頚椎症(症例)
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
痛みやしびれの根本原因を排除 – 頚椎症の漢方治療の成功例
こちらは、頚椎症を漢方で治療した症例を紹介するページです。漢方では、気や血の流れをととのえ、痛みの根本原因となる病邪を除去することにより、頚椎症の治療を進めます。このページでは、いくつかの成功例を紹介します。
漢方では、患者一人一人の証(しょう)に合わせて、処方を判断します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
症例1 電気が走るような激痛が改善
「首の後ろから背中にかけて痛みます。重い荷物を持ったときに電気が走るような激痛が腕に生じることもあります」
痛むところは、いつも同じ部分です。病院でX線などによる検査の結果、頚椎症性脊髄症と診断されました。冷えると痛みが強くなります。夏のクーラーからの冷風も苦手です。お風呂に入って温まると、痛みが軽減します。舌には白く湿った舌苔が付着しています。
この人の証は、「痛痺(つうひ)」です。寒邪が侵入することにより、痺証となっています。寒邪は気血を凝滞させやすいため、痛みは激しく、固定性です。冷えると痛みが強くなる、温めると楽になる、白く湿った舌苔などは、この証の特徴です。
この証の場合は、寒邪を除去する漢方薬を用い、治療を進めます。この患者さんには、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)を服用してもらいました。服用を始めて1か月後、首や背中の痛みが軽くなってきました。4か月後には、重い荷物を持っても激痛に見舞われることがなくなりました。
症例2 手の指のこわばりが解消
「頚椎症です。字を書くときやパソコンのキー操作で思うように力が入らず、困っています」
手の指には、こわばった感覚があり、痛みもあります。こわばりは、朝起きたときが顕著です。天気がわるくなる前の日も、具合がわるくなります。リウマチが疑われましたが血液検査の結果、リウマチではないことがわかっています。舌は白く、表面に白い舌苔がべっとりと付着しています。
この患者さんは、「着痺(ちゃくひ)」証です。湿邪による痺証です。湿邪が盛んなため、痛みや筋力の低下が生じているようです。
この体質の場合は、湿邪を除去する漢方薬を用い、頚椎症を治療します。この患者さんには、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)を服用してもらいました。服用を始めて1か月後くらいから、朝の手の指のこわばりが軽くなってきました。3か月後には、痛みを感じることがほとんどなくなりました。6か月後には、ほぼストレスなく字を書いたりパソコンのキー操作をしたりできるようにまでなりました。
症例3 しびれと肩こりを改善
「左右の手から腕にかけて、しびれ感があります。手ほどではありませんが、足がしびれることもあります」
しびれる場所は、日によって異なります。肩こりも強く、ときに痛みます。病院での検査の結果、頚椎症を診断されています。舌は淡紅色で、白い舌苔が付着しています。
この患者さんの証は、「行痺(こうひ)」です。風邪(ふうじゃ)による痺証です。風邪が経絡を侵すため、しびれや痛みが表れます。移動性(遊走性)の痛み、しびれ、淡紅色の舌、白い舌苔などは、この証の特徴です。
この証の場合は、漢方薬で風邪を除去し、治療を進めます。この患者さんには、疎経活血湯(そけいかっけつとう)を服用してもらいました。1か月後くらいから、しびれが軽減してきました。3か月後には、肩こりがぐっと楽になりました。その後も少しずつ改善し、5か月後には、しびれを感じることがなくなりました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。
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