漢方で「いらいら人生」からの大転換

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー

いらいらして周囲にきつくあたってしまう若い女性が、体内でくすぶっている余分な“火”を鎮める漢方に出会い、穏やかで平和なな気持ちで過ごせるようになるまでの過程を、薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。

同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)


■■いらいら人生は、つまらない■■

 わたしは最近、いらいらしやすい。自分でもいやなんだけど、たとえば彼氏のちょっとした一言や行動にもいらいらしてしまう。

 先日も、こんなことがあった。

「亜希ちゃん、その日はちょっと予定を変更して、こっちに合わせてよ」

 え、予定の変更? その日はすでに別の予定が入っている。彼の勝手な要求に、わたしはいらいらした。

「なに言ってるのよ、自分の都合ばかり優先して」

 にこにこしていた彼は、わたしのきついことばにびっくりしたようだった。

「なんだよ、そんなにいらいらして。生理前?」

 なに? 生理前だって? わたしはますますいらいらして、

「そんなの、あなたには関係ないでしょっ」

 と彼をにらみつけて別れた。

 どうしてこんなにいらいらしちゃうのだろう。彼の言うとおり生理前は余計にいらいらするけれど、最近はそうでないときもいらいらしやすい。彼に不快な思いをさせているなあ、と帰り道には反省するんだけど、そのときにはいらいらが抑えられなくて、わがままな行動やことばが出てしまう。こういう性格が自分でもいやで、いらいらのあとは落ち込んでしまう。

 そんな愚痴を、食事のときに友人の奈々子に話していたら、奈々子が言った。

「亜希子も漢方薬でも飲んで解消すれば? そのいらいらを」

「漢方でいらいらを解消?」

 こうやって好きな友だちとおいしい料理を食べていれば、心やすらかにいらいらもしない。好物のグラタンを口に運びながら、奈々子に聞いてみた。

「そういえば奈々子、漢方薬を飲んでいたわね」

「そう、わたしの場合は不安神経症っていう立派な病名が付いていたわ。それが漢方のおかげで、すっかり改善されたのよ」

「不安がなくなったの?」

「というか、同じことに対しても、必要以上に不安や緊張を感じなくなった、っていう感じかな」

「へえ、いいわね、それ」

「不安と緊張の材料は、相変わらずあるの。わたしの場合は会社の “お局さま”の存在。お局さまがたは今も元気にご活躍だけど、漢方薬のおかげで気持ちはぐっと楽になったわ。心の持ち方に余裕ができた、っていうところかな」

「同じことに対しても不安を感じなくなるっていいわね。わたしも、これまでいらいらしていた対象に対しても、いらいらせずに穏やかに対処できるようになるかしら」

「うん、試してみたら?」

 さっそく奈々子が通っていた漢方薬局に行くことにした。


■■いらいらが体調不良の原因■■

「慢性的な病気や症状の多くは、心の問題と深く関係しています」

 漢方の先生が話してくださった。

「心の問題って、精神的なストレスとか、悩みとか緊張とかですか?」

「そう、たとえば胃潰瘍という病気の場合、物理的なものや化学的なもの、たとえば化学薬品を誤って飲んでしまったとか、刺激物の食べすぎとか、あるはアルコール類の飲みすぎや喫煙、そういうことによって発生するのはせいぜい全体の2割程度です。残りの8割は、精神的なストレスが原因ともいわれています」

 わたしは驚いて聞き返した。

「そんなに多いのですか」

「そうです。だからストレス対策をしないかぎり、胃潰瘍は根治できません。薬で一時的に痛みを抑えることはできますが再発しやすいのは、このためです。炎症や潰瘍だけを抑えても、それは単なる対症療法ですから」

「炎症とか潰瘍とか、刺激物とかたばことか、そういう目に見えるものばかりを相手にしていてもだめ、ということですね」

「ぜんぜんだめ、というわけではありませんが、目に見えるものだけでは本質が見えません。大事なものは目に見えないことが多いのです。人が絵や音楽で感動するのも、亜希子さんがこれまでいらいらしやすかったのも、対象は単なる物質ではなく、目に見えない何か、でしょ」

