漢方で毛穴の黒ずみが消え、きめ細かい肌に

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内の漢方相談薬局)の症例をもとにした漢方ストーリー 

食品会社で営業を頑張っている女性が毛穴・脂性肌の悩みを漢方で解決する過程を物語風に描いています。症例は筆者の経験をもとにしていますが、登場人物は実在の人物とは関係ありません。


■■毛穴が開く夏は苦手■■


亜矢は、小麦粉や小豆などの食品原料の営業で、関西をあちこち回っている。営業先は、大きな食品会社もあれば、小さなケーキ屋さんまでいろいろ。大きな会社で新規契約が取れるととってもうれしいし、また小さなお菓子屋さんと一緒になって試作品作りのお手伝いをするのもおもしろい。

もちろん仕事が思うようにいかないことも多い。冷たく門前払いを受けることもしょっちゅうだし、アポイントを取って訪問したのに担当者が外出していて今日は会社には戻りません、なんてこともある。最初はつらかったが、最近は、先方さんには先方さんの事情もあるんだろうな、なんて思える余裕も出てきた。自社製品に愛着が出てきた今日この頃は、先方さんの冷たい態度も許せるようになってきた。

わたしは秋田県の出身。最初は関西弁がしゃべれないだけで仕事がうまくいかないような壁にぶち当たった時期もあった。

でも、それよりも厚い壁は気候の差だった。

秋田育ちのわたしにとって、関西の夏はとにかく暑い。

学生のころから脂性だった。でも暑い関西に来てから、それがますますひどくなり、とくに夏になると顔は皮脂でべとべとしてしまう。

とくに一番の悩みは、毛穴だ。皮脂の量が多いせいか、毛穴が目立つ。お化粧で毛穴が目立たないようにはしているが、夏は蒸し暑くて顔にもたくさん汗をかく。皮脂と汗とでお化粧くずれもしやすい。

たしかに学生のころから暑がりだった。のぼせやすく汗っかきだった。でも、年のせいもあるとは思うが、近ごろは鼻や頬の毛穴が目立つ。最近は毛穴が黒ずんできたようで、ますます気になる。

さて、きょうの訪問先は、京都の郊外にある小規模な和菓子屋さん。小規模とは言っても去年から市内のデパートにも出店をはじめた実力派だ。

こちらの和菓子屋さん、たしかにおいしい生菓子を作る。お菓子の姿も美しい。しかもお店が清潔で、こぎれいで、従業員の皆さんも和やかで気持ちがいい。最初に飛び込みで営業に入ったときも、丁寧に対応してくださった。老舗ではないが、いかにもきちんとした仕事をしておられるところだな、と推測するに十分であった。

わたしは、どうしてもこの店の和菓子の材料に、我が社の食材を使ってもらいたかった。通い始めて、かれこれ4ヵ月ほどになる。最近は、新商品の試作に、うちの小麦粉を使ってもらえるところまでこぎ着けた。

きょうもお店に着いたら事務所や工場のある裏口に回り、目立たないところで汗をふき、そして脂とり紙で、てかてか光る顔に浮いた皮脂を取る。そしてお化粧を直す。

実はこの会社の事務所に、ちょっとかわいい男の子がいる。少し年下かもしれないけれど、さわやかで明るくて、笑顔がすてき。きょうも会えるかな、なんて思いながら鏡をのぞいてリップを塗っていると、背後から女性に声をかけられた。

「あら亜矢さん、おいでやす。お待ちしてました」


■■たしかに皮脂は必要だけど・・・■■


びっくりして振り向くと、この会社の栄養士の絵里さんが、にこにこ顔で立っていた。

「もー、いややわー、絵里さん。お化粧を直しているところなんか見られて、恥ずかしいわぁ」

「そんなことないわよ、お暑いなか、ありがとうございます。でも本当は、うちの男の子、お気に入りなんちがうの?」

どきっとして絵里さんを見ると、やっぱりそうか、という顔でにやにやしていた。わたしは慌てて、

「そんなことないわよ、わたし、秋田出身でしょ、この関西の夏、暑くて暑くて」

「そうでしょうねえ。とくに京都は盆地やから、夏はたまらんでしょうね」

「それに年のせいか、毛穴が目立ってきて気になるのよ」

美容に漢方が使われる話を聞いたのは、そんなおしゃべりのときだった。絵里さんは漢方薬で下半身のむくみを解消したそうだ。それ以来、絵里さんは漢方に興味を持ち、美容にも漢方薬が効果的であることに少し詳しくなっていた。

