痛風・高尿酸血症

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

激痛の再発防止や予防に漢方 − 漢方で痛風や高尿酸血症の根本原因を排除

こちらのページでは、痛風や高尿酸血症の漢方治療について解説します。当薬局では、痛風や高尿酸血症の根本原因となる病邪を漢方薬で除去することにより、痛風や高尿酸血症の治療を進めます。

*目次*
痛風・高尿酸血症とは
症状
原因
治療
治療(痛風・高尿酸血症の漢方治療)
体質別の漢方治療方針
よく使われる漢方薬
予防/日常生活での注意点

症例紹介ページもあります)

痛風・高尿酸血症とは

痛風は、体内で尿酸が過剰になり、関節に溜まって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる疾患です。

尿酸は、プリン体が新陳代謝の過程で分解して作られる物質で、いわば老廃物です。この尿酸の血中濃度が高くなり、血清尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症です。男性に多く、高尿酸血症は成人男性の約2割に認められるようです。

症状

痛風の発作が起きると、足の親指(第1趾)の付け根の関節などが腫れ、耐えがたいほどの激痛に襲われます。風が患部に吹くだけで激痛が走ることから痛風と名づけられたようです。

原因

痛風や高尿酸血症の原因となるプリン体は、ほとんどの食品に含まれていますが、とくに肉類や内臓、魚卵、魚介類に多く含まれます。それらをたくさん食べ続けていると、体内のプリン体が増え、尿酸値が高まります。

ただし体内の尿酸のうち、飲食物から摂取されるプリン体によるものは2割程度で、残りの多くは体内で合成されたものです。体内での尿酸の合成が増えることにより、高尿酸血症になります。

また、腎臓での尿酸排泄機能が低下しても血液中の尿酸が異常に増加し、高尿酸血症になります。

治療

対症療法的に痛みや尿酸値を薬でコントロールしたい場合は西洋医学、体質から根本的に改善して再発を防いだり尿酸値を下げたりしたい場合は漢方が適しています。

西洋医学では、尿酸降下薬を使います。尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。尿酸降下薬は、服用を中止すると約2週間で尿酸値が元の値に戻るので、飲み続ける必要があります。痛みや炎症が強いときは、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)やステロイドを使用します。前兆症状や発作の鎮静にはコルヒチンも使われます。

治療(痛風・高尿酸血症の漢方治療)

漢方では、痛風は痰飲(たんいん)と関係が深い疾患と捉えています。痰飲とは、津液(しんえき)が水分代謝の失調などにより異常な水液と化した病理産物です。津液とは、人体の正常な生理活動に必要な水液のことで、血液が運ぶ栄養物質なども津液に含まれます。この津液の流れが失調すると痰飲になり、さまざまな疾患の根本原因となります。

したがって漢方では、漢方薬で痰飲を除去したり、痰飲が生じた原因を治療したりして、痛風や高尿酸血症を治療していきます。

高尿酸血症は、痛風発作(関節炎)が起きない限り自覚症状がないため、服薬を途中でやめる人が多いのが現状ですが、薬を飲まないと病気は治りません。自覚症状がなくても服薬を継続することが肝要です。痛風発作を繰り返すうちに症状が悪化し、関節の腫れがひどくなり、腎臓障害などを併発することもあります。

症例紹介ページもあります)

体質別の漢方治療方針

漢方では、患者一人一人の体質に合わせて、漢方薬で痰飲を除去したり、痰飲が生じた原因を治療したりして、痛風や高尿酸血症を治療していきます。以下に、痛風や高尿酸血症にみられることの多い証(しょう)と漢方薬を紹介します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

  • ①痰飲

飲食の不摂生が関係している場合や、尿酸の合成が過剰と考えられる場合は、「痰飲(たんいん)」証です。痰飲とは、津液が水分代謝の失調などにより異常な水液と化した病理産物です。暴飲暴食や体内の尿酸合成機能失調により痰飲が体内に蓄積されると、高尿酸血症になります。痰飲を取り除く漢方薬を用い、痛風・高尿酸血症の治療にあたります。

  • ②肝火

肥満やストレスが関係しているようなら、「肝火(かんか)」証です。からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝の機能(肝気)が、精神的なストレスや緊張の持続、感情の起伏などの影響によりスムーズに働かなくなり鬱滞し、熱邪を生み、この証になります。肝気の失調により、尿酸の合成が過剰になり痰飲が溜まり、高尿酸血症になります。漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、痛風・高尿酸血症を治療していきます。

