がん(放射線治療との併用)

◆放射線治療による副作用の軽減や防止には、漢方が効果的


がんの治療、予防には免疫力を高める漢方薬が効果的ですが、放射線治療時に副作用が強い場合はその症状に合わせて、漢方薬を処方変更して対応します。放射線治療時にのみ漢方薬を併用する患者さんもいらっしゃいます。

放射線治療がもたらす人体へのダメージをやわらげるために、漢方がどのような役割を果たすのかを以下に説明します。放射線治療の副作用でお悩みの方のお役にたてば幸いです。

(症例紹介ページは こちら


◆がんの放射線治療の目的と副作用


がんの放射線治療とは、がんに放射線を当て、がん細胞を破壊し、がんを小さくしたり消滅させたりする治療法です。

患部に放射線を照射することにより、がん細胞内の遺伝子にダメージを与え、がん細胞を死滅させます。痛みやしびれを緩和するために行われる場合もあります。

放射線治療は局所的にがん細胞を破壊する力を持っていますが、同時に正常細胞に対しても作用するため、副作用や後遺症といった悪影響を及ぼすことがあります。

よく見られる副作用には、脱力感、疲労倦怠感、貧血、食欲不振、吐き気、皮膚の炎症(紅斑、かゆみなど)や乾燥、白血球や血小板の減少などがあります。

照射部位によっては、口渇、口内炎、頻尿、排尿痛、腹痛、出血、下痢、血便、脱毛、浮腫なども生じます。

◆放射線治療の副作用をやわらげる漢方治療

‐ 副作用の症状に合わせた漢方を用いるのがポイント

<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>

以下にわかりやすく分類して説明しますが、実際には複数の状態が絡み合っているのが普通です。正しい判断、適切な治療方針に基づいて効果的に漢方薬を選別し、状態をみて変更するなどきめ細かい対応が必要です。信頼できる漢方の専門家のもとでの治療をお勧めします。

(1) 熱の症状が強い場合
実熱証・虚熱証>

放射線は多くの場合、熱邪となって人体を侵し、副作用を生じます。熱邪は病気の原因(病因)のひとつで、自然界の火熱により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪です。炎症、化膿、熱感、発熱、充血、疼痛、出血などの熱証を表します。

熱邪には二つのタイプがあります。熱邪の勢いが盛んになって生じる実熱(じつねつ)と、熱を冷ますのに必要とされる陰液が不足しているために(陰虚)、相対的に熱邪が強まって生じる虚熱(きょねつ)です。

→ 実熱の場合は熱邪を冷まし、虚熱の場合は陰液を補うことにより熱邪を治療するため、漢方では熱邪が実熱か虚熱かより、そして熱邪が侵している部位や症状により、処方を使い分けます。


(2) 吐き気など胃腸の症状が強い場合
脾気陰両虚(ひきいんりょうきょ)証など>

食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状がみられる場合は、(ひ)の機能を高めます。

は五臓のひとつで、六腑のとの共同作業で飲食物を消化して栄養物質を吸収し、気・血・津液・精の生成源とし、さらにその水穀の精微を全身に輸送します。飲食物の消化吸収や代謝と関係が深い臓腑です。

血を脈管外に出さずに循行させる働きもあります。脾が運化した水穀の精微は四肢や筋肉を養う基礎となります。

この脾の機能(脾気)が低下した証を「脾気虚(ひききょ)」証といいます。そして脾気虚が進んで脾の血などの物質面(脾陰)も不足した証が、脾気陰両虚です。

→ 脾気と脾陰を補う漢方薬を用いて、放射線治療と併用します。

(3) 下痢など大腸の症状が強い場合
大腸湿熱(だいちょうしつねつ)証など>

腹痛、下痢、テネスムス、血便など腸の症状がみられる場合は、腸の機能を高めつつ、腸の病邪を除去します。(テネスムス:俗にいうしぶり腹のことで、便意があるのに排便しないか少量しか排便せず、残便感を伴う状態)

大腸は六腑のひとつで、小腸が分別した飲食物の残渣を受け取り、水分を吸収し、残りのかすを肛門から排出する機能を持ちます。

湿熱は病邪のひとつで、湿邪と熱邪が合わさったものです。そして湿熱邪が大腸の機能を阻害しているのが大腸湿熱証です。

→ 大腸の湿熱を除去する漢方薬を、放射線治療と併用します。

(4) 泌尿器系の症状が強い場合
熱淋(ねつりん)証>

泌尿器系のがんなどで、頻尿、排尿痛、血尿など泌尿器の症状がみられる場合は、尿路系の熱証を冷まします。熱淋は、尿路系の炎症に相当する証です。

→ 熱淋を冷まし治療する漢方薬を、放射線治療に併用します。


(5) むくみがひどい場合
水腫(すいしゅ)証>

むくみが顕著に生じた場合は、「水腫(すいしゅ)」証の治療をします。

水腫は浮腫のことで、全身にみられることもあれば、局所的に表れる場合もあります。多くは、水分の代謝と関連が深い五臓の肺、脾、腎の機能失調により生じます。

→ 水腫を除去する漢方薬を、放射線治療と併用します。


(6) 貧血が強い場合
腎陰虚(じんいんきょ)証など> 

貧血や、白血球が減少している場合などは、漢方薬で造血機能を高めます。造血機能と関係が深いのは五臓のですので、たとえば「腎陰虚(じんいんきょ)」証の治療をします。

は五臓のひとつで、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、ならびに水液や骨をつかさどる臓腑です。ホルモン内分泌系や、生殖器泌尿器系、免疫機能と深い関係にあります。この腎の陰液(腎陰)が不足している体質が、腎陰虚です。

加齢や過労、不規則な生活、大病や慢性的な体調不良、性生活の不摂生などによって腎陰が減ると、この証になります。のぼせ、寝汗などの熱証がみられます。

→ 腎陰を補う漢方薬を、放射線治療と併用します。


(7) 皮膚の炎症がひどい場合
血虚血熱(けっきょけつねつ)証など>

皮膚に炎症、かゆみ、乾燥などが生じている場合は、たとえば「血虚血熱(けっきょけつねつ)」証の治療をします。

(けつ)は、人体の構成成分のひとつで、血液や、血液が運ぶ栄養という意味があります。この血の量が欠乏している体質や状態を「血虚(けっきょ)」証といいます。

この血虚に加えて、紅斑などの熱毒の症状も明らかなのが、血虚血熱証です。

→ 血を補い、熱毒を冷ます漢方薬を、放射線治療と併用します。


◆放放射線治療による副作用の軽減や防止に効果的な漢方薬


参苓白朮散、黄芩湯、五淋散、防已黄耆湯、六味地黄丸、温清飲

あなたに合った漢方薬が何かは、あなたの体質により異なります。

自分にあった漢方薬が何かを知るには、漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶ必要があります。どうぞお気軽にご連絡をください。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気や症状を改善してくれる漢方処方は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要になります。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や体調により、使う処方が違うからです。

 

そのために必要なのが、カウンセリングです。漢方の専門家がじっくりとお話をうかがって、あなたの体質を判断し、あなたに最適な漢方薬を決めていきます。

 

当薬局は、帝国ホテル内にあるカウンセリング専門の漢方薬局です。まず薬局でカウンセリングをし、その方のご症状やご体質をしっかりと把握し、それをもとに、おひとりおひとりに最適な漢方薬を調合しております。

 

自分にあった漢方薬に出会う秘訣は、「信頼できる専門家のカウンセリングを受けること」です。しっかりしたカウンセリングを受けて、あなたに最適な漢方薬を見つけてください。

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