帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛(症例)

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

免疫力を高めて帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛を克服

免疫力と病気との戦いにおいて、西洋医学が病因の排除や症状の緩和を重視して治療をするのに対し、漢方は「免疫力の強化」を重視して治療をします。

漢方では、急性期には症状に合わせた治療も行いますが、おもに、長期化した場合や慢性化して帯状疱疹後神経痛が生じている場合に、患者の免疫力の向上を目指し、治療にあたります。免疫力がじゅうぶんでないと、病気が長引いて慢性化したり再発したりするので、最終的には免疫力の強化が重要である、と漢方では考えます。

人体が持つ免疫力、生命力、抵抗力のことを、漢方で「正気(せいき)」といいます。正邪(正気と病邪)のバランスにおいて、正気(免疫力、生命力)が充実していれば疾病は発生しません。

したがって漢方では、漢方薬で正気を強めていくことにより、免疫力を高め、帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛を治療します。

漢方では、患者一人一人の証(しょう)に合わせて、処方を判断します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

症例1(長引く帯状疱疹を完治)

「3か月前に帯状疱疹になりました。皮膚症状は消えましたが、いまだにチクチクとする痛みが残っており、ときどきピリッと強く痛みます」

3か月ほど前、疲れたなあと感じていた時期に、顔の左側にだけ赤い発疹が帯状に生じました。水ぶくれになり、痛みましたので皮膚科を受診し、飲み薬と塗り薬を服用しました。1か月ほどで発疹と水ぶくれは治りましたが、神経に沿った痛みと違和感が残っています。最近よく、かぜをひきます。ときおり頭がぼうっとします。舌は赤みが少なく、白っぽい色をしています。

この人の証は、「気血両虚(きけつりょうきょ)」です。気と血の両方が不足している状態です。疲労倦怠感、かぜをひきやすい、頭がぼうっとする、白い舌などは、この証の特徴です。

この証の場合は、不足している気血を補う漢方薬を用い、治療にあたります。この患者さんには、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を服用してもらいました。服用を始めて2週間後、痛みが和らいできました。1か月後には痛みも違和感もなくなりました。

症例2(帯状疱疹後神経痛の痛みを治療)

2年前に帯状疱疹になったあと、神経痛が残っています。シャツがすれるだけでもジリジリと痛みます」

帯状疱疹は腹部の左側に生じました。当時の疼痛と比べると軽くなりましたが、今でも痛みます。頭痛もあり、目がよく充血します。いらいらしやすく、夜眠れないこともあります。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。

この患者さんは、「肝火(かんか)」証です。からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝の機能(肝気)が鬱滞し、熱邪を生んでこの証になり、帯状疱疹後も神経痛が残っているのでしょう。

この体質の場合は、肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮める漢方薬を用い、帯状疱疹後神経痛を治療します。この患者さんには、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)を服用してもらいました。服用を始めて2か月後くらいから、痛みが緩和されてきました。6か月で完治しました。

症例3(冷えやしびれを伴う帯状疱疹後神経痛)

「帯状疱疹のあと神経痛が残っています。しびれもあります」

鎮痛剤を飲んでいますが、疼痛でぐっすり眠れない夜もあります。痛みは、冷えると悪化します。冷え症で寒がりです。元気がなく、すぐ眠くなります。舌は淡白色で、湿った白い舌苔が付着しています。

この患者さんの証は、「腎陽虚(じんようきょ)」です。五臓の腎の陽気(腎陽)が不足している体質です。腎陽の衰えは正気の減衰につながり、免疫力の低下を招きます。冷え症、寒がり、元気がない、すぐ眠くなる、湿った白い舌苔などは、この証の特徴です。

この証の場合は、漢方薬で腎陽を補い、免疫力を高めていきます。この患者さんには、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を服用してもらいました。2週間後から痛みが軽くなってきましたが、まだまだ冷えると痛みます。その後、少しずつ改善し、2か月後には、痛みを感じることがなくなりました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。帝国ホテルプラザ東京内「薬石花房 幸福薬局」代表。薬剤師・中医師。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。「日経グッデイ」「日経DI(ドラッグインフォメーション)」にて漢方コラム好評連載中。

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