  • ③風湿痺

関節に痛みやしびれ、違和感などの症状が生じているようなら、「風湿痺(ふうしっぴ)」証です。風湿邪による痺証(ひしょう)です。痺証は、経絡が風邪、寒邪、湿邪などの病邪によって塞がれて閉じ、気血の流れが妨げられ、筋肉や関節の疼痛やしびれ、運動障害などが表れる証です。風湿邪を除去する漢方薬で、痛風・高尿酸血症の治療を進めます。

  • ④湿熱

関節の腫れや熱感、発赤が顕著なら、「湿熱(しつねつ)」証です。湿熱は体内で過剰な湿邪と熱邪が結合したものです。湿熱が関節に停滞すると、腫れや熱感、発赤など、痛風の症状が表れます。脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、アルコール類の日常的摂取や大量摂取などにより、この証になります。湿熱を除去する漢方薬で、痛風・高尿酸血症の治療をします。

  • ⑤腎陽虚

安定期で症状がまったく表れていないか、たまにこわばりを感じる程度で、腎機能の低下が考えられる場合は、「腎陽虚(じんようきょ)」証です。腎の陽気(腎陽)が不足している体質です。腎は五臓のひとつで、体液の代謝全般を根本的に調整します。陽気の不足により、下半身や手足の冷え、寒がり、頻尿(とくに夜間)などの寒証がみられます。腎陽を補う漢方薬で、高尿酸血症の治療をしていきます。

  • ⑥腎陰虚

同じく安定期で、たまに熱感や発赤が生じる程度で、腎機能の低下が考えられる場合は、「腎陰虚(じんいんきょ)」証です。陰は陰液のことで、腎の陰液(腎陰)が不足している体質が、腎陰虚です。陰液の不足により相対的に陽気が亢進するため、患部に熱感や発赤がみられます。腎陰を補う漢方薬で高尿酸血症を治します。

ほかにも痛風・高尿酸血症にみられる証はたくさんあります。証が違えば薬も変わります。自分の証を正確に判断するためには、漢方の専門家のカウンセリングを受けることが、もっとも確実で安心です。

よく使われる漢方薬

  • ①越婢加朮湯など

飲食の不摂生が関係している場合や、尿酸の合成が過剰と考えられる場合は、たとえば、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)など、「痰飲(たんいん)」証を治療する漢方薬を用います。

  • ②大柴胡湯など

肥満やストレスが関係しているようなら、たとえば、大柴胡湯(だいさいことう)など、「肝火(かんか)」証を治療する漢方薬を使います。

  • ③疎経活血湯など

関節に痛みやしびれ、違和感などの症状が生じているようなら、たとえば、疎経活血湯(そけいかっけつとう)など、「風湿痺(ふうしっぴ)」証を治療する漢方薬を用います。

  • ④茵蔯五苓散、当帰拈痛湯など

関節の腫れや熱感、発赤が顕著なら、たとえば、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)、当帰拈痛湯(とうきねんつうとう)など、「湿熱(しつねつ)」証を治療する漢方薬を使います。

  • ⑤牛車腎気丸など

安定期で症状がまったく表れていないか、たまにこわばりを感じる程度で、腎機能の低下が考えられる場合は、たとえば、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)など、「腎陽虚(じんようきょ)」証を治療する漢方薬を用います。

  • ⑥六味地黄丸など

同じく安定期で、たまに熱感や発赤が生じる程度で、腎機能の低下が考えられる場合は、たとえば、六味地黄丸(ろくみじおうがん)など、「腎陰虚(じんいんきょ)」証を治療する漢方薬を使います。

ほかにも痛風・高尿酸血症を治療する漢方薬は、たくさんあります。当薬局では、漢方の専門家が一人一人の証(体質や病状)を的確に判断し、その人に最適な処方をオーダーメイドで調合しています。

予防/日常生活での注意点

痛風の患者は、食生活の欧米化などにより年々増加しているようです。食生活の乱れや、運動不足、肥満、激しい運動(とくに筋トレなどの無酸素運動)、ストレスでも尿酸値が高まります。アルコールには血中の尿酸を増やす働きがあるため、アルコール飲酒量が多い場合も尿酸値が高まります。プリン体ゼロとされる焼酎などの蒸留酒でも油断できません。

痛風は季節の変わり目や夏に多く発症しますが、在宅勤務や外出自粛で運動不足になると、季節にかかわらず痛風になるリスクが高まります。治療と並行して、食生活の見直しや運動不足の解消、肥満の改善を心がけましょう。

 

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。帝国ホテルプラザ東京内「薬石花房 幸福薬局」代表。薬剤師・中医師。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社サイト「日経グッデイ」「日経DI(ドラッグインフォメーション)」にて漢方コラムを好評連載中。中国、台湾など海外での出版も多い。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。

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