肺MAC症(非結核性抗酸菌症)(体験談)

肺MAC症(非結核性抗酸菌症)が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

肺MAC症(非結核性抗酸菌症)を漢方薬で治療した成功例を紹介します。漢方では、患者一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

人間ドックで見つかった肺MAC症を完治

「人間ドックで肺に影があると言われ、検査をして肺MAC症と診断されました」

どろっとした透明の痰が出ます。ときどき深緑色をしています。咳も出ます。とくに運動したときなどによく咳が出ます。呼吸が浅く、じわりと汗をかきます。寝汗もかきます。舌は白っぽい色をしています。

この人の証は、「肺気虚(はいききょ)」です。五臓の肺の機能が弱い体質です。肺の機能が弱いために肺MAC症にかかったのでしょう。透明の痰、咳(とくに労作性)、呼吸が浅い、自汗(じわりとかく汗)、寝汗などは、この証の特徴です。

この証の場合は、肺気を補う漢方薬を用い、肺MAC症の治療をします。この患者さんには、人参養栄湯(にんじんようえいとう)を服用してもらいました。3か月後、咳はほとんど出なくなりました。痰はまだ出ます。6か月後、深緑色の痰は出なくなりました。9か月後、痰はもう出なくなりました。再検査で肺の影は消えていました。

血痰と食欲不振を伴う肺MAC症を完治

「肺MAC症です。咳と痰がひどくなったので病院に行ったところ、見つかりました」

ときどき血の匂いの息が肺から上がってきます。こうなると血痰が出ます。体がだるく、疲れやすくなりました。食欲が落ちました。舌は白く、その上に白い舌苔がべっとりと付着しています。

この患者さんの証は、「脾気虚(ひききょ)」です。脾は五臓のひとつで、消化吸収や代謝をつかさどり、気血(エネルギーや栄養)の源を生成します。この脾の機能が弱いと、気がじゅうぶん生成されず、免疫力が低下します。さらに脾胃が弱まると肺の機能が低下しやすいため、肺MAC症になったのでしょう。

この体質の場合は、脾気を強める漢方薬を用い、肺MAC症を治します。この患者さんには、六君子湯(りっくんしとう)を服用してもらいました。5か月後には、血痰がほとんど出なくなりました。7か月後、咳と痰もずいぶん少なくなりました。1年後、咳と痰はまったく出なくなりました。だるさもなくなり、元気になりました。

症例1の肺気虚と、今回の脾気虚の両方の症状がみられる場合は、「肺脾気虚(はいひききょ)」証です。参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)などを用います。

血痰、だるさ、不眠を伴う肺MAC症を治療

2か月前に血痰が出たので病院で調べてもらったところ、肺MAC症だとわかりました」

2年前に血痰が出たことがあります。血痰のほかに、咳も出ます。空咳です。肺と気管支が、咳をしていなくても何となく痛みます。口がよく渇きます。体がだるく、寝つきがわるくなりました。舌は紅く乾燥しており、舌苔は付着せず、舌面に光沢があります(鏡面舌)。

この患者さんの証は、「肺陰虚(はいいんきょ)」です。五臓の肺の陰液が不足しており、肺の粘膜の潤いが足りず、免疫力が低下し、感染症にかかりやすい状態なので肺MAC症にかかったのでしょう。血痰、空咳、口渇、紅く乾燥した舌、鏡面舌などは、この証の特徴です。

この証の場合は、漢方薬で肺の陰液を補い、肺MAC症を治療します。この患者さんには、滋陰降火湯(じいんこうかとう)を服用してもらいました。1か月後、血痰が出なくなりました。痰はまだ出ます。4か月後、痰は、たまに出る程度にまで落ち着きました。だるさと不眠がまだ続いていたので漢方薬を飲み続け、1年後に完治しました。

同じ証で、更年期など、ホルモン内分泌系や自律神経系が乱れて感染症にかかりやすくなっている場合は、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などを用います。微熱、寝汗、不眠などを伴うなら、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)なども使われます。

症例1の肺気虚と、今回の肺陰虚の両方の症状がみられる場合は、「肺気陰両虚(はいきいんりょうきょ)」証です。麦門冬湯(ばくもんどうとう)、竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)などの処方を使います。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。

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