がん(癌):抗がん剤治療(化学治療)と漢方薬の併用(体験談)

抗がん剤治療(化学治療)と漢方薬の併用の体験談

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

抗がん剤治療(化学治療)と漢方の併用の成功例を紹介します。漢方では、患者さん一人一人の体質や病状に合わせて、処方を決めます。患者さん一人一人の体質や病状に合わせて処方を決め、治療を進めるのが漢方治療の特徴です。

(こちらは症例紹介ページです。解説ページはこちら

乳がんの抗がん剤治療と漢方薬を併用し副作用を軽減した症例

「乳がんの手術のあと、抗がん剤治療を受けることになりました。脱毛など、抗がん剤の副作用が心配です」

がんが見つかる以前から、疲れやすく、あまり元気がないほうです。定期検診では、よく貧血で引っかかります。髪の質が弱く、抗がん剤の副作用の脱毛が心配です。舌は赤みが少なく、白っぽい色をしています。

この患者さんは、漢方でいう「気血両虚(きけつりょうきょ)」という体質です。生命エネルギーを意味する「気」と、血液や栄養を意味する「血」の両方が足りない状態です。疲れやすい、元気がない、貧血、髪の質が弱い、白い舌などは、この体質の特徴です。

この体質の場合は、気血を補う漢方薬を、抗がん剤治療と併用します。この患者さんには、人参養栄湯(にんじんようえいとう)などを服用してもらいました。1クール目に発熱と皮膚のかゆみが出ましたが、2クール目以降は大丈夫でした。2クール目にのみ、検査で血小板の減少(骨髄抑制)がみられましたが、それ以降は正常値に戻りました。その後も脱毛、吐き気、血尿などの副作用に悩まされることなく、6クールの治療を終えました。その間、肝機能の低下もみられませんでした。

大腸がんの抗がん剤治療と漢方薬を併用し副作用を軽減した症例

「大腸がんの抗がん剤治療を始めましたが、激しい嘔吐と下痢の副作用がつらく、続けられる自信がありません。漢方薬を併用しようと思います」

病院からも吐き気止めと下痢止めを処方されていますが、あまり効果がありません。食欲がまったくありません。舌は白っぽく、その上に白い舌苔がべっとりと付着しています。

この患者さんは、漢方でいう「脾気虚(ひききょ)」という体質です。五臓のひとつである脾の機能が弱っている状態です。抗がん剤により脾が損傷を受けてこの状態になり、激しい下痢と嘔吐や食欲不振が生じたのでしょう。

この体質の場合は、脾の機能を強める漢方薬を、抗がん剤治療と併用します。この患者さんには、参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)などを服用してもらいました。2サイクル目、吐き気はありましたが、嘔吐せずに済みました。3サイクル目、吐き気もずいぶん楽になりました。下痢も軽減しました。その後も抗がん剤と漢方薬を併用し、他に副作用が生じることもなく、6か月間の抗がん剤治療を終えました。がんの大きさは、半分以下に小さくなっていました。

子宮がんの抗がん剤治療と漢方薬を併用し副作用を軽減した症例

「子宮がんが再発したので、抗がん剤治療を受けることになりました。以前に受けた抗がん剤治療の際に副作用がつらかったので、今回は漢方薬を併用したいと思います」

以前の治療で生じた副作用は、嘔吐、脱毛、手足のしびれ、貧血でした。口内炎がたくさん出て、痛みました。今は、ときどき耳鳴りやめまいがあります。腰がだるく、膝に力が入りません。舌は紅く、舌苔は少ししか付着していません。

この患者さんは、「腎精不足(じんせいぶそく)」という証です。生命活動や成長・発育・生殖の基本となる物質である腎精が不足している状態です。めまい、耳鳴り、腰や膝のだるさなどは、この証の特徴です。以前の抗がん剤治療の際も治療により腎が傷ついて腎精が減り、全身の免疫力が低下して多くの副作用が出たのでしょう。

この証の場合は、腎精を補う漢方薬を抗がん剤治療と併用します。この患者さんには、六味地黄丸(ろくみじおうがん)などを服用してもらいました。1サイクル目、以前は強い嘔吐と皮膚の痒みに悩まされましたが、今回は大丈夫でした。2サイクル目に検査で白血球の減少と軽い貧血がみられましたが(骨髄抑制)、それ以降は正常値に戻りました。それ以降も、つらかった脱毛や手足のしびれなどの副作用が生じることなく、抗がん剤治療を終えることができました。

(こちらの記事は「薬石花房 幸福薬局」幸井俊高が執筆・監修しました。日経DIオンラインにも掲載)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI:ドラッグインフォメーション)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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