からだの内側からの漢方美白

(こちらの記事の監修:中医師 幸井俊高

ある30過ぎの女性が漢方での美白を決意、からだの内側からキレイになっていく過程を物語風に描いています。症例は筆者の経験をもとにしていますが、登場人物は実在の人物とは関係ありません。


■■肌にシミを残したくない■■


30歳をすぎて、そろそろお肌の曲がり角かと気をつけていたはずなのに、今年の夏は年下の彼に付き合って高校野球の観戦にヨット遊びにと、少々はしゃぎすぎた。

おかげでかなり日に焼けた。

もう、こんがり小麦色の素肌なんて自慢になる歳ではない。学生時代にテニス三昧でつくりあげた顔のシミも、なんだか少し濃くなってきたと思っていたところだったのに、その上に日焼けを重ねてしまった。 

今年の夏に日焼けした肌を少しでも早く白くしないと、ますますシミになる。夏の終わりからは、美白化粧品を使っている。

しかし、わたしはもともと敏感肌で肌が弱く、せっかくの美白化粧品が、刺激が強すぎて、思うように使えない場合がある。もっときちっと塗れればいいのだが、あまり塗りすぎると肌が荒れてしまう。

小さいころはアトピーが少しあった。いまも汗の刺激や下着の締め付けなどで、皮膚がかゆくなりやすい。かゆくて掻いたあとは、肘や膝の内側や、下着のあたるところなど、肌が少し黒っぽくなりやすく、なかなか元の肌の色に戻らない。 肌が弱いのは、かゆくなりやすいことだけでなく、疲れたり生理前になったりすると、肌のくすみや黒ずみも目立つようになる。体調の良くないときの毛穴の開きや目のくまも、気になる。

先日、友達の亜紀と飲みにいった。

「今年の夏は、調子に乗って焼きすぎちゃったわ」

「あら、若い彼と一緒になって遊びすぎたのじゃない? でも沙織が心配するほど肌が黒くなってはいないわよ」

「でも学生時代からあるシミが、歳とともに少しずつ濃くなってきているのよ」

「そういえば沙織は昔から、そんなに肌が丈夫なほうではなかったわね」

「お化粧でいろいろと工夫をしているんだけど、そろそろ年齢的にも、からだの内側からきれいにしていきたい、なんて最近、思っているのよ」

「だったら漢方薬を試してみたらどうかしら」

亜紀はストレスから拒食症になっていたのを、漢方で改善した。拒食症で悩んでいたころは、やせていただけでなく、顔色も顔つやもわるく、髪の毛や目にも元気がなく、まわりの友だちは心配していたものだ。ところが漢方薬で体調を立て直してからは、すっかり元気になり、肌の色やつやも生き生きとしてきた。

「漢方薬には、からだの内側から改善してくれる力があるみたいよ」

わたしも亜紀が通っていた漢方薬局に行ってみることにした。


■■皮膚を若返らせる漢方■■


漢方薬局では、肌の状態や、これまでの皮膚のトラブルなどについて、詳しくカウンセリングしてくださった。

気になる美白に関することだけでなく、胃腸の調子やお通じ、生理の状態など、直接お肌とは関係なさそうなことも、漢方の先生は細かく聞いてくださった。

「肌は、内臓の状態を映し出す鏡のようなものです。体内の状態が良ければ肌はきれいですが、内臓の機能が衰えていたり、血液が汚れていたり、ホルモンのバランスが乱れていたりすると、すぐに肌に現れてきます。だから、お肌の悩みの場合でも、カウンセリングでは内臓の調子も含めて、さまざまなことを聞くのですよ」

なるほど漢方は、ふつうの西洋医学とはずいぶん違う見方をするのだなあ、と思った。

「レントゲンも血液検査もなかった昔は、患者さんの自覚症状や肌の状態を参考にして、体内の様子を推量していました。体内の内臓の機能が改善され、血液がさらさらときれいになれば、お肌もきれいになっていきます。それくらい、体内の健康状態とお肌の調子とは深い関係にあるのですよ」

美白、シミ、くすみ、黒ずみ、毛穴のトラブルや目のくまなども、内臓など体内の状態が皮膚に出てきているのだそうだ。

「表面にきれいな色を塗って汚れを隠すだけでは、根本的な解決にはなりませんね」

「たしかに仕事を終えて夜、帰宅してお化粧を落とすと、素肌のシミやくすみが出てきます。肌が根本的に治っていないので、当たり前といえば当たり前なのですが、お化粧を落としているときに鏡で自分の肌を見ると、がっかりします」

「漢方は、その素肌をきれいにしていきます。日焼けで傷ついた皮膚は、相当なダメージを受けています。その疲れた皮膚を、早く日焼け前の状態にまで若返らせてあげる感じです」

美白のための漢方とはどういうものか、先生に伺ってみた。

まず大事なのは、漢方薬で皮膚の代謝を高めることだそうだ。

シミは、皮膚に沈着したメラニン色素。そして、このメラニンは、色素細胞メラノサイトで作られている。

さて紫外線には遺伝子を傷つける力がある。つまり皮膚に紫外線が当たると細胞が傷つく。そこでからだはメラニンを量産し、紫外線から自分を守る。日に焼けて皮膚の色が黒くなるわけだ。

