目の下のクマが漢方で消えた!

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー

以下は、新婚の女性が夫のすすめで目のクマの悩みを漢方で解決した物語です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)

目のクマの解説ページはこちらへどうぞ


■■目のクマは体調不良の証拠■■


「この蛤、砂を吐かせていないんじゃない?」

弘樹の口の中から砂をかむジャリッという鋭い音がした。

「あら、ごめんなさい。ちゃんと塩水に漬けておいたんだけど」と妻の直美が少し不思議そうに応えた。

時刻は夜の8時すぎ。夫婦ふたりで夕食の最中である。洗面所で口をゆすいだあと、日本酒を飲みながら弘樹が聞いた。

「蛤を塩水に入れたのって、何時ぐらい?」

「そうね、7時くらいかしら」

「なるほど、砂を吐かせる時間が短すぎたんだ。貝を買ってきてすぐに塩水に漬けておけばよかったんだよね」

塩水を作って蛤を漬ける作業は、買い物から帰ってすぐでも食べる直前でも同じ手間だから、先にしておけばいいだけだ、という弘樹の意見はもっともだ。しかし新婚生活にまだ慣れない直美にとって、家事の段取りはなかなか難しい。

うきうきしていた直美が少ししょんぼりしているのを見た弘樹は、少し言い過ぎたかと思い、「見えないところでも仕事を丁寧にこなすことが事業の長期的な成長や安定の秘訣だって、この前、上司に教えられたよ。我々ふたりも長期的な安定のために、見えないところも大切にし合おう、ということで」と言って盃を上げて直美と乾杯した。

ホッとした直美はすぐいつもの笑顔に戻り、話し始めた。

「言われてみればここ数年、見えないところで手をぬく事件が多いわね。牛肉の産地を偽って供していた高級料亭とか、賞味期限シールを張り替えて古い商品を平気で販売していた老舗菓子店とか。どれも社会の信頼を裏切る行為よね」

「よい仕事をする前に、よい人間であれ、ということだね。他の人もやっているから平気とか、ばれなければ手をぬいちゃえとか、そういう自己中心的な精神があると、必ず仕事のミスや業績の悪化につながる。上司はそういうことが言いたかったんだね」

うなずきながら聞いていた直美が少しニヤッとして言った。

「そういえば、部長が出張中に、みんなでドーナッツを食べながらワイワイ仕事をしていたら、予定の変更とかで急に部長が帰ってきて、みんな慌ててお菓子を引き出しに入れて黙々と仕事の続きをしたことがあったわ」

それを聞いて笑った弘樹に、さらに直美が付け加えた。

「でも部長の見ていないところで手をぬかないで必死で仕事をしていると、毎日くたくたになって、こうやって目の下にクマができるのよ」

これはちゃんと仕事をしている証拠よ、と言いたげに、直美が顔を弘樹に近づけて目の下のクマを見せつけた。最近では朝起きて鏡を見るとげっそりと目の下にクマができて不健康そうに見えることもある。

弘樹はちょっと疑いの目で直美を見て応えた。

「見えないところで気をゆるめているんじゃないの? ぼくの帰りが遅い日に画面に近づいてテレビを見ているとか、携帯ばっかりいじっているとか」

どきっ。

直美が小さくなって黙ってうつむいていると、「その目の下のクマの解消に漢方薬を飲んでみたら?」と弘樹が言った。「いとこの香織ちゃんが漢方薬を飲んで、ストレスからくる動悸を治したらしいんだけど、美容の相談で通っている人も多いって言ってたよ」

「漢方?」

「結局いろんな体調不良が、目のクマのような症状として表面に現れているわけじゃない。からだの中から漢方で体質改善しちゃえばいいのかな、と思って」

さっそく香織さんが通っていたという漢方薬局に行くことにした。


■■目のクマを消す漢方■■


漢方薬局では、まずカウンセリングで、目のクマが最近なかなか消えないこと、とくに朝起きたときや夕方にクマが濃くなること、さらに睡眠不足で疲れているときや会社のストレスが大きいときに目立つことなどを話した。目のクマ以外のことも漢方の先生にいろいろと聞かれたので、かなりの冷え症で平熱が35度台であることや、生理痛が重いこと、トイレが近いことなども話した。

