もうホットフラッシュ?早めの更年期対策

幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局(東京 帝国ホテル内の漢方相談薬局)の症例をもとにした漢方ストーリー


以下は、30代で出始めたのぼせ・ホットフラッシュの悩みを漢方で解決した女性の物語です。早めに体質改善できたので更年期障害も軽くすむでしょう。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)


■■更年期のホットフラッシュ■■


香奈恵は学生時代から華道の稽古を続けている。今も月に二度、生け花の先生のもとに通っている。

生け花の先生はいつも着物を着ている。姿勢がよく、涼しげな雰囲気を漂わせている。

ところが最近、突然の発汗やのぼせに襲われることがあるという。花を生けているときにも急に額や首筋から汗が流れ出ることがあり、そういうときは、あわただしく鋏をおいて生け花を一旦中断し、ガーゼのハンカチで汗をぬぐっている。

「ごめんなさいね。わたしもいよいよ更年期みたいだわ」

生け花の先生は45歳。更年期のホットフラッシュである。

香奈恵は自分の母親も更年期障害に苦しんでいたことを思い出し、帰宅してから母に話した。

「生け花の先生、更年期みたいなの。突然かーっと熱くなって、汗が吹き出てくるみたいで、きょうもお稽古中に何度か汗をふいておられたわ」

「ホットフラッシュね。わたしも更年期障害がひどかったわ。わたしのときは、イライラやヒステリー、落ち込みも激しくて、つらかったわね」

「人によって症状が違うのね」

「何年か経てば落ち着くから、それまで我慢して過ごすしかないんじゃないのかしら」

「でも先生はまだ45歳だから閉経までずいぶん時間があるでしょ。なのに更年期障害が出始めちゃって。あんなにつらそうなホットフラッシュがこれから何年も続くなんて、お気の毒だわ」

生け花の先生の更年期障害は、香奈恵にとって他人事のように思えない。じつは香奈恵もホットフラッシュのようなのぼせに見舞われることがある。目や口が乾燥するようになった。便秘もひどくなった。それになによりも自分の母が更年期につらい思いをしていたのを見ているので気になる。

「そういえばお母さん、わたしも最近、更年期障害かなと思われる症状がときどき出るのよ」

「なに言ってるのよ。香奈恵ちゃん、まだ30代でしょ」

「でも、早ければ30代前半から更年期症状が出るって、聞いたことがあるわ」

居間の片隅で雑誌のページをめくりながら母娘の会話を耳にしていた道夫が口をはさんだ。

「お姉ちゃん、漢方薬を試してみたら」

香奈恵が応えた。

「漢方薬? そういえば道夫、漢方薬をしばらく飲んでいたわね」

「漢方には、ホルモンや自律神経のバランスを調える働きがあるみたいだよ。お姉ちゃんの症状にもいいんじゃないかな」

香奈恵はさっそく漢方薬局に行ってみることにした。


■■更年期障害の予防に効く漢方■■


漢方薬局の静かなカウンセリング室で、香奈恵は自分自身の体調について、漢方の先生にじっくり話を聞いてもらった。

「ほてりのほかに、ドライアイ、肌の乾燥もあります。便秘もひどくなりました。更年期障害じゃないかと心配です」

香奈恵の話を聞いたあと、漢方の先生が言った。

「心配するほどのことはないでしょうが、おっしゃるとおり、更年期の症状かもしれませんね」

漢方の先生によると、更年期の症状が出る年齢には個人差があり、早ければ30歳前後から更年期症状がみられることもあるという。

更年期障害が起こるおもな原因は、女性ホルモン量の低下である。卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量は、妊娠適齢期の20~30代をピークに減り始め、40代後半に急激に減少する。加齢による減少なので自然なことではあるが、この時期に体調が大きく変わり、つらい思いをしながら更年期を過ごす人が多い。しかし女性ホルモンが減り始める30代から更年期症状が出る人もいる。

「およそ7割の女性が更年期に何らかの不定愁訴を感じているといわれています。10人中3人は更年期障害を経験しないですむともいえます」

「そういう人もいるのですね」

「そういう人たちも、体内では女性ホルモンが減少しています。しかしそれが体調の悪化に影響していないわけです。これは、女性ホルモンの低下に対し、いい意味で"鈍感"なため、症状が現れていないのでしょう」

