うつ病(鬱病)の症例
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
薬石花房 幸福薬局 の漢方薬でうつ病が改善した漢方治療の症例
こちらは症例紹介ページです。うつ病の解説ページは こちら へどうぞ
■症例1「会社のリストラで人員が削減され、残された社員の仕事量が大幅に増え、月に100時間ほどの残業を強いられるようになりました。そんな毎日が数カ月間続いたころから体調に異変を感じるようになりました。特に吐き気と脇痛に苦しみました。そのうち出社もつらくなり、病院でうつ病と診断されました。現在休職中です」
当時はサービス残業や土日出勤もしていました。帰宅後も仕事のことを考えると吐き気がしました。今度は自分がリストラされるのでは、という不安も常に抱えていました。脇痛は、張ったような痛みです。
最初に内科を受診しましたが、異常はみつかりませんでした。処方された吐き気止めや痛み止めが効かなかったので心療内科に行ったところ、うつ病と診断されました。抗うつ薬を処方されていますが、こちらもあまり効果を感じません。舌は赤い色をしています。
この人の証は「肝鬱気滞」です。肝気の流れが悪くなっているために精神情緒が伸びやかに活動できなくなっており、抑うつ状態になっています。
憂うつ感、吐き気、脇痛、腹部膨満感、赤い舌などは、この証の特徴です。残便感や、便秘と下痢を繰り返す、といった症状を伴う場合もあります。
この証の人に対しては、肝気の鬱結を和らげてストレス抵抗性を高める漢方薬を使います。この人は2カ月ほど漢方薬を服用し、諸症状を改善しました。心療内科に通院する必要もなくなりました。職場復帰後の症状悪化もありません。
■症例2「仕事と育児のプレッシャーとストレスで疲れ果て、朝起きられなくなりました。倦怠感が強く、身体が動きません。何もやる気が起きません」
子どもが生まれてしばらくは、仕事と育児を両立させようとがんばっていたのですが、疲れきってしまいました。仕事にも育児にも自信がなくなりました。寝つきが悪く、頭がぼーっとしています。いろいろなことを考えると、すぐに涙が出てきてしまいます。薬は6種類、服用しています。舌は白っぽい色をしています。
この人の証は「心血虚(しんけっきょ)」です。精神活動をつかさどる五臓の心(しん)が血(けつ)で満たされていない体質です。過度の心労や、思い悩み過ぎ、過労が続くことにより心に負担がかかると、心血が消耗してこの証になります。
心血が不足すると、心がつかさどる神志(しんし:高次の精神活動)が不安定になり、抑うつ状態、うつ病になります。
寝つきが悪く、すぐ泣いてしまう傾向にあります。驚きやすい、不安感が強い、めまいなどの症状もみられます。
この体質の場合は、心血を潤す漢方薬で「うつ体質」を改善していきます。この人は漢方薬を飲み続けるうちに寝つきがよくなり、疲労倦怠感が薄れ、抗うつ薬の量が減り、1年後には漢方薬だけで、何とか普通の生活ができるようになりました。
■症例3「何に対しても、やる気が全く起きません。朝、布団から出られなくて授業に出席できず、大学を1年、留年してしまいました。夜は寝つきが悪く、寝ても眠りが浅いのか、夢ばかり見ています。夢ははっきりと覚えています」
薬は抗うつ薬など、4種類を飲んでいます。睡眠導入剤を使っても、あまり効果を感じません。疲れやすく、すぐ息切れをします。便は軟らかめです。白っぽい色の舌をしています。
この人の証は「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」です。思い悩み過ぎや過労が原因で、心血と脾気が損傷している体質です。心血の不足により神志が不安定になり、脾気の不足により元気がなくなり、やる気が失せ、うつ病になります。
倦怠感、不眠、夢をよく見る、軟便、白っぽい舌の色などは、この証の特徴です。
この場合は、漢方薬で心血と脾気を補うことにより、「うつ体質」を改善していきます。服用を始めて少しずつ元気が出るようになり、半年後には大学に通えるようになりました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの証(体質や病状)により異なります。自分に合った漢方薬を選ぶためには、正確に処方の判断ができる漢方の専門家に相談することが、もっとも安心で確実です。どうぞお気軽にご連絡ください。
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