直美の目のクマは、紫色である。それを見ながら漢方の先生が説明を始めた。

「目の下のまぶたは薄く、そのうえ毛細血管が多いため、血液の色が透けて見えます。血行がわるいと血液が赤紫色になるため、紫色のクマができます」

それ以外にも、まぶたをこすりすぎてメラニン色素が沈着してできる茶色いクマもある。目のまわりのメイク落としをゴシゴシやったり、あるいは化粧品の品質に問題があったりするとできやすい。紫外線の影響もある。さらに年齢とともに下まぶたがたるんできて黒っぽいクマができることもある、と漢方の先生は付け加えた。

「わたしの場合は紫色なので、血行不良ですね」

「朝は体温が低いので血行がよくないため、また夕方は仕事で疲れて血行がわるくなるため、クマが濃くなります。生理中も体温が下がるのでクマが目立ちます」

「では血行を良くする漢方薬を飲めばいいのですね」

「目の下のクマは、紫色なら血行不良、茶色なら色素沈着、黒色ならたるみが原因、といわれますが、そういう表層的な"見える部分"だけにとらわれると、判断を誤ります。たとえば血行不良なら、その血行不良の原因は何か、という"見えない部分"まで考察して漢方薬の処方を考えないと、目のクマの根本治療は難しいでしょう」

弘樹と"見えない部分が大事"という話をした夜のことを思い出しながら直美が言った。

「漢方でも、目に見えないものが大事なんですね」

「漢方で大切にしているのは、"気"の流れや"五臓"のバランスなど、目に見えないものばかりです。そもそも漢方薬は、人が持つ生命力を高めて病気や体調不良を治していく薬ですが、そういう生命力や命そのものも、目に見えるものではありません」

「そう伺うと、生命という見えないものを、合成化合物など目に見えるもので治そうとすること自体が不自然に感じますね」

「大事なものは、目には見えないものです」

直美の場合は、冷え症で平熱が35度台、生理痛、トイレが近いことなどから、根本に冷えがあり、それが原因で血行不良になっており、その結果、目の下のクマが消えにくくなっている、と漢方の先生が説明した。

直美はさっそくからだ全体のバランスを調えて(漢方道の必殺技④)冷え症を改善することにより、目の下のクマを根治していく漢方薬を飲むこととなった。


■■見えないところでも手をぬかず■■


直美は漢方を毎日欠かさず飲んだ。飲むと体が温まるのが実感できた。

携帯メールのやりすぎも眼精疲労の原因になりやすく、その結果、血行が悪化して目のクマが目立つようになる、と漢方の先生に言われたので、携帯メールをあまりしなくなった。携帯電話にちょっと依存症ぎみだったのが、おかげで、いつの間にか気にならなくなった。

目の下のクマは、すぐには消えなかった。しかし漢方を飲み始めて半年近くが経った頃、朝ふと鏡を見てハッとした。あんなに悩んでいた目の下のクマが消えていた。数か月前からは、生理痛が楽になり、頻尿もなくなり、冷え症も軽くなっていた。

漢方薬局で先生に報告した。漢方の先生は言った。

「目に見えるクマはすぐには消えてくれませんでしたが、見えない体内では着実に冷え症が解消され、体質改善が進んでいたのでしょう。それが最近になって、ようやく目に見えるかたちで出てきたのでしょうね」

漢方を飲み始めたころから、食材の買い方に気を遣うようになった。なるべく有機栽培の野菜を買ったり、新鮮な魚の選び方の勉強をしたりしている。化学調味料も使わなくなった。朝の味噌汁も、昆布と鰹節で出汁をとって作るようにした。やってみると意外と簡単だった。

そんなこと、いちいち弘樹には言っていない。でも「おいしい、おいしい」といって食べてくれる。会話が弾み、家庭も明るい。こうやって"見えないところ"で手をぬかずに暮らすことで、長く幸せな夫婦でいられると、近ごろは確信に近い気持ちで思っている。

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。

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★ 漢方道・四つの必殺技 ★
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「捨てる」 ・・・体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう。
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くすみたるみ

自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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