咽喉頭異常感症(体験談)

咽喉頭異常感症が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

咽喉頭異常感症(のどの違和感)が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めします。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

のどに停滞する過剰物を漢方薬で取り除いて治療した症例

「数ヶ月前から、のどに何かつかえている感じがあり、不快です。病院で検査をしましたが異常はみつからず、咽喉頭異常感症と診断されました」

のどにつかえている感じのものは、飲み込もうとしても飲み込めません。何かが上がってきている感じがするのですが、咳払いをしてもとれません。ほかにも、めまいや、立ちくらみをすることが増えました。動悸もします。舌は淡紅色で大きく、ふちに歯のあとが付いています。表面には白く湿った舌苔が付着しています。

この患者さんは、過剰物が体を上昇して咽喉部(のど)に停滞しやすい体質です。そのため、のどに違和感が生じているようです。めまい、立ちくらみ、動悸、舌のふちの歯のあと、白く湿った舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、過剰物を下降させて除去する漢方薬を用い、咽喉頭異常感症を治療します。この患者さんには、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を服用してもらいました。服用を始めて1週間後には、だいぶ楽になりました。1ヶ月後には、のどの不快感は完治しました。めまいや動悸が生じることもなくなりました。

ストレス性の咽喉頭異常感症を漢方治療した症例

「ときどき発作的に、のどに違和感が生じます。のどが急に渇いて何かがくっついている感じになります。そのときは声が出にくくなります」

違和感が生じる頻度は、月に数回程度です。ストレスを強く感じているときだと思います。そのときは不安感が強く、情緒が不安定になり、寝つきがわるく、また眠りが浅くて睡眠の途中で何度か目が覚めます。舌は淡紅色で、舌苔はあまり付着していません。

この患者さんは、ストレスの影響で自律神経系が乱れやすい体質です。そのため、咽喉頭異常感症が生じているようです。

この体質の場合は、ストレスで体調を崩しにくくする漢方薬を用いて、咽喉頭異常感症を治していきます。この患者さんには、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)を服用してもらいました。服用を始めてから、違和感が生じなくなりました。3ヶ月間服用している間に一度も違和感が生じなかったので、漢方薬の服用を終了しました。その後も違和感が生じることはありません。

同じ体質でも、動悸が激しいようなら柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、胃がつかえてガスがたまりやすいようなら香蘇散(こうそさん)などを用います。

緊張によって生じるのどの違和感が漢方薬で治った症例

「緊張したときや、逆に緊張が解けてリラックスしたときに、のどに何かがつかえている感じになります。飲み込もうとしても飲み込めません」

咳払いをして吐き出そうとしても出ません。痰が出るわけではないので、痰がからんでいるのではなさそうです。吐き気があります。苦しいので病院で検査をしましたが、異常はみつかりませんでした。げっぷがよく出ます。舌は淡紅色で、白い舌苔がべっとりと付着しています。

この患者さんは、胃の機能が失調している体質です。飲食物を下降させる胃の機能が失調し、のどに過剰物が停滞し、咽喉頭異常感症になったのでしょう。吐き気、げっぷ、べっとりとした白い舌苔などは、この証の特徴です。

この体質の場合は、漢方薬で胃の機能を正常化させることにより、咽喉頭異常感症を治療します。この患者さんには、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を服用してもらいました。服用を始めて10日ほどで、だいぶ楽になりました。1ヶ月後には、緊張する場面でも違和感が生じなくなりました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。

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