慢性疲労症候群(CFS)

西洋医学で原因がわからない慢性疲労症候群 漢方では治療が可能

慢性疲労症候群(CFS)は身体と精神の両方に激しい疲労感が長期間続く疾患で、一般の慢性疲労と区別するために「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」とも称されます。

当薬局(東京・帝国ホテル内 薬石花房 幸福薬局)では慢性疲労症候群の漢方治療のご相談に応じています。

(慢性疲労症候群に漢方薬が効いた症例紹介ページは こちら

慢性疲労症候群には一般的に次のような特徴があります。

強い疲労感: 朝起きたときからひどい疲労を感じ、日常生活に支障をきたすこともある。じゅうぶんな休養をとっても疲労感が回復しない。
付随する症状: 微熱、喉の痛み、頭痛、思考力の低下、抑うつ状態、睡眠障害(不眠、過眠)、筋力の低下、筋肉痛、関節痛、光や音への過敏性、頚部などのリンパ節がはれる、など。
年齢層と性別: 20〜50歳代に発症することが多く、男性より女性に多いとされる。

◆西洋医学で解明できていなくても、漢方では「証」に基づく治療が可能


慢性疲労症候群は、一般の疲労とは違い、免疫系や神経系、内分泌系が関与する疾患だと考えられています。神経伝達物質や脳内血流量の低下とも関係しているといわれています。

原因については、ストレスや免疫異常、ウイルス感染などが考えられていますが、今のところまだわかっていないようです。

西洋医学では、漢方エキス剤や、ビタミン剤、抗うつ薬などが使われています。「疲労に効く漢方薬」という一律的な考えで補中益気湯が処方されることが多いようですが、この薬が効くケースはごく一部です。

漢方では、他の疾患の場合と同様、病名ではなく、患者の証(体質やタイプ)にしたがって処方を判断します。実際の臨床では、五臓の腎、心、肝などが関与しているケースがよくみられます。

補中益気湯は後述のごとく中気下陥証に使われる処方のひとつにすぎません。西洋医学には患者の証という概念がなく、慢性疲労症候群という病名だけから処方を判断してしまうため、患者の証に関わりなく補中益気湯エキス剤が処方され、効かないことが多いのです。

次項で慢性疲労症候群によく見られるタイプを解説します。それぞれに適切な漢方薬が違うので注意が必要です。補中益気湯が効くのは(6)のタイプです。

漢方治療で効果を出すためには、問診に時間をかけ、しっかりと証を見極めて薬を選ぶ実力がある専門家に相談することをお勧めします。


★慢性疲労症候群によくあるタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

(1)「腎陰虚(じんいんきょ)」証

強い疲労感とともに、思考力の低下、微熱、からだの熱感(とくに午後)、寝汗などの症状がみられるようならこの証です。

腎の陰液(腎陰)が不足している体質です。

腎は、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖をつかさどる臓腑です。

陰液とは人体の基本的な構成成分のうちの血・津液・精のことです。陰液の不足により相対的に陽気が優勢となりますので、微熱や寝汗などの熱証が表れます。

→ 腎陰を補う漢方薬で慢性疲労症候群の治療をします。


(2)「心血虚(しんけっきょ)」証

強い疲労感とともに、寝つきがわるい、よく目が覚める、夢をよく見る、朝早く目がさめる、などの不眠症状がみられるようならこの証です。

心(しん)は五臓のひとつで、心臓を含めた血液循環系と、人間の意識や判断、思惟などの人間らしい高次の精神活動をつかさどる臓腑です。大脳新皮質など高次の神経系と深く関係しています。

この心の機能を養う心血が不足しているのが、この体質です。

過度の心労、思い悩み過ぎ、過労が続くことなどにより心に負担がかかり、心血が消耗してこの証になります。

→ 漢方薬で心血を潤し、慢性疲労症候群の治療をします。


(3)「気血両虚(きけつりょうきょ)」証

強い疲労感とともに、脱力感、動きたがらない、無気力、動作緩慢、しゃべりたがらない、などの症状がみられるようならこの証です。

「気虚」と「血虚」の二つの証が同時に生じている状態です。

気虚は生命エネルギーを意味する「気」が不足している体質で、過労、生活の不摂生、慢性疾患などにより気を消耗すると、なります。

血虚は人体に必要な血液や栄養を意味する「血」が不足している体質で、偏食など無神経な食生活、胃腸機能の低下、出血、慢性疾患などにより、なります。脳内血流量の低下とも関係が深い証と考えられます。

→ 不足している気血を漢方薬で補うことにより、慢性疲労症候群の治療をします。


(4)「肝陰虚(かんいんきょ)」証

強い疲労感とともに、目が疲れやすい、筋肉の引きつり、筋肉痛、女性の場合は過少月経や稀発月経を伴う場合はこの証です。

肝(かん)は五臓のひとつで、からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる機能を持つ、自律神経系と関係が深い臓腑です。

この肝の陰液(肝陰)が不足している体質が、肝陰虚証です。

慢性疾患や、ストレス、緊張の持続、激しい感情の起伏などの影響で陰液が消耗すると、この証になります。

陰液の不足により相対的に陽気が優勢となりますので、熱感、寝汗、口渇などの熱証も表れます。

→ 肝の陰液を補う漢方薬で、慢性疲労症候群を治療します。


(5)「肝火(かんか)」証

強い疲労感とともに、微熱、頭痛、喉の痛み、頚部などのリンパ節がはれる、などの症状がみられる場合はこの証です。

五臓の肝の機能(肝気)が、精神的なストレスや感情の起伏などの影響によりスムーズに働かなくなり鬱滞し、肝鬱気滞(かんうつきたい)証となって熱邪を生み、この証になります。

→ 漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、肝火を鎮め、慢性疲労症候群を治療していきます。


(6)「中気下陥(ちゅうきげかん)」証

強い疲労感とともに、手足がだるい、筋力の低下、食べると眠くなる、などの症状もみられる場合はこの証です。

中気下陥とは、気の機能のひとつである固摂(こせつ)作用(臓器を定位置にとどめる機能)が低下している状態です。平滑筋など筋肉の緊張低下に近い状態です。

ベースには胃腸が弱い「脾気虚(ひききょ)」証があります。

→ 気の固摂作用を高める漢方薬を用いて、慢性疲労症候群を治療します。


◆慢性疲労症候群に効果的な漢方薬


小柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、帰脾湯、六味地黄丸、十全大補湯、杞菊地黄丸、補中益気湯

 

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。
どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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