変形性膝関節症(体験談)

変形性膝関節症が漢方で治った体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

変形性膝関節症が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

膝にたまった湿気を漢方薬で取り除くことにより変形性膝関節症を治療した症例

「変形性膝関節症で、膝の痛みが続いています。足がむくみやすく、重だるく感じます」

朝起きたあとの動かし始めが、とくに動かしにくく感じます。しびれ感や、こわばった感じもあります。膝に水がたまりやすく、病院で何度か、たまった水を抜きました。冷え症です。舌は白く、表面に白い舌苔がべっとりと付着しています。

この患者さんは、過剰な湿気(湿邪といいます)が体内に停滞している体質です。湿邪が下半身に停滞し、膝に侵入して変形性膝関節症になったと思われます。足のむくみ、重だるい痛み、動作開始時の痛み、しびれ、関節のこわばり、膝にたまる水、べっとりとした舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、湿邪を除去する漢方薬を用い、変形性膝関節症の治療を進めます。この患者さんには、薏苡仁湯(よくいにんとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3か月ほどで、足の重だるさやしびれが軽減し、むくみが減りました。6か月後、膝の痛みを感じることはほとんどなくなりました。体重が5キロ減り、喜ばれました。

冷えを伴わないときは、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)などを使います。むくみが顕著な場合は、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などを用います。

加齢に伴い生じた変形性膝関節症を漢方治療した症例

「年齢とともに、膝が痛むようになりました。冷えると悪化します」

膝の痛みは、お風呂に入ると楽になります。病院では、変形性膝関節症と言われています。足がむくみます。腰痛もあります。舌は白くて湿っぽく、ぽってりとしています。舌苔も白く湿っています。

この患者さんは、骨をつかさどる五臓の腎(じん)の機能が低下している体質です。腎の機能が加齢とともに低下し、骨や関節に障害が起こりやすくなり、変形性膝関節症になったのでしょう。

この体質の場合は、腎の機能を補う漢方薬で、変形性膝関節症の治療を進めていきます。この患者さんには、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などを服用してもらいました。2か月後、足のむくみが軽くなってきました。5か月後、足の冷えが例年よりはるかに楽です。7か月後、膝の痛みはほとんど消えました。腰痛も緩和されています。

むくみがさほど顕著でない場合は、八味地黄丸(はちみじおうがん)を用います。

膝関節にたまった過剰な熱を除去することにより変形性膝関節症を漢方治療した症例

「膝が痛く、病院で変形性膝関節症と診断されました。鎮痛薬と湿布を処方されましたが、なかなかよくなりません」

とくに階段の上り下りなどで痛みをひどく感じます。膝は腫れており、やや赤くなっています。熱をもった感じがあります。膝にたまっていた水を病院で抜きました。舌は紅く、白い舌苔がべっとりと付着しています。

この患者さんは、過剰な熱(熱邪といいます)により病気が引き起こされやすい体質です。熱邪が膝を侵し、変形性膝関節症になっているようです。関節の腫れ、発赤、熱感、紅い舌などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、漢方薬で熱邪を除去することにより、変形性膝関節症を治療します。この患者さんには、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3か月ほどで痛みがかなり消えました。鎮痛薬を飲まなくても大丈夫です。5か月後には、膝の腫れや熱感もほとんどなくなりました。膝に水がたまることもありません。漢方のおかげで体重が減ったとのことで、その点でも喜ばれました。

熱感などの熱証がさらに顕著で、膝にたまる水やべっとりとした舌苔などの湿証がみられない場合は、白虎湯(びゃっことう)などを用います。

冷えを漢方薬で取り除くことにより変形性膝関節症を治療した症例

「膝が痛みます。冷えると悪化するので、冷えないように気を使っていますが、なかなか改善しません」

病院で変形性膝関節症と診断されました。膝の痛みは強烈で、階段を降りるときには激痛が走ります。冷え性で、夏のクーラーも苦手です。膝の痛みは、お風呂に入ると楽になります。舌には白く湿った舌苔が付着しています。

この患者さんは、過剰な冷え(寒邪といいます)が体内に侵入することにより体調を悪化させやすい体質です。寒邪は気血を凝滞させやすいため、痛みは激しく、いつも同じ部位が痛みます(固定性)。冷え性、冷えると痛みが悪化する、温めると楽になる、白く湿った舌苔などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、漢方薬で寒邪を除去し、膝の痛みの治療を進めます。この患者さんは桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)などを服用し、2か月目くらいから症状が緩和されてきました。

膝関節を漢方薬で滋養することにより変形性膝関節症を治療した症例

「長年の変形性膝関節症で、膝から下にしびれと痛みがあります。同じところが痛むこともあれば、膝の周りのあちらこちらに痛みが移動する場合もあります」

脚の筋肉がひきつり、夜中にこむら返りに見舞われることがたびたびあります。舌は淡紅色で、白い舌苔が付着しています。

この患者さんは、全身を滋養する血液や栄養(血(けつ)といいます)が不足している体質です。血の不足により膝が十分に滋養されないため、痛みが生じます。しびれ痛み、こむら返りなどは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、血を補う漢方薬で変形性膝関節症の治療をします。この患者さんには四物湯(しもつとう)などを服用してもらいました。1年後には痛みもしびれもすっかりなくなりました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

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