蕁麻疹と口臭が一度に治った!

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー 


以下は、ある若い女性が蕁麻疹が出やすい体質を漢方で治す話です。ついでに少しに気なっていた口臭や目の充血もなくなりました。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)


■■出没を繰り返す慢性じんましん■■


「お姉ちゃん、また、じんましん、できちゃった」

そう言って、絹代は両腕をそろえて前に出し、内側の皮膚の軟らかいあたりを姉の久枝に見せた。そこには赤いぷつぷつが、たくさんできていた。見るからに、かゆそうである。

絹代は、学生のころからじんましんが出るようになった。疲れたときや、かぜを引いたとき、ストレスがかかっているとき、心配ごとがあるとき、緊張が続いているとき、逆に緊張がとれて一安心したとき、汗の刺激、着ている洋服の化学繊維の刺激、季節の変わり目などの影響で、出る。それらの要因がいろいろと重なり合ったときに出るのかもしれない。サバを食べたときに出るような、特定の食べ物で出るという、よくあるタイプのじんましんではない。

最初に腕や太ももの内側など、軟らかいところに赤いぽつぽつができる。かゆくて仕方がないので、かくと、みみず腫れのようになる。赤くふくらんだ部分がつながって地図状になることも多い。すぐに引くこともあるが、何時間も長引くこともある。病院で"慢性じんましん"と言われた。

このじんましん、月に一回くらいの頻度で出ていたのだが、最近は毎週のように出るようになった。じんましんが引くまでの時間も長くなってきたような気がして、かゆくて仕方がないし、このまま悪化したらどうしようかと不安が募る。つらいときに使う病院の薬も、次第に効きにくくなってきたように思う。

久枝も若いころ、じんましんに悩まされていた時期があったことを思い出した。絹代ほどつらくなかったので忘れていた。

そういえば漢方の先生が、久枝のからだには「余分な熱がこもっている」と言っていたのを久枝は思い出した。それが原因で、頭皮が軽い炎症のような状態になり、髪質の低下に影響しているとのことだった。そして口臭や、目の充血も、余分な熱のせいで現れている症状だ、とも言われた。

「絹代、口臭は気にならない?」

「そういえば最近、少し気になるかな」

「目の充血は、どう?」

「目は充血しやすいわ。コンタクトのせいだと思っているけど」

「じゃあ、髪の毛が細くなったとか、そういうことはない?」

「それは大丈夫。でもどうしたの、お姉ちゃん。急にいろいろ質問してきて」

「じつは漢方の先生に教えていただいたのよ。わたしのからだには余分な熱がこもっていて、それがいろいろな体調に影響していたって。だから絹代のじんましんも、そういう熱っぽい体質のせいかな、と思って」

「姉妹だから体質も似ているだろうと思ったのね」

「そう。でも髪質が衰えていないなら、違うかもしれないわ。絹代も一度、先生にみていただいて、体質から改善して、じんましんを治したらどうかしら」

絹代は、さっそく姉が通っていた漢方薬局へ行ってみることにした。


■■じんましんに効く漢方■■


漢方薬局では、じんましんの症状や、どういうときに出やすいか、どういうときに出にくいか、といったことを、漢方の先生が細かく絹代にカウンセリングをした。さらに絹代の生活習慣や、お通じ、生理などについても、詳しく聞き取りをした。カウンセリングの最後には、絹代の舌の状態も観察した。

そして漢方の先生は言った。

「絹代さんは、お姉さんに似て、からだに熱がこもりやすい体質ですね。それが原因で慢性じんましんになっているようです」

「先生、どうしてそれがわかるのですか」

「たとえば、口臭が気になる、目が充血しやすい、汗をかきやすい、のぼせやすい、といった症状は、みな熱の症状です。じんましんも、体内に余分な熱がたまっているために出やすくなっていると思われます」

