慢性腎臓病(CKD)(体験談)

慢性腎臓病(CKD)が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

慢性腎臓病が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

高血圧をあわせ持つ慢性腎臓病の患者さんを漢方薬で治療した症例

「健康診断でeGFRが58.0ml/min/1.73㎡と低値でした。専門医を受診したところ、慢性腎臓病と診断されました。自覚症状はありませんが心配です」

検査でたんぱく尿にも異常があり、陽性(1+)でした。ときどき尿が泡立ちます。血圧が高く、降圧薬を服用しています。肩がこります。舌には紫色の斑点(瘀斑:おはん)がみられます。

この体質の場合は、血行をよくする漢方薬を用いて慢性腎臓病を治療します。この患者さんには、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月後、肩こりが和らいできました。半年後の検査ではeGFRが72.1まで改善しました。たんぱく尿も陰性でした。血圧も下がっており、降圧薬が軽いものに変更されました。

脂質異常症(高脂血症)をあわせ持つ慢性腎臓病の患者さんを漢方治療した症例

「健康診断でeGFRが54.7と低値で、尿に潜血反応が出ました。専門医で慢性腎臓病と診断されました」

朝から手の指や顔、足の甲などがむくんでいます。中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロール値が高く、スタチン系製剤を服用しています。むかし祖父が生きていたころ透析を受けており、日常生活に大きな負担となっていたので、腎不全になるのは避けたいと思っています。胃腸は丈夫で、便秘がちです。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。

この患者さんは、過剰な水液が溜まりやすい体質です。中性脂肪などの過剰な水液が腎臓に負担をかけ続けた結果、慢性腎臓病になった可能性があります。

この体質の場合は、漢方薬で過剰な水液を取り除くことにより、慢性腎臓病の治療を進めます。この患者さんには、大柴胡湯(だいさいことう)などを服用してもらいました。服用を始めて1か月後、便の調子が改善されました。3か月後の検査ではeGFRが59.6、尿の潜血反応は陰性でした。むくみも軽減してきました。1年後の検査でeGFRが68.3まで改善しました。

吐き気や食欲不振がみられるようなら、小柴胡湯(しょうさいことう)を用います。神経質で咳や痰の症状も伴う場合は、柴朴湯(さいぼくとう)を使います。口渇や下痢を伴う場合は、柴苓湯(さいれいとう)がいいでしょう。

加齢に伴う慢性腎臓病の漢方治療症例

「夜間頻尿です。健康診断では血清クレアチニン値が1.12 mg/dlと高く、慢性腎臓病の疑いがあるので塩分を控えめにするよう言われています」

72歳の男性です。寝ている間は2〜3時間おきに尿意で目が覚めます。疲れやすく、膝や腰に力が入りません。舌は白っぽく、湿っています。

この患者さんは、加齢や過労などの影響により腎臓の機能が低下している体質です。腎臓機能の低下により、慢性腎臓病が生じたものと思われます。夜間頻尿、疲労倦怠感、膝や腰の無力感、白く湿った舌などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、加齢による腎臓機能の低下を漢方薬で抑えることにより、慢性腎臓病の治療にあたります。この患者さんには、八味地黄丸(はちみじおうがん)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月後、夜間尿が3〜4時間おきになりました。半年後の検査で血清クレアチニン値が0.92と基準値内にまで下がりました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

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