関節リウマチ

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

関節リウマチの漢方治療 − リウマチが生じた根本原因を漢方で除去

こちらのページでは、関節リウマチの漢方治療について解説します。当薬局では、関節リウマチの根本原因となる病邪を漢方薬で除去することにより、関節リウマチの治療を進めます。

*目次*
関節リウマチとは
症状
原因
治療
治療(関節リウマチの漢方治療)
体質別の漢方治療方針
よく使われる漢方薬
予防/日常生活での注意点

症例紹介ページもあります)

関節リウマチとは

関節リウマチは、関節が炎症を起こし、腫れて痛む疾患です。膠原病の一種で、免疫機能が異常をきたして炎症を引き起こす自己免疫疾患です。男性よりも女性、とくに30〜50歳代の女性に多く発症します。

膠原病は、皮膚や関節、筋肉、内臓などに広く分布する結合組織に炎症や変性が起こる慢性疾患です。関節リウマチの他に、全身性エリテマトーデス、強皮症などがあります。

症状

関節リウマチの場合は、関節を構成する組織のひとつである滑膜が自己免疫の標的となり、炎症を起こしてしまいます。したがって、関節の痛み、腫れ、こわばりなどが生じます。悪化すると軟骨や骨が破壊され、関節が変形してしまいます。かつては難病で、関節リウマチが全身に広がって寝たきりになることもありましたが、今では治療薬が進歩し、進行を抑えることが可能になってきています。

関節リウマチの特徴として、関節を動かさなくても痛みが生じる点や、手や足の関節で起こりやすいこと、左右対称に症状が生じやすいことなどが挙げられます。

原因

関節リウマチは、免疫機能の異常により起こると考えられています。免疫とは、外から体内に入ってこようとする異物を排除してからだを守る仕組みです。自分自身の構成成分には本来反応しません。しかし何らかの原因によってこの仕組みが失調すると、本来守るべき自分自身の細胞や組織に対して攻撃するようになります。その結果、炎症が生じます。これを自己免疫疾患といいます。

治療

炎症や痛みを薬でコントロールしたい場合は西洋医学、体質から根本的に改善して悪化や慢性化を防ぎ症状の緩和を目指したい場合は漢方が適しています。

西洋医学では、抗リウマチ薬や、消炎鎮痛薬(NSAIDs)、ステロイド、生物学的製剤などを用い、生活に支障がないように症状を抑えてコントロールします(寛解)。

治療(関節リウマチの漢方治療)

漢方では関節リウマチを、風寒湿邪や熱邪が経絡を侵した病態と捉えています。風寒湿邪とは風邪(ふうじゃ)と寒邪と湿邪のことです。

風邪、寒邪、湿邪、熱邪は、いずれも病因(病気の原因)の一種です。それぞれ自然界の風、寒冷、潮湿、火熱により生じる現象に似た症候を引き起こす病邪です。

経絡は、人体の基本的構成成分である気・血・津液が運行する通路です。全身に分布して人体をひとつの有機体として結びつけ、生命活動を機能させます。経絡の流れが潤滑だと我々は健康ですが、流れが滞ると体調を崩します。

関節や筋肉にしびれや痛み、運動障害などが生じる証を、中医学で痺証(ひしょう)と呼びます。痺証は、経絡が風寒湿邪などの病邪によって塞がれて閉じ、気血の流れが妨げられ、筋肉や関節の疼痛やしびれが表れる証です。関節リウマチは、痺証のひとつの疾患です。痺証は、基本的に気血が不足して経絡が空虚になっているときに生じやすい証です。

したがって漢方では、これらの病邪を漢方薬で除去することにより、関節リウマチの治療にあたります。

症例紹介ページもあります)

体質別の漢方治療方針

漢方では、患者一人一人の体質に合わせて、病邪を除去し、関節リウマチを治療します。以下に、関節リウマチにみられることの多い証(しょう)と漢方薬を紹介します。証とは、患者の体質や病状のことです。患者一人一人の証(体質や病状)に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