「やっぱりそうですか。姉がそのようなことを言っていました。姉と体質が似ているのですね」

「舌の色まで、漢方治療前のお姉さんと似ていますよ」

「え、そうなんですか」

「姉妹ですから、いいんじゃないですか」

そう言って漢方の先生は微笑んだ。

「それにしても、同じような体質の姉妹なのに、姉は髪質が劣化して、わたしは慢性じんましん。出てくる症状は異なるのですね」

「同じような体質でも、ちょっとした要因の違いによって、あらわれる病気や症状は違ってきます。絹代さんの場合は、熱が盛んなこと以外に、余分な湿気も大きく関係しているようで、その結果、慢性じんましんというかたちで、病気として出てきているようです」

絹代には、足がむくみやすい、便が軟らかい、鼻がつまりやすいなどの症状があるが、それらは体内の余分な湿気の影響で生じている症状だ、と漢方の先生は説明した。

絹代はしばらく体内の余分な熱と湿気を捨てる漢方薬を飲んで体質を改善し(漢方道の必殺技②)、慢性じんましんの根本的な改善を図ることにした。

「体質が似ていますので、漢方薬もお姉さんのと似ていますよ」

漢方の先生は、そう付け加えた。

「先生、病院に行って分かったのですが、わたしのようなじんましんの患者さんは、結構多いのですね。ほかにはどのような体質の人がじんましんになりやすいのですか」

漢方の先生によると、いちばん多いのは絹代のように、体内に熱や湿気が過剰に存在している体質。熱も湿気も健康の維持には適量必要なものの、それが多すぎると体調不良や病気の原因となる。じんましんの色は赤く、熱をもった感じになり、かゆみが強い。かくと紅色のみみず腫れが生じやすく、また夜間に悪化する場合が多い。コリン性じんましんの人は、この体質の場合が多い。この場合は漢方薬で余分な熱や湿気を捨て去る(漢方道②)ことで、じんましんを根治する。

次に多いのが、気や血の流れがわるい体質。ストレスや緊張、イライラなど精神的な要因の影響で、じんましんが生じやすい。じんましんは、やや黒っぽい赤色をしており、下着で圧迫されるような場所にできやすい。繰り返し同じ場所に発生するうちに患部に色素沈着が生じることもある。この場合は気血の流れをサラサラにして(漢方道③)、じんましんを治す。

そのほかには、疲れたときにじんましんが出やすい体質もある。肌は乾燥ぎみで、じんましんの色は薄めである。漢方薬で元気を補って(漢方道①)、じんましんを治していく。

寒冷じんましんの人も多い。冷えると、じんましんがぷつぷつと発生するが、あまり赤くならない。冷えに弱い体質の人が多く、この場合はからだ全体のバランスを調えて(漢方道④)冷えに強い体質を作り、じんましんを治す。

「じんましんにも、いろいろなタイプがあるのですね」

「西洋医学では、アレルギー性、機械性、心因性、コリン性などの分類をしますが、漢方では、このように、じんましんの根本原因である患者さんの"体質"で分類して根治を図ります。かゆみや発赤の改善には西洋薬を使い、繰り返し生じるじんましんをなんとかしたい場合は漢方薬を飲むといいでしょう」


■■体質が似ていれば処方も似ている■■


家に帰ると、姉の久枝がすぐに聞いてきた。

「ねえ、絹代のこと、熱がこもっている体質だって、先生、おっしゃったかしら」

「おっしゃったわ」

久枝は満足そうに微笑んだ。

絹代が続けた。

「漢方治療前のお姉ちゃんの体質と似てるんですって。漢方処方も似ているそうよ」

「あら、そう。じゃあ、わたしと同じように、早く体質改善できるわよ、きっと」

「あと、舌の色までお姉ちゃんのと似てるっておっしゃったわ」

 そう言って、ふたりで笑った。

漢方薬を飲み始めてから、絹代のじんましんが出る頻度は徐々に少なくなっていった。毎週のように出ていたじんましんが、3か月後には月に一度ほどになり、半年を過ぎるころには、ほとんど出なくなった。口臭も気にならなくなった。

姉とは違う病気なのに似たような漢方処方で治るのを実際に体験し、病気の根本原因が"体質"にあったことを絹代は実感できた。

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

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当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

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