不整脈(体験談)

不整脈が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

不整脈が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

疲労の蓄積により生じた不整脈を漢方薬で治療した症例

「不整脈です。とくに疲れたときに動悸が激しくなり、心配です」

夜寝る前に心拍が速くなり、このままどうにかなるのではと不安になることもあります。病院で診てもらいましたが、異常はみつかりませんでした。疲れやすく、息切れしやすいほうです。舌は白っぽく、白い舌苔が薄く付着しています。

この患者さんは、血液循環機能をつかさどる五臓の心(しん)の機能が低下している体質です。漢方で「心気虚(しんききょ)」といいます。疲労の蓄積などにより心の機能が低下して、不整脈が生じているのでしょう。動悸、不安感、疲労倦怠感、白い舌、白く薄い舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、心の機能を漢方薬で補うことにより、不整脈を治療します。この患者さんには、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などを服用してもらいました。服用を始めて2週間後、少し症状が改善されてきました。2か月後、疲れても不整脈が生じることはほとんどなくなりました。

過労のほかに、加齢が不整脈に関係してそうなら、漢方でいう「心気陰両虚(しんきいんりょうきょ)」という体質かもしれません。五臓の心の機能と養分の両方が不足している体質です。炙甘草湯(しゃかんぞうとう)などの漢方薬で心の機能と養分を補い、不整脈の治療をします。

過労などの影響で生じた不整脈を漢方治療した症例

「会社で緊張を強いられたときや、逆に、そのあとリラックスしたときに、不整脈が起こります」

最近ときどき胸が痛くなるので病院で検査を受けたところ、不整脈だが薬を飲むほどではないと言われました。それでも心配です。仕事が忙しく、過労気味です。いらいらしやすく、怒りっぽくなりました。のぼせやすく、赤ら顔です。舌は、先端が紅く、黄色い舌苔が付着しています。

この患者さんは、過労などの負荷により五臓の心の機能が失調し、不整脈となったのでしょう。漢方でいう「心火(しんか)」という体質です。

この体質の場合は、漢方薬で心の機能を落ち着かせることにより、不整脈の治療を進めます。この患者さんには、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)などを服用してもらいました。服用を始めて1か月後、胸が痛くなることが減り、のぼせにくくなりました。2か月後、胸痛はほとんど起こらなくなりました。4か月後、いらいらしても不整脈が生じることがずいぶん減りました。6か月後、やたらと怒ることが少なくなり、不整脈もほとんど生じなくなりました。

同じく、いらいらしやすいタイプでも、憂鬱感や情緒不安定もみられるようなら、漢方でいう「肝火(かんか)」という体質です。体の諸機能を調節する五臓の肝(かん)の機能が、精神的なストレスや緊張の持続の影響によりスムーズに働かなくなっている体質です。この体質の場合は、自律神経が乱れることにより、不整脈が生じます。柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方薬で、肝の機能をスムーズに働くようにし、不整脈を治療します。

不整脈とともに呼吸が浅くなるタイプの漢方治療症例

「心配性で、気になることがあると脈が速くなります。そういうときは呼吸が浅くなります」

不整脈がしばらく続くと不安になり、息苦しくなります。めまいや、立ちくらみがすることがあります。舌は淡紅色で大きく、舌のふちに歯形がついており、白く湿った舌苔が付着しています。

この患者さんは、漢方でいう「痰濁上擾(たんだくじょうじょう)」という体質です。体内で生じた異常な水液(痰飲(たんいん)といいます)が上半身に突き上げてくることにより、不整脈が表れているようです。めまい、立ちくらみ、呼吸が浅い、息苦しい、歯痕、白く湿った舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、漢方薬で痰飲を下降させて除去し、不整脈を治療します。この患者さんには、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3週間後、少し気持ちが落ち着いてきました。2か月後、不整脈とともに、不安感も和らいできました。5か月後、呼吸が浅くなることや息苦しくなることも、ほとんどなくなりました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

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(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

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