口渇(ドライマウス)の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
◆薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で口渇(ドライマウス)が治った症例
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■症例1「今年で49歳、月経周期が不規則になり、更年期の症状が出てきました。つらいのは、口の渇き、のぼせ、手足のほてりです」
口の渇きと手足のほてりは、とくに夜間に顕著です。口が渇いて何度か目覚めることもあるので、寝るときには必ず水を枕元に置いておくようになりました。手足は熱がこもったようになり、布団から出して寝ています。舌は深紅色で乾燥しており、舌苔はほとんど付着していません。
この人の証は、「腎陰虚(じんいんきょ)」です。腎の陰液(腎陰)が不足している体質です。口の渇き、とくに夜間の口の渇き、のぼせ、手足のほてり、深紅色の舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。寝汗、便秘などの症状がみられることもあります。
この証の場合は、漢方薬で腎陰を補い、治療を進めます。この患者さんは、漢方薬の服用を始めて2か月後、手足のほてりが楽になってきました。半年後には口の渇きもずいぶん軽くなり、寝ている間に口渇で起きるのはせいぜい1回に減りました。気がつくと、いらいらしなくなりました。
その後も漢方薬を服用し、51歳で閉経するまで、つらい更年期障害に悩まされることなく過ごすことができました。
■症例2「口渇がつらいので病院で診てもらったところ、シェーグレン症候群の疑いがあると言われました。母が膠原病でしたので心配です」
口の中が渇いてねばねばします。最近は、食べたものの味をあまり感じなくなってきました。目も乾燥します。ごろごろする違和感があります。唇や肌も乾燥しています。舌はぽってりと大きく、淡白色をしています。
この患者さんは、「脾陰虚(ひいんきょ)」証です。飲食物の消化吸収や代謝と関係が深い五臓の脾の物質面(脾陰)が不足している体質です。
この体質の場合は、脾陰を補う漢方薬を用いて治療をしていきます。この患者さんに漢方薬をを服用してもらったところ、1か月後、唾液の分泌量が多くなってきたように思います。ねばねばする感じが少し緩和されてきました。3か月後、味覚が少し戻ってきました。7か月後、唇の乾燥が気にならなくなりました。8か月後、ドライマウスもほとんど気にならなくなりました。味覚も戻り、以前のようにおいしく食事ができるようになりました。
■症例3「口が渇き、冷たい水をがぶがぶ飲みます。血糖値が高く、糖尿病の予備軍と言われています」
暑がりで、よく汗をかきます。運動などで、顔がすぐ赤くなり、ほてります。口臭も気になります。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。
この患者さんの証は、「胃熱(いねつ)」です。胃から上部の消化器官に熱邪が停滞している証です。口渇、冷たいものを多飲する、多汗、顔面紅潮、ほてり、口臭、紅い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。
この体質の場合は、漢方薬で胃熱を冷まし、治療していきます。この患者さんは、漢方薬の服用を始めて1か月後、顔のほてりが少し楽になってきました。4か月後、冷たい水を飲むのは相変わらず好きですが、がぶがぶ飲むことが少なくなりました。7か月後、強烈な口渇はほとんどなくなりました。10か月後の検診で、血糖値が下がっていました。口臭も気にならなくなりました。
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今回紹介した症例のほかに、口渇のほかに、からだが重だるく、体内に熱がこもった感じがして、べっとりとした舌苔が舌に付着しているようなら、「湿熱(しつねつ)」証です。湿熱を除去する漢方薬で、口渇の治療をします。
口が渇くが温かいものを少量飲めば癒される場合は、「痰飲(たんいん)」証です。痰飲を取り除く漢方薬で口渇の治療にあたります。
口は渇くが、喉を潤すというより、うがいをして口の中を潤したいような場合は、「血瘀(けつお)」証です。血行を促進する漢方薬で血瘀を除去し、口渇の治療をします。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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