自律神経失調症の症例
薬石花房 幸福薬局 における自律神経失調症の漢方薬による改善例
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■症例1「新しい職場の雰囲気に慣れず、体調が悪化しました。動悸がして、まったく眠れません。病院で自律神経失調症と診断されました」
新しい職場は残業が多く、人間関係のストレスも強く感じます。いらいら、のぼせなどの症状もあります。
病院では抗不安薬と睡眠導入薬を処方されました。別の病院にも行ってみたところ、軽いうつ病と言われ、抗うつ薬を処方されました。いずれもちょっと違うような気がして、飲む気になれません。友人からは、会社を辞めれば体調がよくなるだろうと言われますが、そうもいきません。舌は赤く、黄色い舌苔が付着しています。
この人の証は、「心肝火旺」です。肝火と心火の両方が生じています。強いストレスの影響で、この証になったものと思われます。
動悸、不眠、いらいら、のぼせ、赤い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。怒りっぽい、不安感、胸苦しい、驚きやすい、などの症状がみられる場合もあります。
この証には、肝火と心火を鎮めていく漢方薬を用いて治療します。この方はおよそ2カ月で動悸や不眠がなくなりました。動悸や、のぼせなどの熱証がなく、舌苔が白いようなら、「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証です。
■症例2「数年前に脱サラをして仕事をしていますが、思うように業績が伸びず、体調がよくありません。不安感が強く、時々動悸がします」
動悸は、考え事をしているときだけでなく、何の前触れもなく起きることもあります。
先日はひどい胸の圧迫感に襲われ、冷や汗が出たので病院に行きましたが、心電図などの検査の結果、異常はなく、自律神経失調症といわれました。舌は白っぽい色をしており、白い舌苔が薄く付着しています。
この人の証は、「心気虚(しんききょ)」です。五臓の心(しん)の機能(心気)が低下している体質です。心の機能は、心臓を含めた血液循環系(血脈)をつかさどることと、人間の意識や判断、思惟などの人間らしい高次の精神活動(神志[しんし])をつかさどることです。
考え過ぎ、悩み過ぎなどに心労が重なって、この心気が弱り、自律神経失調症になったようです。
このような体質の場合は、漢方薬で心気を高め、自律神経失調症の改善を進めます。この方は漢方服用後4カ月目くらいから動悸が生じなくなりました。夜もぐっすりと眠れるようになりました。
動悸の他に不整脈や息切れもある場合、あるいは疲労倦怠感が強く、物忘れが多い、寝付きがよくない、などの症状がある場合もそれぞれ処方が違ってきます。
■症例3「長年のデスクワークのせいか、体調がすぐれません。最近は激しい頭痛やめまい、手のふるえなどが時々起こるので心配になり病院に行きましたが、異常は見付からず、自律神経失調症と診断されました」
仕事で朝から晩までパソコンに向かっており、いつも目が疲れ、肩が凝っています。まぶたがぴくぴくします。頭痛は、締め付けられるような痛みです。数年前からは、耳鳴りもありました。暗紅色の舌をしています。
この人の証は、「肝陽化風(かんようかふう)」です。肝血(肝において必要な血液や栄養)が足りない「肝血虚(かんけっきょ)」証が進行し、肝の機能を抑制することができない「肝陽上亢(かんようじょうこう)」証となり、さらにこの状態が長引いて、この証となったのでしょう。
締め付けられるような激しい頭痛、めまい、手のふるえ、まぶたの痙攣、耳鳴り、肩凝り、暗紅色の舌などは、この証でみられやすい症状です。いらいら、のぼせ、などの症状がみられる場合もあります。
この場合は、漢方薬で肝陽を落ち着かせて内風を和らげ、自律神経失調症を治療していきます。内風とは、体内で生じる風邪(ふうじゃ)で、揺れ動くような症状を引き起こす病邪です。血虚や陰虚がベースにあり、気の流れの制御ができなくなると内風が生じます。この方は漢方服用後半年後には頭痛は生じなくなりました。
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自律神経が失調すると、身体の様々なところで不調が表れます。検査をしても異常が見付からないことが多いのですが、これを自分の身体が発する悲鳴と考え、生活習慣や環境を見直す機会と捉えて、焦らずゆっくりと心身のバランスを調えていくといいでしょう。
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