痩せすぎ(低体重)の症例
◆薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で痩せすぎ(低体重)が治った症例
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■症例1「子どもの頃から胃腸が弱く、なかなか太れません。痩せているせいか疲れやすく、階段の昇り降りで息切れがします。体重を増やして元気になりたいと思っています」
身長170cmで体重50kgの男性です。
食欲がなく、あまりおなかがすきません。それでも食事の時間には食べますが、食べるとすぐにおなかが張ります。太りたくて無理してたくさん食べても太りません。
便は軟らかく、よく下痢をします。舌は白っぽい色をしています。
低体重の基準は、BMIが18.5kg/m2未満とされています。BMIは体重(kg)を身長(m)で2回割った値ですから、この男性のBMIは17.3kg/m2となり、数値的にも低体重の範囲に入ります。
この人の証は「脾気虚」です。消化吸収や代謝機能をつかさどる五臓の「脾」の機能が低下している体質です。
消化吸収や代謝機能が衰えているために、食べたものがしっかりと血となり肉となってくれません。その結果、体重が増えません。
食欲がない、おなかがすかない、おなかが張る、軟便、白っぽい色の舌などは、この証の特徴です。
この証の人に対しては、脾の機能を高める漢方薬を使います。消化吸収や代謝機能を上げてくれます。この男性は漢方薬を飲み続け、1年ほどで60kgにまで体重を増やしました。BMIは20.8kg/m2になりました。
体重を増やす方法の一つは、食べたものをできるだけたくさん身につけることです。ただし無理やり食べても体重が増えたとは言えません。食べたものが消化管内に残っているだけです。それらが消化吸収されて体内に入り、からだの組織となってこそ、体重の増加につながります。これが、脾の機能です。
ストレスで食欲がない場合は、また異なる治療方針となります。
■症例2「食欲はふつうにあり、ちゃんと食べているのですが太りません。昔から、痩せの大食いだと言われています。このところ、からだの熱感があります」
168cm 51kg、58歳の男性です。
基本的に元気なつもりですが太れません。メタボな友人からはうらやましがられますが、太りすぎよりも痩せすぎのほうが死亡率が高いという話を聞き、気にしています。
大きな病気はしていませんし、人間ドックの検査値にも異常がありませんが、40歳代前半から耳鳴りとめまいに悩まされています。
喉の渇きや手足のほてりなど、からだの熱感があります。夜は布団から足を出して寝ているようです。舌をみると赤く、舌自体も薄く痩せぎみです。
この男性の証は「腎陰虚(じんいんきょ)」です。人体を構成する物質的な面を意味する陰液が不足している体質です。ホルモン内分泌系や自律神経系がバランスを崩し、基礎代謝量が多い体質の人によくみられます。
陰液が少ないために内熱が生じやすく、手足のほてり、喉の渇き、舌が赤く痩せている、などの症状が生じます。めまいや耳鳴りも内熱によるものでしょう。
こういう場合は、腎陰を補う漢方薬で体質を改善していきます。この男性は、4カ月ほどでからだの熱感が薄れ、耳鳴りが消えていきました。約1年後には体重が56kgにまで増えました。BMIは18.1から19.8に上がりました。
人は、陰と陽のバランスの上に成り立っています。人体のおもな構成成分は気・血(けつ)・津液(しんえき)ですが、このうち気は陽に属し、血と津液は陰に属します。それぞれ陽気、陰液といいます。ともに健康体には不可欠です。
このうち陽気が不足した例が、上に紹介した症例1の気虚証です。そして陰液が不足した状態の例が、症例2です。陰と陽、いずれが不足しても健康が損なわれます。
■症例3「胃下垂で、痩せています。レントゲンを撮ると、胃が臍(へそ)の下、骨盤あたりにまで垂れ下がっているそうです。とくに胃に不快な症状はなく、病院でも治療の必要はないと言われていますが、できれば少し太って健康的な体型になりたいと思っています」
158cmで44kgの女性です。
中学生のころから胃下垂だと言われています。食事をした後、おなかがぽこんと出ます。ずっと痩せ形の体型で、健康的な体型に憧れます。食欲はちゃんとあり、ふつうに食べるのですが太れません。
胃下垂や胃アトニーで、痩せている人は少なくありません。痩せているために腹部の筋肉が不足して胃を支えきれないうえに、胃にたまった食べ物の影響で胃の働きが悪くなり、消化不良を起こしてしまい、体重に影響しているものと思われます。
この人の証は「中気下陥(ちゅうきかかん)」です。臓器を定位置にとどめておく「気」の作用(固摂作用といいます)が弱く、筋肉の緊張が低下しています。必要な気を補って消化器系の機能を回復させる漢方薬が効果的です。
中気下陥を改善する働きの強く、消化吸収機能を高めてくれる漢方薬を服用した結果、この女性は体重を50kgにしました。肌荒れにずっと悩んでいたのですが、胃腸の機能がよくなったせいか、肌もすっかりきれいになりました。
このように、痩せすぎの悩みに胃下垂が関係している場合は、胃下垂を治します。同じように、甲状腺機能亢進症や摂食障害で痩せている場合は、それらの治療を並行して進めます。
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以上の症例は「日経DIオンライン」に幸井俊高が執筆した以下の記事にも掲載しています。
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