「いい意味で"鈍感"になれればいいですね」

「漢方では、からだ全体のバランスを重視して病気や症状の改善をすすめています。からだ全体のバランスが調ってくれば、体調が安定し、女性ホルモンの変化に対しても大きくぶれることなく、いい意味で"鈍感"になります。漢方では、このようにして更年期症状を緩和していきます。もちろん更年期障害の予防にもなります」

「漢方で更年期障害の予防もできるのですね」

更年期障害にはさまざまなタイプがありますが、よく見られるのは次の三つの体質です、と漢方の先生が話を続けた。

一つ目は、女性ホルモンの低下とともに体液などが減少する体質。体液の減少にともない相対的に熱が過剰になり、ホットフラッシュや、口や目の乾燥などの症状が現れる。便も水分が減って硬くなり、便秘がちになる。

「わたしは、この体質ですね」

この体質の場合は漢方薬で体液を補いつつ、ホルモンバランスを調えていく(漢方道の必殺技④)。

二つ目は、自律神経系や情緒が不安定になる体質。"気"の流れが滞りやすい体質で、イライラ、怒りっぽい、肩こり、頭痛、動悸、憂うつ、落ち込み、ヒステリーなどの症状が現れやすい。

「母はこの体質だったんだわ」

この場合は漢方薬で気の流れをサラサラにし、更年期障害を解消する。

三つ目は、女性ホルモンの低下とともに、胃腸や泌尿器科系の機能も低下して更年期症状が生じる体質。寒がりで、とくに腰から下が冷え、水の中に座っているような感じがする、下半身がむくむ、おなかが張る、疲れやすい、重い感じの腰痛、頻尿などの症状がみられる。いずれも冷えと関係が深い。更年期障害というとホットフラッシュなど熱感を伴う場合が多いが、このように冷えに悩まされるケースも少なくない。この体質には、からだを内側から温めつつ、ホルモンバランスを調整する漢方薬が効く。

「どの体質でも女性ホルモンを補ってしまえば更年期障害は簡単に解消されそうですけど」

「更年期障害に女性ホルモンの減少が深く関係しているのは事実です。しかし更年期に体内で起こっている変化は女性ホルモンの減少だけではありません。自律神経系の失調や、循環器系や消化器系、泌尿器科系、それに皮膚や筋肉の機能低下も同時に進行しています」

「年齢とともに女性ホルモンが減るのは自然なことですものね」

「そのようなときにホルモンを補充するだけでやり過ごすのではなく、体質を改善して対処していくのが漢方の特徴です。早めに体質改善しておけば、更年期障害の予防にも効果的です」

油が切れてきた機械に油を注せばいいような、そんな簡単な作りではありませんよ、人のからだは、と漢方の先生は付け加えた。


■■バランスが調うと、うまくいく■■


漢方薬を飲み始めて3か月近く経ったころから、のぼせが楽になってきた。6か月後には、お通じもよくなった。肌にも潤いがでてきた。

「先生、おかげさまで調子いいです」

「それはよかったですね」

「更年期障害の予防ができたようで、ありがたいです」

「年とともに女性ホルモンが減るのは自然なことです。しかし、からだ全体のバランスが調っていれば、つらい更年期障害に悩まされることなく過ごすことができるわけです」

なるほど、"全体のバランス"が大事なんだな、と深く納得して首を上下に振りながら、香奈恵は漢方の先生の話を聞いた。そして"全体のバランス"ということばを、香奈恵は大事にするようになっていった。

ある日の生け花のお稽古で、先生が香奈恵の生けた花を直しながら言った。

「香奈恵さん、生け花は"全体のバランス"が大事ですよ」

それを聞いた香奈恵は嬉しくなり、「そうですよね。なんでも"全体のバランス"ですよね」と張り切って応えた。

生け花の先生にも漢方薬を薦めてみよう、と香奈恵は思った。

(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

あなたに最適の漢方薬に出会う秘訣は、信頼できる漢方の専門家の診察(カウンセリング)を受けることです。

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