目のクマ
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
「目のクマ」を漢方で解き明かす
疲れがたまった睡眠不足の朝に、鏡を見れば目の下にクマがクッキリできていた、というのは、だれでも経験のあることでしょう。しかし、そのクマが、ちょっとした疲れやストレスですぐ濃くなったり、あるいは、いつも目の下に滞在していたりすると、気になるものです。
目の下にクマがあると不健康そうに見えます。そして実際に、クマができているときは、体調が万全でないときです。
当薬局では美容目的で漢方薬を服用される方も多く、体質改善によってクマが消えると同時に心身も元気になった方が多くいらっしゃいます。
◆目のクマは紫・茶・黒の3種類
(1)紫色のクマ
目のまわりの皮膚は、まばたきのたびに素早く動くため、薄くできています。そのうえ毛細血管が多いため、血液の色が透けて見えます。したがって血行がわるくて血液が紫色になったとき、紫色のクマができるのです。
冷えやストレス、喫煙などで血行がわるくなると皮下の毛細血管を流れる血液の紫色が透けて見え、紫色のクマになるわけです。朝や生理中など体温が低いときや、疲れて血行がわるくなっているときに目立つクマです。
(2)茶色いクマ
薄くデリケートな目の下のまぶたは、摩擦や日光・化粧品の刺激で容易に炎症を起こします。その結果、メラニン色素が増えて茶色いクマとなります。
まぶたをこすりすぎたり、目のまわりのメイク落としをゴシゴシやったり、あるいは化粧品の品質に問題があったりするとできやすいクマです。
(3)黒っぽいクマ(年齢とともに生じる下まぶたの「たるみ」によってできる)
たるみは、年齢とともに生じる皮膚の現象。真皮のコラーゲンが減少・劣化することにより皮膚がたるみ、まぶたに影ができて黒っぽいクマとなります。
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漢方薬は、ひとりひとりの目のクマの根本原因にあわせて、それらを改善していくことにより、クマを消していきます。化粧で隠すのとは別のアプローチで、からだの内側から改善していく薬です。
体調が良くなるとクマが消えることが多いので、別の病気の治療で漢方薬を服用しているうちに、「最近、目のクマが薄くなってきて、うれしい」と喜ぶかたもいらっしゃいます。
漢方薬は、体質を改善して目のクマを薄くしていくものです。トリートメント、エステなどと併用している方もいらっしゃいます。からだの内側からじっくり根本的にクマを薄くしたいとお考えの方に適しています。
よく使われる漢方薬
1:紫色のクマには、血行を促進する生薬配合の漢方処方を使います。ただし血行不良の原因が、冷えか、ストレスか、循環機能の低下か、などにより、使う生薬が異なります。一般には、芍薬、牡丹皮などが使われます。
2:茶色いクマには、メラニン色素の排泄を促進する生薬を用います。この場合も、色素の排泄が停滞している根本原因により、使う生薬が違ってきます。よく使われるのは、黄耆、茯苓などです。
3:黒いクマには、「たるみ」を軽減するような、皮膚を引き締める漢方薬がいいでしょう。麦門冬や当帰などの生薬があります。
当薬局では実力派の専門家(中医師)がひとりひとりの状態・体質を丁寧に見極め、目のクマの背景にある体質的問題に対するベストの漢方薬をご提供し、クマの解消を目指します。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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