乾癬

◆乾癬の原因には免疫やストレス、肥満なども関与


乾癬(尋常性乾癬)は、皮膚が赤くなり、白っぽいかさつきを伴う慢性的な皮膚の病気です。正常な皮膚との境界がはっきりしています。一か所二か所にしかできない場合もあれば、体じゅうにたくさん生じる場合もあります。


はじめは頭皮や肘、膝などに現れることが多く、たとえば急に頭皮がかゆくなり、フケのように頭から皮膚がぽろぽろと、はがれ落ちる、というケースなどが見られます。そして頭部のみが赤かったのが、しばらくすると全身に広がり、からだの皮膚が赤くただれてしまう場合もあります。

手の甲が赤くごわごわし、爪が白くでこぼこになり、初対面の相手に良くない印象を与えることに悩む人も少なくありません。

乾癬は、皮膚の細胞の成長速度が異常に速くなるために生じる病気です。そのために皮膚が赤くなり、うろこ状の白っぽいかさつきが生じます。

乾癬はいくつかの種類がありますが、その多く(約9割)は尋常性乾癬です。それ以外には、乾癬性関節炎、滴状乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬があります。

尋常性乾癬は、皮膚が赤くなり(紅斑)、盛り上がり(浸潤・肥厚)、その表面を銀白色の細かいかさぶた(痂皮:かひ)が覆い(鱗屑:りんせつ)、それがフケのように剥がれ落ちる(落屑:らくせつ)、という症状がみられます。痒みや、爪の変形を伴うこともあります。一般に乾癬といえば、この尋常性乾癬を指します。

乾癬が発症する原因はまだ明らかになっていませんが、免疫機能の異常(自己免疫反応)や、ストレスや乱れた食習慣などの外的因子、さらに肥満や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの内的因子が関与しているのではないかと考えられています。

 

◆漢方では、体質面からも治療を進める


西洋医学では
西洋医学では、炎症を抑えるステロイド外用薬や、表皮細胞の過剰な増殖を抑制する活性型ビタミンD3外用薬などの外用薬で症状を抑える外用療法が中心となります。外用薬で症状を抑えられない場合は、光線療法(紫外線照射)や内服療法、生物学的製剤なども行われます。

効果の高いものもありますが、一般に治療をやめると再発することが多く、西洋医学だけではなかなか完治しにくい病気です。

漢方では
漢方では、たとえば、体内とくに皮膚近辺に停滞する"余分な熱"を取り除くことにより、乾癬を改善していきます。漢方でいう"余分な熱"というのは、皮膚を赤くしたり、かゆくしたり、免疫系や細胞分裂を亢進させたりする病邪です。

漢方薬で、余分な熱がこもりにくい体質へと改善し、乾癬の病態や再発を抑えていきます。

皮膚の乾燥が顕著な場合には、皮膚に潤いを与える方向で体質改善を進めます。すでに乾燥した皮膚の角質には、からだの外側から保湿剤で保護するのが有効ですが、同時に、次々と生まれてくる新しい皮膚が乾燥しにくいように、からだの内側から乾燥体質を改善していくのが漢方薬です。

漢方薬は、体質を改善して皮膚の状態を落ち着かせていくものです。病院での治療と併用している方もいらっしゃいます。からだの内側からじっくり根本的に改善していきたいとお考えの方に適しています。

◆乾癬によくあるタイプ・・・あなたはどれ?

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>


(1)「熱毒(ねつどく)」証

鱗屑や落屑よりも紅斑が色濃く顕著ならこの証が考えられます。

熱毒は、激しい炎症、あるいは化膿性の炎症に相当します。化膿し(膿疱)、熱感や疼痛を伴う場合もあります。

熱毒で出やすい症状
紅斑が色濃く顕著、口の渇き、唇の乾燥、発熱、もやもやと落ち着かない不安感や不快感(煩躁) など

→ 熱毒を冷ます漢方薬を用います。

(2)「血虚(けっきょ)」証

落屑や肥厚が顕著ならこの証が考えられます。

血(けつ)は、人体の構成成分のひとつで、血液や、血液が運ぶ栄養という意味があります。この血の量が欠乏している体質が、血虚です。もともと皮脂の分泌がわるく、皮膚が乾燥している場合が少なくありません。

