皮膚の病気・トラブル
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
当薬局では、皮膚の症状や病気・肌のトラブルに関する漢方治療のご相談をお受けしています。
◆皮膚の病気の根本原因とは
皮膚の病気は、消化器系や神経系など体の内部の失調が根本原因にあることが多く見られます。
たとえば、便秘や胃炎・消化不良、あるいは精神的ストレスや寝不足、それにホルモンバランスの失調や血行障害などの要因が深く関係しています。
化粧品その他の刺激に反応して発生する湿疹や皮膚炎も、体の免疫力の低下を伴う場合がほとんどです。
◆皮膚の病気に対する西洋医学と漢方の違い
西洋医学では
西洋医薬の場合は、症状を抑える対症療法が主流です。たとえば抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤で、痒みなどのアレルギー症状を抑えたり、ステロイド剤で炎症を抑え込んだりします。
西洋医薬には症状を抑え込む作用は強くありますが、病気の根本原因を治す働きはありません。西洋医薬の使用をやめると症状が再発するのは、そのためです。
漢方では
一方、中医学(中国の医学・漢方)では、皮膚の病気は体の内部から発生する病気としてとらえ、心身の不調を治すことにより、皮膚病の治療をします。
たとえばニキビひとつ取っても、何かが飛んできて皮膚についてニキビになったのではありませんので、根本原因である心身の内部状態を改善することにより、自然にもとの素肌に戻すように治療します。
化粧品にかぶれやすい場合も、同じ化粧品を使用しても平気な人もいるわけですから、その人の体質上弱い部分を強くすることにより根本的な治療をします。
◆漢方薬が有効な皮膚の病気
中医処方は、心身の内部状態を改善することにより、さまざまな病気や症状を治す薬です。ですから、根本原因が体の内部にある皮膚の病気に対しても効果が期待できます。
体質そのものを改善することにより治療をすすめる漢方は、ニキビだけでなく、西洋医学では難治といわれているアトピー性皮膚炎や慢性湿疹・主婦湿疹・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・皮膚掻痒症・シミ・帯状疱疹・蕁麻疹・膠原病などにも効果を表します。
これらの症状についてはこちらをご覧ください
→ ニキビ、アトピー性皮膚炎、湿疹・蕁麻疹、乾癬
皮膚の病気に用いられる中医処方は、患者ひとりひとりの体質や皮膚の症状により、さまざまです。
同じ名前の病気に対しても、いろいろな漢方薬が処方されますので、必ず漢方薬局などで中医師など中医学の専門家によく相談して決めてください。
◆日常生活における注意点
皮膚の病気を治療し、再発を防ぐためには、日常生活でも心身に対する配慮が必要です。ちょっとした体の不調が引き金となって、思わぬ症状を表したりします。
1: 食事はよく噛んでゆっくり食べる
2: 脂っこいものや甘いものの食べすぎに注意する
3: 正しいスキンケアを心がける
4: ストレスをためない工夫をする(趣味・運動・週末の気分転換など)
中医処方と養生(日常の健康管理)で、一日も早く皮膚の病気と訣別してください。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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