「毛穴の悩みにも、漢方薬が効くかもしれませんよ」

わたしは、さっそく漢方薬局で相談することにした。

数日後、漢方薬局のカウンセリングでわたしの悩みを効いてくださった先生は、まず毛穴について説明してくださった。

「わたしたちのからだは、皮膚に包まれています。肌が乾燥しやすいか脂っぽいかは、皮膚、とくにその一番外側の層である角層に含まれる水分量と、角層の表面に広がる皮脂の量、このふたつの要因で決まります。そのうち皮脂の分泌量が過剰な状態が脂性肌、つまりオイリースキンです」

そうそう、その皮脂さえ出なくなってくれればいいのよ、わたしの場合。と思っていると、先生は続けておっしゃった。

「皮脂には、皮膚から水分が蒸発していくのを防いでくれるという大切な役目があります」

なるほど、皮脂はわたしたちにとって必要な分泌物なのね。


■■過剰な皮脂を体内からコントロール■■


「ただし皮脂の分泌が多すぎると肌が脂っぽくなり、とくに額から鼻にかけてのTゾーンが光り、毛穴が開くことになります。こうなると毛穴が大きくなり、目立つようになります。さらに毛穴の中に過剰な皮脂が放置されると、かくせん角栓とよばれる皮脂のかたまりができあがります。ここにほこりや汚れが混ざり、時間がたつと、皮脂は毛穴の中で酸化して、黒くなってきます。こうなると毛穴が黒ずんで見えます。さらに周囲にメラニン色素が沈着すると、黒ずみはますます目立つようになります」

わたしの場合は、脂性の体質、プラス日頃のお手入れが不十分だった、ということみたいだ。漢方で、なんとかなるのかしら?

「こういう場合、漢方では体内のホルモンのバランスを調え(漢方道の必殺技④)、さらに過剰な皮脂を捨てる(必殺技②)作用の強い漢方生薬をつかってオイリースキンを解消し、その結果として毛穴のトラブルを改善していきます」

体内から毛穴の悩みを改善していく、というわけね。

「毛穴の黒ずみに対しては、もちろん毎日の洗顔も大切ですが、漢方では皮膚の代謝を改善することにより、毛穴の黒ずみを改善していきます。角栓だけでなく、皮膚に色素沈着がある場合は、過剰なメラニン色素をさらさら流して皮膚から捨て去るという方法で、きれいな素肌を取り戻します(必殺技③)」

わたしに処方された漢方薬は、かなり苦い味がした。でも頑張って飲み続けた。

次の夏がきた。漢方薬と日々のお手入れのおかげで毛穴の黒ずみはすっかりなくなり、暑い夏の日でも毛穴の開きや過剰な皮脂の分泌で悩むことは少なくなった。体内から肌の調子を改善するというのはこういうことだったのか、と、きめの細かくなった自分の肌をさわりながら思った。

今年の夏も、去年と同じように京都の郊外の和菓子屋さんに通っている。結局うちの食材の品質が認められ、契約にこぎ着けたのだ。こういう丁寧な仕事をする店で使ってもらえるようになって、とってもうれしい。漢方薬を紹介してくれた絵里さんとも、すっかり仲良しになった。

そうそう、この店に足繁く出入りし続けているのには、もうひとつ理由がある。それは、あの年下の男の子とも仲良くなり、お付き合いをするようになり、とうとう婚約までしてしまったのだ。彼曰く、お店にはたくさんの営業が来るけれども、わたしほど自社製品に自信と愛着を持って、しかも店の立場にたって考えてくれる営業はいなかったそうだ。そういうわたしに魅力を感じてくれたみたいで、うれしい。おまけに、知らなかったことだけど、彼はこの会社の跡取り息子。いろんなことがうまくいった一年だった。関西に来てよかった。

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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