がん(癌):放射線治療と漢方薬の併用(体験談)
放射線治療と漢方薬の併用の体験談
(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高)
がんの放射線治療と漢方薬の併用の成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質や病状・副作用に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質や病状に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。
(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら)
乳がんの放射線治療と漢方薬を併用し副作用を軽減した症例

「乳がんの放射線治療を始めたところ、だるさを感じるようになりました。食欲がありません」
吐き気があります。口が渇きます。便が軟らかくなっています。足がむくみます。夕方から微熱が出ることがあります。白くてはれぼったい舌をしています。
この患者さんは、漢方でいう「脾気陰両虚(ひきいんりょうきょ)」という体質です。放射線により消化器系の機能が低下し、物質面でも損傷を受けている状態です。倦怠感、食欲不振、吐き気、口の渇き、軟便などは、この体質の特徴です。
この体質の場合は、消化器系の機能と物質面の両方を補う漢方薬を、放射線治療と併用します。この患者さんには、参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)などを服用してもらいました。その結果、4週間後には食欲が出てきました。6週間後には便の形がしっかりしてきて、だるさをほとんど感じないほどに回復しました。その後も放射線治療と並行して漢方薬を服用し続け、つらい副作用に見舞われることなく、乳がんを消滅させることができました。
大腸がんの放射線治療と漢方薬を併用し副作用を軽減した症例
「健康診断で早期の大腸がんが見つかり、大腸内視鏡で手術しましたが、切除しきれなかった部分があり、放射線治療を始めました。副作用で腹痛と下痢があります」
裏急後重があります。排便時に肛門に灼熱感を伴います。舌は紅く、黄色い舌苔がべっとりと付着しています。(裏急後重とは、テネスムス、俗にいうしぶり腹のことで、便意があるのに排便しないか少量しか排便せず、残便感を伴う状態を指します。)
この患者さんは、漢方でいう「大腸湿熱(だいちょうしつねつ)」という体質です。大腸は六腑のひとつで、飲食物の残渣を受け取り、水分を吸収して残りのかすを肛門から排出する機能を持ちます。この大腸の機能が放射線治療により損傷を受け、腹痛や下痢が生じているのでしょう。
この体質の場合は、大腸の湿熱を除去する漢方薬を、放射線治療と併用します。この患者さんには黄芩湯(おうごんとう)などを服用してもらった結果、3週間後には腹痛がかなり和らいできました。2か月後には下痢や裏急後重も減りました。
前立腺がんの放射線治療と漢方薬を併用し副作用を軽減した症例
「前立腺がんで放射線治療をしました。治療中は頻尿などの副作用がありました。治療後は残尿感や排尿痛があり、ときどき血尿が出ます」
口やのどがよく渇きます。便は軟らかく、ねっとりとしています。舌は紅く、黄色い舌苔が付着しています。
この患者さんは、「熱淋(ねつりん)」という証です。尿路系に炎症が生じている状態です。頻尿、残尿感、排尿痛、血尿、口渇、紅い舌、黄色い舌苔などは、この証の特徴です。放射線による強い熱により、がん細胞以外の組織に炎症が生じているのでしょう。
この証の場合は、熱淋を冷ます漢方薬を、放射線治療に併用します。この患者さんには、五淋散(ごりんさん)などを服用してもらいました。服用を始めて2週間後には排尿痛を感じることがかなり減りました。3か月後には、すべての副作用がなくなりました。
(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)
*執筆・監修者紹介*
幸井俊高 (こうい としたか)
東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。
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