がん(癌)の漢方治療(体験談)

がん(癌)の漢方治療の体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

がん(癌)の漢方治療の成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質や病状に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質や病状に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

大腸がんの漢方治療の症例

「大腸にできたがんが骨盤に転移しました。抗がん剤による治療を始めましたが、だるさや排尿痛などの副作用がつらくて中断しました」

69歳の男性です。3年前に検査で大腸がんがみつかり、手術を受けました。それまで病気とはまったく無縁だったのでショックでした。手術は成功し、予後も順調でした。ところが数か月前の定期検診で骨盤への転移が見つかりました。さっそく抗がん剤治療を始めたところ副作用が強く、中断しました。

がん以外にはとくに体調の不具合で悩んだことはありませんが、強いて言えば、むかしから冷えやすいほうで、とくにおなかは触ると冷たく感じます。便は軟便ぎみです。あとは比較的汗っかきで、とくに夏場は上半身に汗をたくさんかきます。体型は痩せ形で、いくら食べても太りません。舌は淡白色です。

この男性は、漢方でいう「脾気虚(ひききょ)」という証です。脾(ひ)は五臓のひとつで、飲食物から気(き)や血(けつ)を生成する臓腑です。気は免疫力の基礎となる生命エネルギー、血は免疫力を養う栄養に相当します。この脾の機能が低下している状態が、この証です。脾の機能が低下し、免疫力を養うためのじゅうぶんな気や血が作り出せなくなっており、そのために免疫力が低下し、がんになったものと思われます。おなかが冷える、便が軟らかい、体重が増えない、淡白色の舌などは、この証の人にみられやすい症状です。

この体質の場合は、漢方薬で脾の機能を高めることにより、がんの漢方治療を進めます。この男性には、香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)などを服用してもらいました。服用を始めて2か月目の検査で腫瘍マーカー値の低下がみられました。4か月目には、骨盤の痛みがなくなっていました。寝返りを打っても痛くありません。そしてその翌月の検査で、がんの消失が確認されました。

子宮体がんの漢方治療の症例

「子宮体がんで手術をしました。これから抗がん剤治療をする予定ですが、吐き気、脱毛、倦怠感などの副作用が心配です。漢方薬で副作用が軽減できればと思っています」

55歳の女性です。下腹部の痛みやおりもの、不正出血など、とくに自覚症状はありませんでしたが、大腸ポリープの検査のときに見つかりました。

この女性には、かつて子宮筋腫が漢方薬の服用により手術の必要がない程度にまで小さくなった経験があります。もともと胃腸が弱く、吐き気を感じることも少なくないうえに、下痢もしやすい体質です。疲れやすいので副作用が心配で、今回も漢方治療を希望しています。舌は淡白色です。

この女性は、漢方でいう「脾腎両虚(ひじんりょうきょ)」という証です。五臓の脾と腎(じん)の両方の機能が衰えている状態です。腎は五臓のひとつで、生命力の根源物質である精(せい)を貯蔵する臓腑です。脾の機能低下により、じゅうぶんな気や血が作り出せず、さらに腎の衰弱により、精が勢いを失い、免疫力が下がっています。

この体質の場合は、脾と腎の機能を高める漢方薬を用い、がんの漢方治療に当たります。この患者さんには、参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)や四物湯(しもつとう)を服用してもらいました。手術前から服用し始め、入院中も服用し、抗がん剤治療中も併用しました。その結果、吐き気や脱毛といった副作用はまったく起こりませんでした。予後も良好で、術後10年近くになりますが元気に暮らしています。

子宮頚がんの漢方治療の症例

「腰の痛みと不正出血があったので検査をしたところ、子宮頸がんがみつかりました。精密検査の結果、手術の適応外とのことで、放射線治療を行うことになりました。漢方薬を併用して、よい方向に持っていけたらと思っています」

44歳の女性です。とくに大きな病気にかかったことはありませんが、去年くらいから腰痛、不正出血、足のむくみなどの症状がみられるようになり、先月には大量の不正出血が出たので検査をしてみつかりました。すでに骨盤内に転移が確認されています。

子どものころから冷え症で、しもやけができやすく、冬になると乾燥して、かかとが割れることがあります。頻尿で、トイレが近いほうです。生理痛は若いころからずっとありました。最近は食事がおいしくなく、何を食べても砂をかんでいるような感じです。好きだったビールもまずく感じます。爪がもろく、二枚爪になっています。舌は淡白色で、舌全体が痩せています。

この女性は、「気血両虚(きけつりょうきょ)」という証です。人体の基本的な構成成分である気と血の両方が不足している体質です。気は免疫力の基礎となる生命エネルギー、血は免疫力を養う栄養です。これらが不足すると免疫力が低下し、がん(癌)にかかりやすくなります。

この証の場合は、気と血の両方を補う漢方薬を用い、がんの漢方治療を行います。この患者さんには、帰脾湯(きひとう)などを服用してもらいました。放射線治療のあと一旦白血球が減りましたが回復し、4か月後には腫瘍マーカー値が下がり、転移巣が消えました。原発がん病巣も小さくなっています。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

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