湿疹の症例

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

薬石花房 幸福薬局 の漢方薬で湿疹が治った症例

こちらは症例紹介ページです。湿疹の解説ページは こちら へどうぞ


■症例1「残業続きで仕事のストレスが続き、寝不足で疲れていたせいか、かぜを引きました。熱が少し引き始めた頃から、急に全身に湿疹が出てきました」


全身に小さな湿疹が散在しています。湿疹は赤く、少し盛り上がっています。痒みが少々ありますが、ストレスが強くなると痒みが増します。仕事のストレスせいか、いらいらしやすくなりました。舌は紅い色をしています。

この人の証は、「肝鬱気滞」です。体の諸機能を調節(疏泄)する臓腑である五臓の肝の機能(肝気)がスムーズに働いていない体質です。ストレスの影響などで気の流れが滞ることにより、湿疹が生じたようです。

ストレスが強まると湿疹が悪化する、いらいらなどは、この証の特徴です。ため息が多い、胸脇部が張るなどの症状がみられることもあります。

この証の場合には、漢方薬で肝気の鬱結を和らげて肝気の流れをスムーズにし、湿疹を治していきます。

加味逍遙散(かみしょうようさん)や四逆散(しぎゃくさん)がよく使われますが、仕事や寝不足による疲労の蓄積も考慮に入れて小柴胡湯(しょうさいことう)を用いたところ、2週間で湿疹はほとんど消え、4週間後にはすっかりなくなりました。

似たようなケースでも、香蘇散、葛根湯、麻黄湯などの方がいい場合もあります

 

■症例2「湿疹が数年来なかなか治りません。皮膚科にも通っていますが、良くなったと思って塗り薬をやめると、また再発します」

赤い湿疹が、顔や頭に出ています。局所は地肌も赤く、乾燥気味で落屑している部分もあります。のぼせやすく、口がよく渇きます。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。

この人の証は、「血虚血熱(けっきょけつねつ)」証です。乾燥などの血虚の症状に加え、紅斑などの熱毒の症状も生じています。

この体質の場合は、血を補い、熱毒を冷ます漢方薬で湿疹を治します。代表的な処方は温清飲(うんせいいん)です。この人は温清飲を服用したところ、2カ月後から少しずつ改善し、5カ月で完治しました。

熱をもった湿疹でも場合によっては荊芥連翹湯、黄連解毒湯、竜胆瀉肝湯など他の処方の方が効果的な場合もあります。

 

■症例3「数年前から痒みの強い湿疹に悩まされています。腰回りや足など、皮膚の柔らかいところによくできます」

患部は、かさかさと乾燥しており、赤くはなっていません。表面はぶつぶつしておらず、平らです。冬は特に乾燥がひどく、痒みが強まります。1日のうちでは夜になると、体が温まり、痒みが増します。湿疹のほかには、明け方によくこむら返りが起こります。舌は暗紅色で、舌苔はあまり付着していません。

この人の証は、「血虚生風(けっきょしょうふう)」です。血虚に伴って風邪が生じている証です。そのため、乾燥などの血虚の症状に加え、強い痒みなど風邪(ふうじゃ)の症状が起きています。

強い痒み、乾燥、赤くない湿疹、こむら返り、暗紅色の舌、少ない舌苔などは、この証の特徴です。手足のしびれ、動悸などの症状がみられることもあります。

この体質の場合は、漢方薬で血を補いつつ風邪を除去し、湿疹の治療を進めます。代表的な処方は、当帰飲子(とうきいんし)です。

この人にも当帰飲子を服用してもらい、1カ月後には痒みがかなり楽になりました。飲み続けて8カ月後には肌の乾燥も緩和され、漢方薬の服用をやめました。その後も湿疹は再発していません。

乾燥した湿疹の場合、四物湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、胃苓湯などがより効果的なケースもあります。

今回紹介した症例のほかに、消風散、荊防敗毒散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯などが効くタイプもあります。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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