血虚で出やすい症状
落屑や肥厚が顕著、顔色がわるい、眼がかすむ、爪がもろい、ふらつき、動悸 など

→ 血を補う漢方薬を用います。


(3)「血虚血熱(けっきょけつねつ)」証

落屑など(2)の血虚の症状に加えて、紅斑などの(1)の熱毒の症状も明らかならこの証が考えられます。

血虚熱毒で出やすい症状
落屑と紅斑、乾燥肌、口がよく乾く、紅い舌、黄色い舌苔 など

→ 血を補い、熱毒を冷ます漢方薬を用います。


(4)「血虚生風(けっきょしょうふう)」証

落屑などの(2)の血虚の症状に加え、かゆみが強いようならこの証が考えられます。

血虚に伴い風邪(ふうじゃ)が生じている証です。風邪とは、自然界の風により生じる現象に似た症候を引き起こす病邪で、風のように発病が急で、変化が多く、人体の上部や体表部(皮膚)、肺などの呼吸器をおかすことが多い病邪です。

血虚生風で出やすい症状
落屑、患部があちらこちらと移動しやすく(遊走性)拡大しやすい、痛み、痒み、関節運動障害 など

→ 血を補いつつ風邪を除去する漢方薬を用います。

(5)「血瘀(けつお)」証

皮膚の肥厚や角化(角質化)、色素沈着などがみられるようならこの証が考えられます。

血流が鬱滞しやすい体質です。精神的ストレスや、冷え、体内の水液の停滞、生理機能の低下などにより、この証になります。疾患や体調不良が慢性化、長期化してこの証になる場合もあります。

で出やすい症状
皮膚の肥厚・角質化、色素沈着、下腹部痛、頭痛、肩こり、冷えのぼせ など

→ 血行を促進する漢方薬を用います。

(6)「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証

ストレスの影響で症状が悪化するようならこの証が考えられます。

からだの諸機能を調節し、情緒を安定させる働き(疏泄:そせつ)を持つ臓腑である五臓の肝の機能(肝気)がスムーズに働いていない体質です。肝は自律神経系と関係が深い臓腑です。

一般に、精神的なストレスや、緊張の持続などにより、この証になります。

肝鬱気滞で出やすい症状
いらいら、落ち込み、情緒不安定 など

→ 肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにする漢方薬を用います。

(7)「痰湿(たんしつ)」証

肥満や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)の影響が考えられるようならこの証が考えられます。

痰湿というのは、体内にたまった過剰な水分や湿気のことです。脂肪や血糖なども含まれると考えられます。

体液代謝の失調や低下、炎症、循環障害、ホルモン異常、代謝産物の体内蓄積、食べすぎ、食事の不摂生などによってこの証になります。この痰湿が水疱や糜爛を始め、皮疹の原因となることは少なくありません。

痰湿で出やすい症状
食欲不振、腹が脹る、立ちくらみ、舌がぽってりと大きい、舌に歯形がつく、肥満、脂質異常、便秘、はれ、できもの、しこり、腫瘤ができやすい、胃のつかえ感 など

→ 痰湿を取り除く漢方薬を用います。


(8)「腎陰虚(じんいんきょ)」証

免疫機能の異常(自己免疫反応)が関係する場合はこの証が考えられます。

腎は五臓のひとつで、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、ならびに水液や骨をつかさどる臓腑です。ホルモン内分泌系や、生殖器泌尿器系、免疫機能と深い関係にあります。

この腎の陰液(腎陰)が不足している体質が、腎陰虚です。

加齢や過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良、性生活の不摂生などによって腎陰が減ると、この証になります。

腎陰虚で出やすい症状
のぼせ、寝汗、手足のほてり、口喝、暗紅色の下、舌苔が少ない など

→ 腎陰を補う漢方薬を用います。

 

◆乾癬によく使われる漢方薬

大柴胡湯、温清飲、四物湯、当帰飲子、黄連解毒湯、六味地黄丸、桂枝茯苓丸、桃核承気湯、四逆散

あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。→当薬局について

ご予約はこちらから

◆乾癬に関するニュース


2018年8月9日付の国際学術誌電子版で京都大学の大日輝記講師(京都大学大学院医学研究科 皮膚科学)らは、マウスを使った実験で、表皮にある「TRAF6」(細胞内で情報伝達を担う物質)が乾癬の発症に関わっていることがわかったと発表したということです。

研究チームはこの「TRAF6」の機能を抑制する新薬の開発につなげたいとしています。国内30万~50万といわれる患者に役立つ治療薬の誕生につながるかどうか、今後の研究の進展が注目されます。

関連ページ・症例・エッセイなど

幸井俊高著『男のための漢方』文春新書:106ページ(症例を紹介しました)

皮膚の病気・トラブル

自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

カウンセリングスタッフ紹介