脱毛・薄毛・抜け毛・髪の毛の悩み
当薬局では、脱毛、薄毛、抜け毛、白髪など髪の悩みに関する漢方治療のご相談をお受けしています。
◆髪の悩みはなぜ起こるか
髪の毛(毛髪)は、皮膚の角質が分化してできたものです。大人の場合、約10万本の毛髪があります。
毛髪は、皮膚から出ている毛幹と皮膚に埋もれている毛根とに分かれます。毛根は皮膚表面から4~5mmほど陥入し、一番根元の部分は毛球とよばれ血管とつながっています。毛髪には成長期と休止期とがあり、活動期に髪が伸び、休止期には髪が抜けます。
毛髪は毛皮質という細胞で取り囲まれており、その一番外側が毛小皮(キューティクル)の層です。それぞれ、おもにたんぱく質でできています。
さて髪の毛の悩みとしては、抜け毛や脱毛、薄毛、白髪、枝毛、髪の毛につやがない、ぱさつく、細くなった、張りがない、切れやすい、髪の毛のいたみなどがあります。円形脱毛症でお悩みの方も少なくありません。
脱毛や抜け毛、薄毛、白髪などについては、毛根に十分な栄養や潤いが与えられているかどうか、という体内の要因が大きく関係しています。そこにはホルモンバランスの失調、自律神経系の乱れ、栄養状態の失調、ストレスや過労による体調の悪化などが関与しています。円形脱毛症の場合は、とくにストレスが大きく影響しています。
髪の毛のつややぱさつき、いたみなどの原因としては、髪の毛に十分な栄養を供給できているかという体内の要因と、シャンプーや紫外線などの外的要因との両方があります。体内の要因には、脱毛などと同じように、ストレス、自律神経の乱れ、栄養状態、血行の悪化などがあります。
抜け毛が増えたり髪がいたんできたりしているならば、それは体内の健康状態が悪化してきていることを示すサインです。
外観上の問題も大事ですが、体質から改善することによって、髪だけのことではなく、からだ全体の健康維持あるいは病気予防につなげることができます。
漢方で脱毛・薄毛・抜け毛が改善した症例はこちら
◆髪の悩みに対する西洋医学と漢方の違い
西洋医学では
西洋医学では、脱毛症や薄毛に対しては育毛剤の外用薬や内服薬が使われます。美容皮膚科などでは頭皮マッサージや、ビタミン等の頭皮注入なども行われます。
円形脱毛症に対しては精神安定剤の投与などもなされます。なお育毛剤などの薬剤は、使用をやめると毛髪はいずれ元に戻りますので、長期間使用する必要があります。
漢方では
漢方では、ひとりひとりの髪の毛の悩みに対して、からだの内側から根本的に改善していきます。
ホルモンバランスや自律神経系を安定させ、血行を改善することにより、毛髪の成分となる栄養が豊かに毛根に供給されるようにします。
場合によっては体の栄養状態も改善し、頭皮や毛根の状態も活性化させます。ストレスに対する抵抗性を高める漢方薬も有効です。漢方薬は、からだの内側から改善していく薬です。
漢方薬は、あくまでも体質を改善して頭皮を活性化し、毛根に豊かな栄養を送り込むものです。皮膚科の治療と併用している方もいらっしゃいます。からだの内側からじっくり根本的に改善したいとお考えの方に適しています。
◆脱毛・薄毛・抜け毛に悩む人の体質・・・あなたはどれ?
