慢性疲労症候群(ME/CFS)(体験談)
慢性疲労症候群(ME/CFS)が漢方で治った体験談
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
慢性疲労症候群(ME/CFS)が漢方薬で治った成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
過労とストレスに起因する慢性疲労症候群を漢方薬で治療した症例

「いくら休んでも回復しないほどの疲れが続いており、微熱もあるので病院に行きましたが、検査をしても異常は見つからず、慢性疲労症候群と診断されました」
仕事が忙しく、日々強いストレスを感じています。頭痛も続いています。喉が痛く、頚部リンパ節がはれています。帰宅後の家事や子育てにも支障が出ています。舌は紅い色をしています。
この患者さんは、体の諸機能を調節して情緒を安定させる五臓の肝(かん)の機能が、精神的なストレスなどの影響によりスムーズに働かなくなって亢進している状態です。自律神経系の亢進が続き、強い疲労感が生じ、慢性疲労症候群となったのでしょう。微熱、頭痛、喉の痛み、リンパ節の腫れ、紅い舌などは、この体質の特徴です。
この体質の場合は、漢方薬で肝の機能をととのえることにより、慢性疲労症候群を治療していきます。この患者さんには、小柴胡湯(しょうさいことう)などを服用してもらいました。服用を始めて1か月後、リンパ節の腫れが引きました。5か月後、微熱が出なくなくなりました。頭痛も軽くなりました。1年後、仕事が多忙なため疲れやすさはまだありますが、土日に休めば元気になるくらいにまで回復しました。
不眠や動悸などの症状もみられるようなら、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を用います。
心労や過労が続く環境で生じた慢性疲労症候群を漢方治療した症例
「疲れやすく、頭がふらふらします。疲れているのに寝つきがわるく、途中でよく目が覚めます。おかげで朝からぐったり疲れています」
仕事が忙しく、人間関係で心労が絶えません。動悸がします。頭がぼうっとします。病院で相談したところ慢性疲労症候群と診断されました。舌は淡白色をしています。
この患者さんは、判断や思考をつかさどる五臓の心(しん)の機能がじゅうぶん養われていない体質です。過度の心労や過労により心に負担がかかり続けてこの体質になり、慢性疲労症候群になったものと思われます。
この体質の場合は、心を養う漢方薬で、慢性疲労症候群を治療します。この患者さんには、帰脾湯(きひとう)などを服用してもらいました。服用を始めて3か月後くらいから、途中で起きないで朝まで続けて眠れるようになってきました。動悸もあまり気にならなくなってきました。7か月後には、朝起きて少しずつですが家事ができるくらいにまで元気になってきました。
慢性疲労症候群で休職していた患者さんを職場復帰させた漢方治療症例
「疲労感が強く、思考力が低下して仕事に支障が生じるようになりました。会社の産業医に相談したところ、慢性疲労症候群と診断されました。現在休職しています」
腰や膝がだるく、歩くのにも疲れを感じます。体に熱感があり、寝汗をかきます。舌は暗紅色で乾燥しており、舌苔はあまり付着していません。
この患者さんは、生きるために必要な基本物質を貯蔵し、人の成長・発育・生殖をつかさどる五臓の腎(じん)の機能が衰えている体質です。腎の衰弱が続いて疲労が慢性化し、慢性疲労症候群になったのでしょう。思考力の低下、腰や膝がだるい、体の熱感、寝汗、暗紅色の乾燥した舌、少ない舌苔などは、この体質の特徴です。動作が緩慢、光や音への過敏性、などの症状がみられることもあります。
この体質の場合は、腎を補う漢方薬を用いて慢性疲労症候群の治療をします。この患者さんには、六味地黄丸(ろくみじおうがん)などを服用してもらいました。4か月後、体の熱感と寝汗がなくなりました。8か月後には、ずいぶん出歩いてもそのあと寝込むようなことがなくなりました。近いうちに職場に復帰できる自信が出てきました。そして発病して1年後に、社会復帰できました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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