「たしかにそうですね。絵の具の色やピアノの音色もきれいですけど、感動が深まるのはそれだけではありませんね。わたしがいらいらする対象も、彼氏や上司、同僚という人間だけというわけでなく、自分の心の状態や、人間関係がおかれた状況などに関連しているみたいです」

「そうでしょ。病気や体調不良も同じです。慢性的な病気や不調は、その人自身が作り出している、という面もあるわけです」

 そうか、心の問題か。病気はその人自身が作り出している、という話を聞いただけで、なんとなく気持ちが落ち着いてきたような気がした。

「いらいらという症状は、現代医学では病気とはとらえにくいものですが、漢方では、からだ全体のバランスがわるくなってきている徴候としてとらえています。」

「バランスを重視するのですね」

「そうです。漢方では、いらいらすると自覚症状がある場合を“煩”、周りから見てもいらいらしているとわかる場合を“躁”とよんでいます。煩も躁も、“心火”あるいは“肝火”といった証の人によくみられる症状です」

「心火? 肝火? ですか?」

「そう、体内で燃える火邪が悪さをして、いらいらという症状が生じるのです」

 先生によると、火邪というのは邪気のひとつで、もともと人体に必要とされている熱の性質をもつものの勢いが激しくなり、人体に悪影響を及ぼすようになったものだという。そのうち心火というのは、思い悩みなどが募りすぎることにより邪気と化したもので、いらいら以外には、焦燥感があり、なかなか寝つけず、落ち着きがなくなり、動悸、口内炎、舌の痛みなどの症状も現れるらしい。また肝気というのは、怒りや抑うつ感情が高まって邪気となったもので、いらいら以外に、怒りっぽい、ヒステリックになる、頭痛、めまい、耳鳴り、悪夢をみる、便秘などの症状が現れるとのことだ。

 えっ、それって、わたしの今の体調そのものだわ、と驚いていると先生がおっしゃった。

「ほら、亜希子さんの体調不良の多くが、いらいらと関係しているでしょ」

「先生のおっしゃるとおりですね。びっくりしました。わたしには余分な“火”が体内でくすぶっているわけですね」

「そうです。それが情熱や愛情の炎ならいいのですが、心理的に不安定だったり、ものの見方が後ろ向きだったりすると、それが嫉妬やうたぐりの火となります。そうなると、同じことでも邪推して良くないほうに解釈して、結局いらいらしてしまうのです」

 たしかに言われてみれば、いらいら、かっか、もやもやしているときは、心の中が熱っぽい感じがするなあ、と思った。


■■漢方と意識の改善で、前向きに■■

「心の持ち方、ものの考え方も大事ですよ。とにかくいらいらしても何の得にもなりませんから」

「それは自分でもよくわかっているんですけど……」

「大事なのは、ものの見方です。グラス半分のワインを見て、まだ半分もあると思う人と、あと半分しかないと思う人とでは、生活の楽しさが違いますよね。意識を前向きに持つことが大切ですよ」

「プラス思考ですね」

「そう、グラスにはワインがまだ半分ある、とものごとを良い方向にとらえれば、たとえば先日の彼の一言も、生理前のつらい時期にいる亜紀子さんをいたわってくれて発したことばだったかもしれませんよ」

「そうですね。でも先生、それがそう簡単にできなくて困っているのです。ものごとを悪い方向に解釈して勝手にいらいらして、それでそんな自分にまたいらいらして」

「無理しなくてもいいですよ。あわてなくても大丈夫。余分な“火”を冷ますような漢方薬をお作りしますから」

 わたしは肝火を消す(漢方道の必殺技②)効果の高い漢方薬を毎日煎じて飲むことになった。その苦い漢方薬は、いかにも体内の激しすぎる炎を弱めてくれている感じがした。

 結局その漢方薬と意識の改善で、わたしの人格改造は劇的にすすんだ。おかげで最近のわたしは、いつも穏やかで、にこにこしている。彼も喜んでくれているだろうけど、何が起こったのか少し不思議に思っているかもしれない。

「亜希ちゃん、生理おわったの?」

「ふふ、さあどうかしらね」

 何を言われても平和な気持ちでいられる今日この頃です。

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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