一方、皮膚が受ける紫外線の量が減ると、メラノサイトで生産されるメラニンも減る。そして日焼けは消えていく。

ここでもし皮膚の代謝力が低下していると、メラニンが皮膚に沈着していく。そしてシミになる。だから、まず皮膚の代謝を高めるのが、漢方の美白の第一ステップとなる。

それ以外にも、メラニンの皮膚への滞留をなくすことや、メラノサイトを刺激するホルモンバランスを安定させることも重要、とのことだ。

「沙織さんの場合は、日焼けをした直後ですので皮膚の代謝を高めて(漢方道の必殺技①)、メラニン色素の排泄が早くなる(必殺技②)ような調合がいいでしょう。お使いの美白化粧品と、うまく併用してください」

からだの外側と内側の両方から美白を進める。しばらく漢方薬を飲むこととなった。


■■くすみ、黒ずみも体内から解消■■


漢方薬を飲み始めて半年、体調が良くなってきているのがわかる。以前よりも疲れにくくなったし、生理も順調で、生理前のPMSもぐっと軽くなった。そして体調変化によって出てくる顔のくすみや黒ずみが、めっきり少なくなった。

目のくまも、薄くなってきた。

からだの内側から変わってきている、と実感できる。

美白も順調。夏の日焼けはほぼなくなり、シミになって残りそうな日焼けあとはない。学生時代からのシミも薄くなってきた。もうしばらく漢方薬を続けてみようと思う。

肌の調子が良くなると、もっときれいになりたい、なんて欲が出てきてしまう。漢方の先生に伺ってみた。

「そういえば先生、今回は美白ということで漢方薬を調合していただきましたが、さらに美白とアンチエイジング、あるいは美白と保湿、なんてこともできるのですか?」

「もちろん大丈夫です。漢方は、体質改善の薬です。体質を改善して、病気を治したり健康を維持したりします。この処方は美白のためのもの、というものではありません。沙織さんの場合ですと、皮膚の代謝を高める漢方で、結果的に美白を進めたということです。代謝がよくなればアンチエイジングにも効果的ですし、さらに水分代謝を調える調合を加えれば保湿もできます。沙織さんは乾燥肌ですので、美白が一段落したら保湿効果を高めていくといいでしょうね」

からだの内側から健康で美しい肌を作る。歴代の中国宮廷の美女たちが飲んできた漢方薬には、深い力があるのね。

わたしも漢方で体内からアンチエイジング。いつまでも年下の彼と肩を並べて歩ける若さを維持していこうかしら。


★ 漢方道・四つの必殺技 ★

① 補う 足りない元気や潤いは、漢方薬で補いましょう
② 捨てる 体にたまった余分なものは、漢方薬で捨てましょう
③ サラサラ流す 漢方の力で血液や気をサラサラ流し、キレイな体内を維持しましょう
④ バランスを調える 内臓機能のバランス・心身のバランス・ホルモンのバランス - 漢方の得意技はバランスの調整にあり

(出典:講談社「VOCE」連載コラム「ビューティ漢方道」幸井俊高(薬石花房 幸福薬局)著)

*執筆・監修者紹介*

幸井俊高 (こうい としたか)

東京大学薬学部卒業。北京中医薬大学卒業。中国政府より日本人として18人目の中医師の認定を受ける。「薬石花房 幸福薬局」院長。『医師・薬剤師のための漢方のエッセンス』『漢方治療指針』(日経BP)など漢方関連書籍を25冊以上執筆・出版している。日本経済新聞社の医師・薬剤師向けサイト「日経メディカル(日経DI)」や「日経グッデイ」にて長年にわたり漢方コラムを担当・連載・執筆。中国、台湾、韓国など海外での出版も多い。17年間にわたり帝国ホテル東京内で営業したのち、ホテルの建て替えに伴い、現在は東京・銀座で営業している。

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自分に合った漢方薬に出会うには

自分の病気を治し、症状を改善してくれる漢方薬は何か。それを判断するためには、その人の自覚症状や舌の状態など、多くの情報が必要です。漢方の場合、同じ病気でも、その人の体質や病状により、使う処方が異なるからです。

 

そのために必要なのが、丁寧な診察(カウンセリング)です。中医師など漢方の専門家がじっくりと話を聴くことにより、あなたの体質を判断し、あなたに最適な処方を決めていくのが、漢方の正当な診察の流れです。

 

そして、その際に最も大切なのは、信頼できる実力派の漢方の専門家の診察を受けることです。
(一般によくみられる、病名と検査結果だけをもとに、漢方が専門でない人が処方を決める方法では、最適の処方を選ぶことができず、治療効果はあまり期待できません。)

 

当薬局では、まず必要十分な診察(カウンセリング)を行い、その人の体質や病状をしっかりと把握し、それをもとに一人一人に最適な漢方薬を処方しています。

 

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