「脂性肌の抜け毛」が漢方で改善
幸井俊高執筆・・・薬石花房 幸福薬局 の症例をもとにした漢方ストーリー
以下は、抜け毛の悩みを漢方で解決した30代女性の話です。薬石花房 幸福薬局の実際の症例をもとに、物語風に描きました。
同じようなお悩みでお困りの方は、あきらめず、どうぞお気軽に薬局までお問い合わせください。
(登場人物は実在の人物とは関係ありません。)
■■髪が細くなり、抜け毛が増えた■■
母親がときどき椿油を髪につけていたことを、久枝は思い出した。
「こうすると、髪につやが出て、抜け毛も少なくなっていいのよ」
そう言って、久枝の母は入浴時に椿油を手にとり、髪をいたわるように丁寧に塗っていたものである。その母は、今でもつやのある髪をしていて若々しい。
久枝も最近、髪の毛のことが気になるようになってきた。抜け毛が増えてきたのである。
実家に遊びにいったとき、久枝は母親に聞いてみた。
「お母さん、わたしも椿油、使ってみようかしら」
「あら、どうしたの、急に」
「最近、髪の毛が細くなってきたような気がして。それに、抜け毛も増えてきて」
「それで髪の毛をいたわろうってわけね。いいことね。でも久枝はお父さんに似て、どちらかというと脂性でしょ。油を塗っても大丈夫かしら」
たしかに久枝の頭皮はべとつきやすい。鏡でよく見ると、頭皮が赤く炎症を起こしているようなときもある。母が続けた。
「わたしの場合は乾燥肌でカサカサしやすく、枝毛が多くてパサつきやすいでしょ。こういう人には椿油がいいと思うけど」
このまま何もしないでいれば、髪の毛が薄くなる。まだ30代の久枝にとって、それは大きな問題である。なにか手を打ちたいと思い、洗髪を丹念にしたり、食事に気をつけて栄養をつけたりしているが、とくに改善の兆しが感じられない。
「久枝、漢方を試してみたらどうかしら」
「漢方?」
「姪っ子の美穂ちゃんが、漢方薬で不眠症を治したって言ってたわよ。わたしの肩こりと冷え症も、漢方薬ですっかりよくなったしね。漢方は体質を改善して、からだの内側から治していくっていうから、抜け毛なんかにもいいんじゃないかしら」
久枝は、さっそく母が通っていた漢方薬局へ行ってみることにした。
■■抜け毛や髪質悪化に効く漢方■■
漢方薬局では最初に30分ほど時間をかけてカウンセリングが行われた。髪質の変化や抜け毛の状態、抜けた髪の毛の様子などを、漢方の先生は詳しく久枝に聞いた。さらに久枝の食生活や生活習慣、お通じ、生理などについても、細かく質問をした。髪に栄養を与えようと思って栄養価の高いものを食べているのに、なかなか効果が現れないことも伝えた。
カウンセリングの最後に、漢方の先生は「ちょっと舌を見せてください」と言って、久枝の舌の状態を観察した。
舌を出して先生にみてもらったあと、久枝は聞いてみた。
「先生、舌で病気がわかるのですか」
漢方の先生は、答えた。
「舌をみる診察は、漢方の診断のなかでも重要なもののひとつです。漢方の診察は、カウンセリングをとおして患者さんの自覚症状を詳しく聞き取ることが柱ですが、舌は体調不良や病気の原因をありのままに客観的にみせてくれるので貴重なのです。患者さんの自覚症状と違い、患者さんの主観的な感覚に左右されることがありません」
「客観的に体質をみることができるのですね。でも、どうして舌なのですか」
「漢方では、からだを、機械のように部品をつなぎ合わせて作られたものとしてとらえるのではなく、ひとつのつながったものとしてとらえています。したがって、体内の状況は、何らかのかたちで体表にあらわれてきます」
「内臓の様子が、舌に現れてくるのですね」
「舌には、いろいろな特徴があります。舌の表面の新陳代謝が盛んなのも特徴のひとつです。ふつうの皮膚も新陳代謝が早く、角質なら2週間ほどで新しいものと入れ替わりますが、舌の粘膜はそれよりもさらに早く、3日ほどで入れ替わるのです」
「どんどん新しい粘膜に替わっていくのですね」
