漢方で腰痛が治ったら人に優しくなれた!
幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー
以下は、慢性的な腰痛の悩みを漢方で解決したOLの物語です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)
■■疲れと不調が腰にきた■■
腰が痛い。
毎日オフィスで同じ姿勢で座ったままパソコンに向かっていては、腰も痛くなる。でも今回は、とことん痛い。
駅の階段の上り下りも一苦労だ。とくに下りるときがつらい。一歩一歩、衝撃がずしんずしんと腰にくる。腰痛がひどくなってから毎日、手すりにすがって、よちよちと階段の上り下りをしている。
東京の地下鉄って、なんてエスカレーターやエレベーターが少ないのだろう。自分がこんな腰痛になるまで知らなかった。
ゆっくりしか階段を下りられないから、わたしだけ通勤の人波とスピードが違う。流れに逆らっているようで、知らない人たちと肩がよくぶつかる。
でも、肩と肩があたっても、ほとんどの人が何も言わず、会釈ひとつせず通り過ぎていく。わたしって、ちょっとしたじゃまもの扱いって感じ。大丈夫ですか、って声をかけてくれる人なんて誰もいない。
それどころか、わざわざ振り向いて睨みつけたり、ちっと舌打ちをしたりして通り過ぎる人もいる。
最初はむかっときて腹を立てていた。でも、そういう人があまりにも多く、最近では怒りを通り越して、ちょっと寂しい。舌打ちして何になるのかしらと思うと情けない。
日本人は、いつからこんな自分勝手になったのだろう、ふつうの挨拶はどこへ行ってしまったんだろう、なんて手すりにつかまって階段を下りながら、ちょっと考えてしまう。
満員電車から降りるときも無言で人を押しのけて進む。あとから来る人のためにビルの扉を開けたまま押さえておいても会釈もせず通り抜ける。こんな人が増えた。この前も細い歩道でお互いに携帯電話でメールをうちながら歩いていて、知らない人と正面衝突をした。相手の男性はめがねがずり落ちて、さすがにお互いにびっくりして顔を見合わせたけど、それでもそのまま無言でその場を立ち去った。ま、この場合はわたしもわるいんだけど。
情報過多の社会に埋没して、メールばかりでコミュニケーションをとるようになって、その結果、ふつうの挨拶や常識的なコミュニケーションができなくなっているのかもしれない。“明るい挨拶をしましょう”なんて小学校の標語みたいだけど、わたしたち大人がそういうことを守っていかないと、日本の将来は本当に危うくなっていく気がする。
情報がたくさんあって、何でも手に入る。ネット社会では自分の都合だけが判断基準になる。でも、求め合うよりも譲り合い、自分だけよりもお互いのため、そんな円滑で人間味のある社会のほうが、居心地がいいな。
腰痛のおかげで急に今の社会の暮らしにくさが目に入り、いろいろと考えさせられるいい機会となったわ。
「大丈夫ですか」
そんなとき、後ろから声をかけてきた人がいた。振り返ると初老の男性だった。心配そうにわたしを見ていた。
「腰でもわるくしましたか」
「あ、いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
こんな年配の方に心配していただくなんて、ちょっと情けない。でもほんの二言三言、知らない方と話をするだけで、少しほっとする感じがした。コミュニケーションって大事だと改めて思った。
「あら、真由子じゃないの」
さらに後ろから、若い女性の声がした。それは偶然にも学生時代の友だちの里香子だった。
「あら里香子、どうしたの、こんなところにこんな時間に」
「父のパスポートの申請に来たのよ。朝の通勤ラッシュだとはわかっているけど、早い時間がいいかと思って」
パスポートの事務所はわたしの職場の近くにある。聞くと、里香子はお父様を連れて海外旅行に行くことになったらしい。そういえば、里香子の家は、むかしから家族の仲が良かった。ほほえましくて、うらやましかった。
里香子親子とはいったん別れたものの、パスポートの申請手続きなどに時間がかかったとのことで、昼前に里香子から連絡があり、三人でお昼を食べることになった。そのときにわたしの腰痛の話をすると、里香子は漢方を薦めてくれた。自分自身のめまいやふらつきが漢方で良くなったそうだ。
「慢性的な症状なら、漢方がいいかもよ」
■■気の流れが腰痛の原因■■
さっそく里香子に紹介してもらった漢方薬局に行ってみた。漢方の先生は最初のカウンセリングで、腰痛になった経緯などをとても丁寧に聞いてくださった。
わたしの腰痛は、転んで腰を打ったとか、そういうけがをしたわけではない。毎日オフィスで同じ姿勢でパソコンに向かって座っているから、その負担が腰にきたのだと思っている。腰は重く痛み、足はむくむ。周りの人たちにも似た症状で悩む人は多い。
それが最近、これまでのような重いような痛みから、鋭い痛みになっている。骨に異常でもあるのかと心配で整形外科に行ったこともあるが、診療所の先生はレントゲン写真を見ながら「とくに異常はありませんね」とおっしゃった。一時的に軽い炎症が起きているのでしょう、ということで消炎鎮痛剤が処方された。
しかし鋭い痛みは一時的なものではなく、数ヵ月以上続いている。
「痛みが鋭くなったころに、なにか環境の変化などありませんでしたか?」
漢方の先生がメモを取りながら聞いてこられた。
「環境の変化ですか、そうですね、そういえばちょうどそのころ人事異動があって、暗い上司と生意気な新人が同時に配属されてきました」
「なるほど。ではそのころから、いらいらしたり怒りっぽくなったりという変化もあったのでは?」
「はい、人間関係がうまくいかず、たしかにいらいらぴりぴりしやすくなりました」
「腰痛は、そのあたりとも関係がありそうですね」
「え? いらいらと腰痛が関係あるのですか」
「はい。ほかに便秘にもなりませんでしたか?」
「おっしゃるとおり、お腹が張って、ころころした便が出るようになっています」
先生によると、腰痛の悪化も便秘もいらいらも、“気”の流れの停滞が関係しているのだとのこと。どうやら先の人事異動でわたしの中の“気”の流れがわるくなり、それが体調不良の原因になっているらしい、とのことだ。
「環境変化やストレスで“気”の流れが滞ることは、よくあることです。それが一時的なことならいいのですが、今回のように慢性化すると、腰痛など体調にも現れてくるのです」
わたしはさっそく漢方薬を飲むことにした。わたしには、“気”の流れをさらさらにして(漢方道の必殺技③)、さらに元からある腰痛体質をも改善する(必殺技④)漢方薬が処方された。
■■人に優しくなれた■■
漢方の効き目はてきめんで、一年くらいは飲み続けて体質改善するつもりだったのに、数ヵ月で痛みが和らぎ始めた。半年くらい飲んで体調がすっかり良くなったので漢方の先生と相談して、漢方薬の服用をやめた。でも、おかげでそれ以来、腰が痛くなることはない。
腰痛になったおかげで、からだが思うように動かせない人たちのつらさがわかるようになった。駅で階段の上り下りに苦労している人がいれば、積極的に声をかけたり手荷物を持ってあげたりできるようになった。実際に手荷物を持つには及ばない場合でも、笑顔で声を掛けるだけで、相手の表情も和らぐ。ちょっぴり人に優しくできる大人になれてよかったと思う。
わたしには父はもういない。里香子のように海外旅行に一緒に行くこともできない。でもこうして周囲との関係を大切にして社会の一員として元気にがんばっていれば、父も喜んでくれるだろうと思う。情報過剰な環境で自分を見失うことなく、人とのつながりを愛し、これからも自然なコミュニケーションを大切にしていきたいと思う。
(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)
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