痛風・高尿酸血症(症例)
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
激痛の再発防止や予防に漢方 − 痛風・高尿酸血症の漢方治療の成功例
こちらは、痛風・高尿酸血症を漢方で治療した症例を紹介するページです。当薬局では、痛風・高尿酸血症の根本原因を除去することにより、痛風・高尿酸血症の治療を進めます。このページでは、いくつかの成功例を紹介します。
漢方では、患者一人一人の証(しょう)に合わせて、処方を判断します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
症例1 尿酸値が下がり、足の痛みや違和感が解消
「数年前から健康診断で尿酸値が高いと指摘されています。去年くらいから、食べすぎ飲みすぎた翌日などに、ときどき足の親指の付け根に違和感と軽い痛みを感じるようになりました。病院で鎮痛薬と尿酸降下薬を処方されましたが、ずっと飲み続けなければならないといわれ、漢方で体質改善できればと思っています」
尿酸値が高くなった数年前から、食事と運動に気をつけないと痛風になるといわれていますが、仕事が忙しく、なかなか実行できていません。足には、むくみもあります。舌には白い舌苔がべっとりと付着しています。
この人の証は、「痰飲(たんいん)」です。異常な水液と化した病理産物である痰飲が体内に蓄積され、高尿酸血症になったのでしょう。むくみ、べっとりとした白い舌苔などは、この証の特徴です。
この証の場合は、痰飲を取り除く漢方薬を用い、痛風・高尿酸血症の治療にあたります。この患者さんには、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を服用してもらいました。2か月後、漢方の服用を始めてから尿酸降下薬を服用していませんが、足の違和感と痛みを感じる頻度が減ってきました。半年後、ここ1か月は足の痛みを感じることがありませんでした。その後も漢方薬の服用を続け、それ以来、足の痛みが生じることはなくなりました。1年後の健康診断で、尿酸値は正常値に下がっていました。
症例2 繰り返す痛風発作の痛みを治療
「5年前に初めて痛風を発症しました。それ以来、1〜2年に一度、痛風発作を繰り返します。今回4度目の発作です」
左足が痛みます。足首から先が赤く腫れています。しびれもあります。腫れて痛くて靴が履けません。足のむくみが少しあります。舌は淡紅色で、白い舌苔が付着しています。
この患者は、「風湿痺(ふうしっぴ)」証です。風湿邪により経絡が塞がれて閉じ、気血の流れが妨げられ、関節の疼痛やしびれ、運動障害などが生じ、痛風を招いています。
この体質の場合は、風湿邪を除去する漢方薬を用いて、痛風・高尿酸血症の治療を進めます。この患者さんには、疎経活血湯(そけいかっけつとう)を服用してもらいました。4週間後、足の痛み、発赤、腫れが顕著に軽くなりました。しかしまだ靴は履けません。その後も少しずつ症状がおさまり、2か月後には、足の痛みはなくなりました。
症例3 尿酸値とともに体重や中性脂肪も減った
「ここ2年、健康診断で尿酸値が高く、今回は8.9mg/dlでした。尿酸降下薬の服用を勧められましたが、自覚症状がまったくないこともあり、飲みたくありません」
健康診断では、ほかに中性脂肪値が高めでした。身長165cm、体重78kgでBMIが28.7、痩せるようにも言われています。ほかに、便秘がちで、ストレスが多く、いらいらしやすいほうです。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。
この人の証は、「肝火(かんか)」です。肝気が鬱滞して熱邪を生み、尿酸の合成が過剰になり痰飲が溜まり、高尿酸血症になったのでしょう。便秘、ストレスの影響、いらいらしやすい、紅い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。
この証の場合は、漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、痛風・高尿酸血症を治療していきます。この患者さんには、大柴胡湯(だいさいことう)を服用してもらいました。半年後の検診で、尿酸値が8.0mg/dlに下がりました。1年後には、7.2mg/dlまで下がりました。体重も減って68kgとなり、BMIは25.0となりました。中性脂肪値も下がりました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。
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