「ですから、舌には病気のサインが"迅速に"出てくるのです。からだに具体的な症状が出てくる前に、舌に先に変化があらわれることもあるのですよ」
「だから、舌を見ることが大事なのですね」
「もうひとつの特徴は、粘膜が薄いので、粘膜の下の血管を流れる血液の状態がよく見える、ということです。血液の色が、舌の色に反映されるのです。たとえば貧血ぎみで血液の量が足りない人の舌は、白っぽい色をしています」
「わたしの舌は、どうですか」と久枝は身を乗り出した。
「久枝さんの場合は、舌が赤黒い色をしています。これは、久枝さんの体内に、余分な熱がこもっている可能性を意味しています」
久枝がカウンセリングのときに話した、口臭が気になる、目が充血しやすい、といった症状は、この余分な熱のせいで現れている症状です、と漢方の先生が説明した。
もし、余分な熱がない場合は、舌は淡紅色をしているという。さらに、全体に白っぽい舌は、逆に冷え症の人に多くみられるそうだ。
「さらに久枝さんの舌には、黄色っぽい苔が厚めに付いています。これは、余分な熱だけでなく、湿気もたくさん体内に滞っていることを現します」
この湿気の滞りによって、むくみやすい、おりものが気になる、という症状がでているのでしょう、と漢方の先生が付け加えた。
もし逆に湿気が足りない体質なら、舌の苔も乾燥するそうだ。そういう場合は、乾燥肌、皮膚のかゆみ、空咳、ドライアイなどの症状が出やすい。
久枝はしばらく体内の余分な熱と湿気を捨て去る漢方薬を飲んで体質を改善し(漢方道の必殺技②)、抜け毛と髪質劣化の改善を図ることにした。
舌を見ることの大切さや、漢方の奥深さに、久枝は感心した。
「あと、先生、髪の毛の手入れに、椿油は使ってもいいでしょうか」
「椿油でトリートメントをすれば余分な皮脂が取り除かれて頭皮が清潔になるので、いいと思いますよ。椿油でからだの外側から手入れをして、漢方でからだの内側から体質改善をして、抜け毛を減らし、髪質を丈夫にしていく、というのもいいでしょうね」
さらに漢方の先生が付け加えた。
「それから、栄養をつけようと思って肉をたくさん食べるようにしているとおっしゃっていましたが、動物性の肉や脂は体内で熱や湿気に変わりやすいものです。野菜や魚、とくに旬のものには、栄養がたっぷり含まれていますので、動物性のものは控えめにして、野菜や魚を多めに食べるようにしたほうが、久枝さんの場合、髪や地肌にいいでしょう」
■■体質改善で髪も舌もきれいになった■■
漢方薬局から帰宅した久枝は、さっそく鏡で自分の舌を見た。漢方の先生が言ったように、たしかに赤い色をしており、舌のうえには黄色っぽい苔が厚く付着していた。
その次の月に実家に行ったとき、久枝は母親に舌を見せてもらった。母親の舌は淡紅色で、苔は久枝ほどたくさんは付着していなかった。
「久枝、漢方の先生のところで舌をみてもらったのね」
「余分な熱と湿気が体内にたまっていて、その体質が抜け毛や髪質悪化の原因だとおっしゃっていたわ」
「わたしのときは、栄養が足りない体質って、先生、おっしゃっていたわよ」
「体質は、ひとりひとり違うものなのね」
「じゃあ、お薬も違うのでしょうね」
「わたしのは、黒っぽいお薬だったわよ」
「わたしがいま飲んでいるのは、黄色くて苦いわ」
それから数か月後、漢方薬局で久枝の舌を観察しながら漢方の先生がおっしゃった。
「舌がずいぶんきれいになってきましたね。濃い赤みが消えて、べっとり付着していた黄色い苔も、薄くなりましたよ。髪の質もよくなってきたのではないですか」
ちょうど抜け毛が減ってきて、髪のつやもよくなり、一本一本がしっかりしてきた、と実感し始めていたところだった。もう少し漢方を続けて、余分な熱と湿気を全部からだから追い出してしまおう、と久枝は思っている。
(幸井俊高執筆 「VOCE」掲載記事をもとにしています)
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