠し、43歳で無事出産できました。妊娠中も流産予防などの目的で漢方薬を飲みました。

漢方薬には、ホルモンバランスを調える働きがあります。ホルモンバランスが調えば、「自力で安定した排卵ができる体質」になります。卵の質(グレード)も良くなります。

体外受精など高度生殖医療と併用して成果をあげる場合も少なくありません。年齢的なことが心配な場合も、漢方薬を服用すると効果的です。

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あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。

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(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆者紹介*

幸井俊高  (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。

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当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

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