ニキビ(吹き出物)の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬でニキビ(吹き出物)が治った例
こちらは症例紹介ページです。ニキビの解説ページは こちら へどうぞ
症例1「にきびで悩んでいます。化粧をすると悪化するので、化粧ができません」
両頬を中心に、真っ赤なにきびがたくさんできています。前髪をあげると、おでこにもできています。鼻のまわりの毛穴では、皮脂や角質が毛穴の中でかたまって角栓となり、毛穴が開き、にきびが黒ずんでいます。大きく化膿したにきびもあり、それは痛みを伴うとのことです。舌は赤く、黄色い舌苔が付着しています。
この人の証は「熱盛」です。体内で熱邪が勢いづいている状態です。熱邪の影響で炎症が生じ、赤いにきびができています。にきびの勢いが強く、化膿傾向にある、かゆみや痛みを伴う、赤い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。
この証の人に対しては、熱邪を取り除く漢方薬でにきびを治療します。熱邪を冷まし解毒作用もある処方を用いたところ、2週間できれいに治りました。
たいへんよく効いた例ですが、食生活改善のアドバイスなどをきっちりと守り、それ以来、にきびは再発しないで過ごしています。脂っこいものや、味の濃いものは体内で熱邪と化しやすいので、注意が必要です。
症例2「社会人になってから、にきびができるようになりました。生理前に悪化します」
こめかみや、あご、耳の下あたりに、赤いにきびができています。生理前は、にきびが多発するだけでなく、いらいらや落ち込みも激しくなります。舌は赤く、白い舌苔が薄く付いています。
この人の証は「肝火(かんか)」です。肝(かん)は五臓六腑の一つで、身体の諸機能や精神情緒の調整をする臓腑です。この肝の機能がストレスや激しい感情の起伏などで失調すると熱邪が生じ、にきびができます。この人も社会人になってストレスが強くなり、緊張する機会が増え、それがもとで肝火証になったようです。
この体質の場合は、肝火を鎮める漢方薬を4カ月間服用し、にきびを治しました。
症例3「ニキビ痕(あと)がなかなか消えません。若い頃は、こんなことなかったのですが」
にきびは最盛期を超え、丘疹は治まり、肌のでこぼこはなくなっていますが、にきびができていたところに紫色っぽい色素沈着が残っています。舌もにきび痕同様、やや紫色をしています。他の気になる体調としては、生理痛があります。
この人の証は「血瘀(けつお)」です。血流が鬱滞しやすい体質です。にきびの痕に紫色っぽい色素沈着が残りやすく、にきび自体も暗い色や紫紅色を呈します。生理痛や、舌の色が紫色なのも、この証の特徴です。紫色の斑点が舌に見られることもあります。
この体質の人に対しては、血行を促進し、うっ血を取り除く漢方薬を使い、にきびやにきび痕を治療します。この人の場合は、漢方の服用半年ほどかけてにきび痕を消していきました。生理痛も軽くなったと喜ばれました。
その他のケース
皮膚科で抗菌薬やケミカルピーリングによる治療を繰り返すうちに、にきびが完治しにくくなる場合もあります。患部の皮膚の免疫力が低下しているような状態です。これは、「気血両虚」証です。生命エネルギーを意味する「気」や、血液や栄養を意味する「血(けつ)」が不足している体質です。過労や体調不良の影響でも、この証になります。
気血が不足しているため、にきびの原因である熱邪を排除することができなくなり、にきびがなかなか治りません。赤みは薄く、小さな丘疹がいつまでも治らないようなケースです。気血を補う漢方薬を使って治療を進めます。
にきびの治療には、漢方薬による「にきび体質」の改善と同時に、にきびを悪化させる生活習慣の見直しも重要です。食生活の改善、睡眠不足の解消、便秘の改善、禁煙なども大切です。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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