口臭の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で口臭が改善した症例
こちらは症例紹介ページです。口臭の解説ページは こちら へどうぞ
■症例1「口臭が気になります。特ににんにくを食べたりお酒を飲み過ぎたりした後に強くなります」
辛い食べ物や、味の濃い物、脂っこい物、刺激のある物、熱い物が好きです。肉が大好きで野菜はあまり食べません。アルコールはほぼ毎日飲みます。喉の渇きがあり、朝起きると口の中が粘ついています。口内炎ができやすく、年に何度か痛みます。舌が赤く、その上に黄色い舌苔が付いています。
この人の証は「胃熱」です。暴飲暴食、特に刺激物や味の濃い物、脂っこい物をたくさん食べたり、アルコールを多飲したりすると、熱邪が生じて胃の機能を阻害します。胃から上の消化器官で炎症を起こしやすい体質です。
熱邪が胃の機能を阻害して口まで上昇し、口臭を生じています。歯周病になる人も少なくありません。喉の渇きや口内炎、赤い舌、黄色い舌苔は、この証の特徴です。
この証の人に対しては、胃熱を冷ます漢方薬を使います。この人の場合は、漢方薬を服用して4カ月ほどで口臭が気にならなくなりました。
■症例2「長年、口臭に悩まされています。歯医者さんで調べてもらっても、特に口腔内に口臭の原因は見当たらないと言われました」
仕事の関係で疲れがたまったり緊張が続いたときに、胃が重くなり口臭が強くなる気がします。口内炎もできます。唾液が少なく、口の中がねばねばします。舌は深赤色をしており、舌苔がほとんどついていません。
この人の証は「胃陰虚(いいんきょ)」です。五臓六腑の胃の陰液が不足している体質です。疲労、緊張、ストレス、暴飲暴食などによる胃への負担などが長引くと、次第に体液などの陰液が消耗し、この証になります。
陰液が少ない体質なので熱を冷ます機能が弱く、結果として相対的に熱が余ることになり、それが熱邪となって口臭を引き起こします。
なお、五臓六腑の「胃」は単なる解剖学的な胃ではなく、口腔内を含め広く消化器官を指します。
この体質の場合は、胃の陰液を補う漢方薬で口臭体質を改善します。この人は漢方薬を服用することにより、3カ月後には次第に唾液の分泌量が増え始め、9カ月後には口臭が気にならなくなりました。胃の陰液が補われ、余分な熱が発生しなくなったのでしょう。
■症例3「口臭が気になります。特にストレスを強く感じるときに、胃や胸のあたりが熱いような不快な感じになり、口臭が強くなる気がします」
口臭が気になり始めたのは、仕事の量と責任が増えて残業が多くなり、ストレスを強く感じるようになった頃からです。胃や胸のあたりが熱く、また口や喉が渇くため、よく冷たい水を飲むようになりました。自分では気がつきませんでしたが、最近いらいらしている、怒りっぽくなったと家族に言われました。ときに胸やけや、酸っぱい胃酸が口の中にまで上がってくること(呑酸)もあります。舌は赤く、黄色い舌苔が付いています。
この人の証は「肝火(かんか)」です。肝(かん)は五臓六腑の一つで、体の諸機能や精神情緒の調整を担います。この肝の機能がストレスや激しい感情の起伏などの影響で失調し、熱を帯びて肝火となり口臭が発生しています。
いらいら、怒りっぽい、赤い舌、黄色い舌苔などの症状はこの証の特徴です。肝火が胃の降下機能を妨げると「肝火犯胃(はんい)」証となり、胸やけ、呑酸、さらに胃の痛みが生じることもあります。
この証の人に対しては、肝火を冷ます漢方薬を使います。この人は漢方薬を飲んで2カ月ほどで口臭が弱くなりました。胸やけや呑酸も軽減しました。
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口臭が気になると、水分、特に冷たい飲料水をたくさん飲むようになることが多いようです。熱を冷ますためにはある程度有効ですが、あまりに多飲すると脾胃の機能を阻害し、かえって口臭が長引くことにもなりかねません。水分を取る場合は少しずつ、口に含むようにして飲むとよいでしょう。
また疲労の蓄積や寝不足、喫煙も口臭の原因となります。生活習慣の見直しも有効です。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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