咽喉頭異常感症

咽喉頭異常感症に効く漢方薬

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

咽喉頭異常感症(のどの違和感)の漢方治療について解説します。一般には逆流性食道炎の薬や抗うつ薬、抗不安薬が処方されますが、なかなか治らないことも多いようです。漢方薬としては半夏厚朴湯がよく使われるようですが、これも体質が合わないと効きません。当薬局では、患者さん一人一人の体質に合わせて漢方薬を処方し、咽喉頭異常感症の根本治療を進めています。

*目次*
咽喉頭異常感症とは
症状
原因
一般的な治療
漢方薬による治療
よく使われる漢方薬
予防/日常生活での注意点

症例紹介ページもあります)

咽喉頭異常感症とは

咽喉頭異常感症は、咽喉部(のど)における異物感など、のどに違和感が生じる疾患です。ヒステリー球、あるいは食道神経症とも呼ばれています。漢方では、のどに梅干しの種が引っかかって飲み込もうとしても飲み込めないような感覚なので「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれたり、炙った肉片がのどにくっついているような感覚なので「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん・いんちゅうしゃらん)」と呼ばれたりします。

症状

よくみられる症状には、のどの異物感のほかに、のどのつかえ感、のどに何か引っかかっている感じがとれない、食べたものを飲み込みにくい、のどの締め付け感、のどに何かできている感じがする、のどの渇きや乾燥感、胸のつかえ感、吐き気、めまい、動悸などがあります。

原因

原因としては、逆流性食道炎による胃酸の逆流、あるいは咽喉部の乾燥、後鼻漏、咽喉頭の炎症、甲状腺の疾患、粘痰、悪性腫瘍などがあります。しかし実際には検査をしても原因がみつからない場合が多く、精神的な要因やストレスが関係しているケースが少なくありません。

一般的な治療

咽喉頭異常感症の治療法には、原因となっている病気を治療する方法や、体質から根本原因を改善していく方法があります。西洋医学では、対症療法的に胃酸分泌抑制剤を用いるなど、原因となる病気の治療が行われます。原因が特定できない場合は抗不安薬、抗うつ薬などが用いられます。

漢方薬による治療

漢方では、咽喉頭異常感症の根本的な原因となっている体質的な要因を改善することにより、咽喉頭異常感症の根治を図ります。咽喉頭異常感症と関係が深いのは、五臓六腑の胃と肺です。胃は六腑のひとつで、消化吸収をつかさどります。肺は五臓のひとつで、呼吸をつかさどります。

これら胃や肺において気の流れが停滞したり潤いが失われたりすると、のどに違和感が生じます。したがって漢方では、臓腑の胃や肺の機能を安定させることにより、咽喉頭異常感症の根本的な治療を進めます。

症例紹介ページもあります)

よく使われる漢方薬

漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決めます。同じ咽喉頭異常感症という病名でも、体質が違えば効く漢方薬も異なります。使われることが多い処方に半夏厚朴湯がありますが、だれにでも効くわけではありません。以下に、咽喉頭異常感症にみられることの多い体質と漢方薬を紹介します。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

  • ①半夏厚朴湯

吐き気など、胃から上がってくるような症状がみられるようなら、漢方でいう「胃気上逆(いきじょうぎゃく)」という体質です。胃内の過剰物が胃から上逆し、のどの違和感や、吐き気が生じます。半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など、胃内の過剰物を除去する漢方薬で、咽喉頭異常感症を治療します。

  • ②麦門冬湯

のどの渇きや乾燥感があるようなら、「胃陰虚(いいんきょ)」という体質が考えられます。胃の粘液が足りない体質です。そのため、のどの違和感、のどの渇きや乾燥感が生じます。麦門冬湯(ばくもんどうとう)など、胃の陰液を補う漢方薬で、咽喉頭異常感症を治していきます。

  • ③柴朴湯

のどの締め付け感や咳を伴う場合は、「肺気逆(はいきぎゃく)」という体質です。肺から気や過剰物が上昇し、のどに鬱滞し、のどが狭まり、のどの違和感や、締め付け感が生じます。柴朴湯(さいぼくとう)など、肺気を正常に下降させて上気道に鬱滞する気や過剰物を除去する漢方薬で、咽喉頭異常感症を治療します。

  • ④麦味地黄丸

痰がからんでなかなか切れないような感じなら、「肺陰虚(はいいんきょ)」という体質です。肺の分泌液が少ない体質です。呼吸器系の粘膜の潤いが不足して乾燥し、のどの違和感が生じます。麦味地黄丸(ばくみじおうがん)などの漢方薬で肺の陰液を補い、咽喉頭異常感症を治します。

  • ⑤甘麦大棗湯

精神的ストレスの影響が大きいと考えられる場合は、「肝鬱気滞(かんうつきたい)」という体質がよくみられます。からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働きを持つ五臓の肝(かん)の機能がスムーズに働いていない体質です。肝は自律神経系と関係が深い臓腑です。精神的なストレスや緊張の持続などにより、自律神経系が乱れ、咽喉頭異常感症が生じます。甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などの漢方薬で肝気の鬱結を和らげて流れをスムーズにし、咽喉頭異常感症を治していきます。

  • ⑥苓桂朮甘湯

のどに水分か何かが上がってきているような感覚が強いなら、「痰濁上擾(たんだくじょうじょう)」という体質です。過剰物が体の上部に上昇して咽喉部に停滞することにより、のどに違和感が発生します。苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)など、過剰物を下降させて除去する漢方薬で、咽喉頭異常感症を治療します。

ほかにも咽喉頭異常感症にみられる体質はたくさんあります。体質が違えば薬も変わります。自分の体質を正確に判断するためには、漢方の専門家のカウンセリングを受けることが、もっとも確実で安心です。当薬局では、漢方の専門家が一人一人の体質を的確に判断し、その人に最適な処方をオーダーメイドで処方しています。

予防/日常生活での注意点

日常生活では、胃酸の逆流が考えられる場合は暴飲暴食を控え、姿勢を正して腹腔内の内臓への圧迫を和らげるよう心がけましょう。規則正しい生活や、散歩などの適度な運動、深呼吸、じゅうぶんな睡眠、禁煙、リラックスで、自律神経のバランスを安定させましょう。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。帝国ホテルプラザ東京内「薬石花房 幸福薬局」代表。薬剤師・中医師。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の一般向けの健康情報サイト「日経グッデイ」や、医師・薬剤師向けの情報サイト「日経DI(ドラッグインフォメーション)」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。

 

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