  • ①行痺

痛みが移動性で、あちらこちらと移動しやすい場合(遊走性)は、「行痺(こうひ)」証です。風邪による痺証です。風邪が経絡を侵すため、関節の疼痛、しびれ、運動障害などの症状は多発性で、その部位は遊走し、固定しません(これらは風邪の特徴です)。行痺のことを風痺(ふうひ)とも呼びます。風邪を除去する漢方薬で、関節リウマチの治療を進めます。

  • ②着痺

関節が重だるく、痛みやしびれが生じている部位がいつも同じ(固定性)で移動しないなら、「着痺(ちゃくひ)」証です。湿邪による痺証です。湿邪が盛んなため、重く滞り停滞しやすく、固定性で重だるい痛みを呈します(これらは湿邪の特徴です)。手足の重だるさ、動かしにくさ(関節の運動障害、こわばり)、むくみ、皮膚のしびれなどを伴います。関節に水がたまり(関節液)、はれることもあります。梅雨などの湿度の高い季節や環境、低気圧の接近などで症状が悪化します。朝起きたときなど動き始めるときに痛むのも特徴です。着痺のことを湿痺(しっぴ)ともいいます。湿邪を除去する漢方薬で、関節リウマチを治します。

  • ③痛痺

強い固定性の痛みがあり、とくに冷えた環境などで痛みが悪化するなら、「痛痺(つうひ)」証です。寒邪が侵入することにより生じる痺証です。寒邪は気血を凝滞させやすいため、固定性の激しい疼痛が生じます。痛みは、寒い日や冷房の効いた場所などで冷えると強くなり、お風呂に入るなど、温めると楽になります(これらは寒邪の特徴です)。冷え症で、局所や全身に冷えを感じます。痛痺のことを寒痺(かんぴ)とも呼びます。寒邪を除去する漢方薬で、関節リウマチの治療を進めます。

  • ④熱痺

患部の発赤、熱感、腫脹などが顕著なら、「熱痺(ねっぴ)」証です。熱邪による痺証です。熱邪が強いため、発赤や熱感などの熱証があらわれます。症状は冷やすと軽減します(これらは熱邪の特徴です)。熱邪を除去する漢方薬で、関節リウマチを治療します。

ほかにも関節リウマチにみられる証はたくさんあります。証が違えば薬も変わります。自分の証を正確に判断するためには、漢方の専門家のカウンセリングを受けることが、もっとも確実で安心です。

よく使われる漢方薬

  • ①疎経活血湯など

痛みが移動性で、あちらこちらと移動しやすい場合(遊走性)は、たとえば、疎経活血湯(そけいかっけつとう)など、「行痺(こうひ)」証を治療する漢方薬を用います。

  • ②薏苡仁湯など

関節が重だるく、痛みやしびれが生じている部位がいつも同じ(固定性)で移動しないなら、たとえば、薏苡仁湯(よくいにんとう)など、「着痺(ちゃくひ)」証を治療する漢方薬を使います。

  • ③桂枝加苓朮附湯など

強い固定性の痛みがあり、とくに冷えた環境などで痛みが悪化するなら、たとえば、桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)など、「痛痺(つうひ)」証を治療する漢方薬を用います。

  • ④白虎湯など

患部の発赤、熱感、腫脹などが顕著なら、たとえば、白虎湯(びゃっことう)など、「熱痺(ねっぴ)」証を治療する漢方薬を使います。

ほかにも関節リウマチを治療する漢方薬は、たくさんあります。当薬局では、漢方の専門家が一人一人の証(体質や病状)を的確に判断し、その人に最適な処方をオーダーメイドで調合しています。

予防/日常生活での注意点

日常生活では、自分の体質に合わせた養生が大切です。たとえば、痛痺証の人は、体が冷えないように環境や服装にじゅうぶん注意を払い、アイスクリームなど体を冷やすものの飲食は避け、鮭など体を温める食材を積極的にいただきましょう。着痺証なら、湿気の多い場所での滞在をできるだけ控え、とうもろこしなど体内の余分な湿気を除去する食材を積極的にとりましょう。

 

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を20冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社のサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・執筆、好評連載中。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は銀座で営業している。

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

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(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

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