<体質やタイプを漢方で証(しょう)といいます>
(1)「腎虚(じんきょ)」証
五臓の「腎」の機能が衰えた体質。
成長・発育・生殖をつかさどる腎は髪と関係が深く「腎の華は髪にある」といわれ、腎の衰えが髪に表れやすい。
主な原因:老化、生活の不摂生、過労、慢性病による体力低下 など
◎ 腎虚で出やすい症状
疲れやすい、耳鳴り、足腰のふらつき など
→ 腎を補う漢方薬を用いる。
(2)「血虚(けっきょ)」証
人体に必要な血液や栄養が不足している体質。
毛根に十分な栄養が供給されていないため脱毛・薄毛・抜け毛、髪のぱさつきなどが発生。
主な原因:栄養不足、睡眠不足 など
◎ 血虚で出やすい症状
顔色が悪く艶がない、生理の量が少ない、爪がもろい、舌は淡紅色 など
→ 血を補う漢方薬を用いる。
(3)「脾気虚(ひききょ)」証
消化器系の機能が弱い体質。
飲食物を栄養として取入れる力が弱く、頭髪に供給される栄養が足りていない。
主な原因:虚弱体質、過労 など
◎ 脾気虚で出やすい症状
疲れやすい、声に力がない、食欲不振、軟便、舌がぽってり白い など
→ 胃腸機能を丈夫にする漢方薬を用いる。
(4)「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証
自律神経や情緒の安定と関係が深い肝の機能が乱れ、気の流れが悪くなっている状態。
気の流れの停滞が血行にも影響を及ぼし、毛根に栄養がスムーズに運ばれなくなっている。円形脱毛症に多い。
主な原因:ストレス、緊張の影響 など
◎ 肝鬱気滞で出やすい症状
いらいら、不眠、赤い舌 など
→ 肝気の流れを改善し、ストレス抵抗性を高める漢方薬を用いる。
◆さらにこんなケースも
のぼせ、黄色い舌苔などがあれば、熱も加わった証になっている。
(5)「湿熱(しつねつ)」証
体内で過剰な湿邪と熱邪が結合している体質。
湿熱が頭皮に至り炎症を起こして毛根の正常な活動が阻害され、髪の発育に影響が生じている。
主な原因:脂っこいもの、刺激物、味の濃いもの、生ものやアルコール類の日常的または大量摂取 など
◎ 湿熱で出やすい症状
尿の色が濃い、顔がのぼせて赤くなりやすい、口臭、舌が赤い、舌苔が黄色い など
→ 湿熱を除去する漢方薬を用いる。
(6)「肺気虚(はいききょ)」証
体表をつかさどる五臓の肺の機能が低下している体質。
肺の機能低下の影響で頭皮や毛根の働きが鈍っている。
主な原因:過労、慢性的な体調不良 など
◎ 肺気虚で出やすい症状
疲労、息切れ、咳、透明の痰 など
→ 体表、特に頭皮や毛根を活性化させる漢方薬を用いる。
◆髪の悩みに効果的な漢方薬
1:ホルモンバランスを調えたい場合は、地黄、桂皮など、内分泌系の機能を調整する生薬を使った漢方薬がいいでしょう。夜更かしは控え、規則正しい生活も心がけてください。
2:自律神経系の失調やストレスの影響が大きい場合は、柴胡、芍薬など、ストレス抵抗性を高めて自律神経系を調整する生薬を使った漢方処方で、ストレスに強い体質を作っていきます。
3:血行を改善して毛根に豊かな栄養を送り込みたい場合は、芍薬、牡丹皮など、血行を促進する生薬配合の漢方処方を使います。タバコは血行改善の大敵である点も、お忘れなく。
4:上質な栄養をたっぷり毛根に送り込みたい場合は、人参、大棗など、胃腸機能を高める生薬配合の処方を用います。食生活の改善も必要でしょう。
5:頭皮や毛根を活性化したい場合は、黄耆、甘草など、皮膚組織の機能を高める生薬を用いた漢方処方が適しています。十分な睡眠・休養も心がけてください。
髪の悩みによく使われる処方:四逆散、柴胡加竜骨牡蛎湯、四物湯、四君子湯、帰脾湯、六君子湯 など
あなたに合った漢方薬がどれかは、あなたの体質により異なります。自分にあった漢方薬が何かを知るには、中医師など漢方の専門家に相談し、自分の体質にあった漢方薬を選ぶようにするのがいいでしょう。
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